第5話 花蓮VS雅也
花蓮によって移された場所は体育館みたいなとこだ。
「ここなら思いっきり出来るでしょ。さて能力は使えないみたいだから少し手加減してあげましょう。私はここから動かないで戦いましょう」
雅也はこの人がすごい事はさっきの移動でわかる。
多分負ければ本当に死ぬかもしれない。
そうだ勝たなければ・・・
「俺には何も武器はないのか?」
「武器ならありますよ。そこの武器庫からとって良いですよ。待ちますから」
花蓮は座り込んだ。
その間に雅也は体育館みたいなこの場所の端にある、かなり設備が整った武器庫の所へ向かう。
「おっ剣だ。太刀もあるぞ。斧も槍も弓も変なものまであるよ。なら俺は剣にしよっかな」
雅也は飾り気がまったく無い、いかにも剣ですよってなものを選んだ。
「決まったようね」
座っていた花蓮は立ち上がりボールペンを右手に持った。
「じゃはじめます」
花蓮はボールペンをカチカチと鳴らしている。
雅也はゆっくり歩きながら花蓮の方に向かっている。
「走れよ、雅也」
遠く離れた場所で風魔が叫んだ。
花蓮は風魔のほうを向き言った。
「風魔さっき言った事をお忘れ?」
風魔は頭を下げながら
「すみません」
といった。
雅也は風魔が頭を下げたとたん花蓮のとこに猛スピードで走り出した。
「不意打ちですか。でも・・・」
雅也は剣を花蓮に向かって振り下ろした。
だが花蓮のボールペンで塞がれた、あげくの果てに雅也は吹き飛ばされた。
「この剣ってちゃんと切れるのか?」
「えぇ切れますよ。骨まで真二つにするほどの切れ味ですよ」
「じゃあ何でボールペンでふさがれるんだよ!!!」
「ふふ内緒」
ニコと微笑えんだ。
「くそアビリティ・オブ・アイか・・・」
花蓮は何も答えない。
ただ笑っているだけ。
「後、しょうもない心理戦はしないほうがいいですよ。ばればれですから・・・作戦を考えたのは認めますよ」
「ちぇばれてたか」
「頭はよいみたいですね」
「あぁ頭も運動神経も顔も良いよ」
苦笑いしながら雅也は言った。
「自画自賛ですか。面白い人ですね」
雅也は作戦を考えていた。
(花蓮からボールペンをとる方法・・・無いな・・・やっぱり死ぬのかな・・・まだ諦めないで攻撃してみるか・・・)
雅也はまた走って花蓮に剣を振り回した。
だが花蓮に傷をつけるどころか、何回も吹き飛ばされ逆に怪我をしていた。
(やべぇよこの人強すぎる・・・恐い・・・恐いよ)
「私も攻撃して良いですかお馬鹿さん?」
笑った花蓮の笑みには殺気もこもっているのを雅也はわかった。
花蓮はボールペンの先っぽの部分を回して取り外した。
「頑張って避けてね」
花蓮は雅也に向けてボールペンの一部を投げつけた。
ものすごい速さだ。
やっと見えるか見えないかくらいの早さだった。
雅也はしゃがみ込み難事を避ける事ができた。
「あら、避けるのお上手」
雅也の額からは冷や汗が零れていた。
「それくらったら死ぬよな?」
雅也は問いかけた。
「今のでは骨が折れるくらいですかね。今から投げるやつは貫通させる威力ですからきよつけてくださいね。確実に死にますよ」
花蓮の笑みを見るのが怖くなってきた。
(次で決まる・・・あのボールペンが無くなれば防げるものも無い・・・多分ボールペンを投げるだろう・・・ここは命を賭けるか・・・もしかしたら死ぬかもしれないんだから・・・・)
「そーれ」
花蓮はボールペンを投げつけてきた。
さっきとは比べ物にならない速さだ。
雅也は剣を心臓に近い部分に構えボールペンを防ごうとした。
ボールペンが雅也の剣に当たった。
「ぐっ」
雅也は思わず声を上げてしまった。
まだボールペンは剣を押している。
剣は悲鳴を上げていた。
(クソ、ヒビが入ってきやがった。避けるか)
雅也は体を捻り、ボールペンを避けようとした。
だがボールペンの威力は半端なく、左肩を貫いて壁にめり込んだ。
「あら避けてしまったの・・・残念」
雅也は急いで服を破り、左肩に巻き、血を止めようとした。
「俺の勝ちだな」
雅也は鼻で笑った。
「あらそれはどうでしょう?あなた左肩の神経とか切れてるからもう剣も持てないわよ。それにその血じゃもうもたないわよ」
雅也は落ちた剣を持とうとした。
だが力が入らない。
「あなた左利きみたいだし。もう私には勝てないわ」
「でももう武器は無い。だから俺は死なない」
花蓮の口がニヤついた。
「それは残念。これ何かわかりますか?ボールペンの中に入っているインクの部分ですよ」
(嘘だろ・・・あれ投げられたら俺死ぬぞ・・・左手が使えない今・・・どうすれば・・)
「残念でしたね。武器ってのは最後まで取っとくものなんですよ。あなたはやっぱりただの馬鹿でしたね」
花蓮はボールペンのインクの部分を雅也に投げつけた。
雅也は剣も握れず、音も無く倒れこんだ。
「風魔、この子を治療室へ・・・」