第3話 決断と世界
「愛せてますか?聞こえますか?この声がー♪」
雅也は携帯のアラームで目が覚めた。
時刻は午後11時。
ここから鳥居までは30分ってとこだ。
雅也はぐっと背伸びをすると、机の上に置いていた携帯と財布をポケットに入れこの場所を後にした。
雅也は嬉しさ半分寂しさ半分の気持ちで鳥居に向かっていた。
この目でどんな世界が開かれるかわからない。
でも行って見たいこの世界じゃない所へ。
だがこの街にも愛嬌がある。
そんなこんな考えているうちに目的地の鳥居に着いた。
「あっお母さんにメールしとかないと」
雅也はお母さんとの2人暮らしだ。
お父さんは離婚していない、かと言ってお母さんは働かない。体が弱いわけじゃない。ただ家で寝ているだけ。怠け者だ。
暮らしは雅也のバイトのお金で成り立っている。
―お母さんへ
僕は消えます
探さないで下さい
雅也―
「送信っと」
雅也は携帯を閉じ、ポケットの中に入れた。
何処かで風の音が聞こえた。
雅也は目を閉じると
「風魔」
「よくわかったな」
さっき合ったよりは機嫌がよくなっていた。
風魔は時計を見てこういった。
「今は11時50分だ。あと10分で扉が開かれるがその前に言っとくことがある。あっちの世界はほとんどの奴が、目の力を持ちし者だ。間違っても喧嘩とか売るなよ。俺はお前を保護しに来たんだから・・・」
「わかってるよ。俺は喧嘩はしないからさ」
「なら大丈夫だな」
風魔は時計を見ると
後30秒
10、9、8・・・3、2、1
鳥居の中に歪んだ光が現れた。
「入るぞ」
風魔が先に入っていった。
「待てよ」
後を追うように雅也がはいていった。
この後雅也の住んでいた世界は黒の騎士団の手によって破滅した。
その事を雅也が知るのはいっとき後の事だった・・・