珍しいお店が出来ていた
3話構成のお話になります。
『さーて、この金貨で何を買おうかなー?』
金貨が入っている布袋を片手に持ち、村にある店で何を買うか考えていた。
ん?このお金はどうしたかって?実は前に盗賊団を十人捕獲した報酬として、
ギルリアっていう隣町のギルド会場から金貨10枚を村にあるギルド会場に渡していたらしく、
俺が村の中を歩いている時にギルド員から直接呼ばれて渡されたのだ。
はははー、お小遣い稼ぎが出来たぜ。
嬉しすぎてニヤニヤしそうなのを堪えていると、
今までに見た事がないお店が立っていた。
『こんなお店あったか?』
この村の特徴的な白い建物ではあったが、
めっちゃ目立っている飾り付けをしていたから驚いてしまった。
お店の看板がピンク色で無駄に造花が散りばめていて、
「ようこそ!着せ替えショップのキシースへ!」とでかでかと書いていた。
絶対こんな変なお店は今までなかったよな?
入りずらそうなお店だったが、めっちゃ気になるから取りあえず入ってみた。
『うおっ!なんだこれは!?』
店内を見渡すと、変な服ばかりが大量に飾られていた。
右の壁際にはメイド服に派手な赤いドレス、
他は普通のワンピースだと思えば変な羽が生えている衣服もあった。
そして、左の壁際には大きな黒い三角帽子にローブが付き、
黒いミニスカートと白いブラウスがセットになっている魔女っぽい物、
それから黒い翼としっぽが付いている露出が高くてエロイのもあった。
そんな変なお店だが女性客で賑わっていた。
『これ可愛いー!着てみたーい!!』
『私はこっちを着ようかしらー?』
『わー!ウェディングドレスもあるー!』
『これはちょっと露出度が高すぎるよね?』
そんな会話が繰り広げらていた。
んー・・・ここは場違いかな?帰るか。
そう思って帰ろうとすると、聴きなれた声で俺の名前を呼んだ奴がいた。
『あっれー?もしかしてロアンー?』
振り向くと、派手なピンク色の髪にアクセサリーが沢山付いているバッグを持ち、
胸元が見えるタンクトップと太ももが見えるホットパンツを着ている女の子がいた。
うん、一人しかいないね。リナリーだった。
『リナリーか、久し振りだな』
『うん!おひさー!』
相変わらず元気な子だな、まあ、嫌いではないが。
リナリーと挨拶をしていると、気が付いた事があった。
『今日は一人で買い物をしているのか?』
そう、ミリアの姿がない事に気が付いた。
俺はリナリーから『うん、今日は一人で買い物をしているよー』
と返事が来ると思ったが、違う言葉が返ってきた。
『ミリアは試着室で今着替え中だよー、そろそろ着替え終わると思うけどー』
あー服を試着しているのか、なるほどなるほど・・・。
待てよ?こんな変な服しかないお店で試着をしているってことはー。
変な予感で的中したのはその矢先だ。
お店の奥から茶髪の女の子が真っ白なワンピースみたいな服を着ていて、
背中から天使みたいな羽がちょこんと生えている人が現れた。
『リナリー、着替え終わったよー・・・ってロアン!?何でこんな所に!?』
いうまでもない、その天使みたいな格好をしていたのはミリアだった。
顔を合わせると、ミリアは顔が真っ赤になって駆け足でお店の奥へ姿を消した。
『ちょっ、ミリア!?似合っていて可愛いのにー!』
まー・・・あんな格好を見られたら恥ずかしくなるのは分かる気がする。
リナリーと二人で数分くらいまっていると、ミリアがようやく出てきて姿を現した。




