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濡れ衣(ぬれぎぬ)

作者: 望月笑子


最近よく、ちゃぶ台の上の食事がなくなっている。私が食べる分の食事だ。母はてっきり、根性の卑しい私が、こっそり食べていたと思っていたらしい。

「え?!(゜ロ゜ノ)食べてないよ」

ぶっきらぼうに答える私。

「食べてないったら、食べてないよ。食べてないったらッ!」

数枚の皿だけが置かれた、ちゃぶ台を前に、やや喧嘩にも似た会話が、数回続いた事がある。

……

以前、東京に住んでいた時の出来事である。

初めて入った文房具店で、いきなり店主に怒鳴られた事がある。

突然、「お前、何しに来たッ!」と言うのである。

あまりの出来事に私も、多少声を荒げ、「何しに来た、と言われても、ただ、文房具を見に来ただけだッ!」と言い返すと、今度は奥から、もう一人出て来て、

『間違いないコイツだッ(`Δ´)もう、ウチに来るなッ。何も買わなくていいから、早く出て行けッ!!!』

と、訳の分からない事を言われた挙げ句、箒でつつかれた事がある。

……

2度ある事は、3度ある。以前、働いていた老人ホームの経営者から、突然、解雇理由を告げられた。その解雇理由のひとつに、私が、《ヘルパー全員で作ったカレーを勝手に持って帰った》というものだった。

………

これらは全て、【濡れ衣】である。いや、全て濡れ衣だった…。ちゃぶ台の上の食事を綺麗に食べた犯人は、我が家の老犬であった。また、文房具店に、何かしらの損害を与えて辞めていった従業員が、過去に居たのかもしれないが、それは多分、私の顔によく似た女性だったのだろう…。そう思いたい。でなければ、《ドッペルゲンガー》とかいう、自分とソックリの姿をした分身…だったのか。それとも、生き霊…の類いだったのか。ホラーな話だが、文房具店の店主の勘違いが、「私は実は、夢遊病患者なのではないか…」とまで、精神的に追い詰めたのである。また、水っぽくて、誰も持ち帰ろうとしなかったカレーは、ヘルパー全員に許可を得て持ち帰った、6人家族のAさんだ。当然、その事実を経営者に話したが、なぜ、私が持ち帰った事になっていたのか全く分からない。

以上すべて、自分がやった事なら素直に謝るが、身に覚えのない濡れ衣を着せられる事には、納得がいかない。冤罪とは、全くもって屈辱的なことだ。




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