対照的な二人組み
『すいませーん!まだ七色魚ありますかー?』
ふと女の子達を見ると、随分と対象的だった。
一人は派手なピンク色の髪型に、
ホットパンツを履いている露出度が高い服装に対して、
もう一人は茶色の髪に花柄のカチューシャを頭に付けて落ち着いたワンピースを着ていた。
あれ?何処かで見た事があるな・・・。
そう思っていたら、相手から声を掛けて来た。
『あれ?ロアン?』
女の子は首を傾けてそう言い、俺も顔をよく見たら思い出したのだ。
『おー、ミリアか。久し振りだな』
『うん!久し振りね!』
挨拶を交わしていると、
ピンク色の派手な子がミリアの肩に両手を置いてニヤついていた。
『おー?なになにー?まさか彼氏とかー?』
『か、かれし!?ち、違うわよ。そんなんじゃないわ』
『またまたー照れちゃってー』
うむ、どうやら仲が良さそうだ。
ミリアは否定をし続け、俺との関係をその子に話していた。
『ふーん・・・モンスターに襲われていた所を助けてくれた人でパン屋の常連さんって事ね』
『うん、そうよ』
『なんだー、つっまんないのー』
女の子は頭の後ろを両手で組んで残念そうにしていたが、
七色魚を見せてあげたら目を輝かせていた。
『本当にいつ見ても綺麗ー!』
『そうね、すごく綺麗だわ』
あれ?いつ見ても綺麗って事は見た事があるのかな?
気になった俺はピンク色の派手な女の子に尋ねてみたら、
『さっき見ていて、半額になった時に急いでミリアに見せる為に呼んで来たのー』
と言っていた。
ほー、友達思いで良い子だなー。
二人は落ちないように両手で七色魚が入っている瓶を持ちながら話をしていた。
『欲しーけど、銀貨5枚は高いよねー』
『うん・・・貯金箱のお金が全部無くなってしまうわね』
残念そうにしている二人の姿を見て可哀想になってきた。
確かに10代の女の子にとって魚一匹で銀貨5枚は高いだろうな。
んーどうしようか・・・。
俺は周りを確認して売れる気配が無いのを確認し、二人に話してみた。
『もう売れる気配がないから良かったらあげるよ?』
『え?』
『マジで!?やったー!!』
ピンク色の派手な女の子は飛び跳ねそうになる程喜んでいたけど、
ミリアが遠慮をして断った。
『駄目よ、リナリー!こんな高価なのをただで貰うなんて!』
『えー?ここは貰っておくべきだよー。ミリアは真面目だなー』
『リナリーが遠慮無さすぎなのよ』
『えー?』
おっと、喧嘩になりそう?
止めようとすると、リナリーと言う女の子がある提案をしてきた。
『あ、じゃあさ!私がお礼にほっぺにキスをしてあげたらオッケーじゃねー?』
えー何でそうなるのかなー。
キスをして欲しくないと言えば嘘になるが、それは紳士として駄目だろー。
ん?紳士って誰の事って?俺だよ。
そんな時にミリアが『それはもっと駄目ー!!!』
といつもよりも強い口調で注意をしていた。
そんな表情を見たリナリーは口元をにやけていた。
『ははーん?もしかしてだけど、ロアンって人の事が好きだから駄目なのー?
なら、ミリアがロアンにキスをしてあげなよー』
冷やかしていると、ミリアが顔を真っ赤にして
『そ、そんなんじゃないけど・・・駄目なものは駄目よ!!』
と、また強い口調で話していた。
お?これはマジで俺に脈あり?モテる男は辛いなー。
ん?誰がモテる男って?俺だよ。
と、言う冗談は置いといて。俺は二人に言い聞かせてやった。
『遠慮なんてしなくて良いぞ?なんてたって売れ残りだからな。
それに、こんなに可愛い女の子に七色魚も貰われたら嬉しいだろう』
ミリアは可愛いと言われて照れていたが、
リナリーは『ロアンって見る目があるねー!』と喜んでいた。
うん、やっぱり対照的な二人だな。
最終的には二人に受け取って貰い、俺は帰る支度をした。
『ロアン、ありがとうね。今度うちのパン屋に来てよ。サービスしてあげるね』
『サービスー?もしかしてエロい事ー?』
リナリーがまたミリアを冷やかすと、顔を真っ赤にしていた。
やっぱりこの二人の会話は面白いな。
二人に見送られて村から出た俺は、
銀貨40枚が入っている布袋を持って帰宅した。
ルーナに売り上げの報告をすると、
銀貨40枚でも相当喜んでくれたから売りに行った甲斐があった。
豆知識。
ミリアの友達リナリーの発言がいかにも男性経験が多いそうに見えますが、
付き合った事がないらしい。
いわゆる、純粋系ギャルなキャラクター。




