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クルスニード 終幕C 貴方の面影
彼は死にたいといっている。
―――私はクルスニードを殺すことにする。
彼は永い時を生きていて、大切な仲間を亡くし孤独だったことだろう。
生きたくないと苦しむ人を救いたいと思った。
「でも……貴方がいなくなったら私はどうしたらいいの!?」
家族といるより永い時を彼とすごし、私にとってはすべて。
なのに、いなくなるなんて考えられない。
「痛い……これが生と死ということだね」
「刺された貴方が痛いはずなのに、どうして私は痛いの」
――――胸から零れ散る紅、私は今さら気がついた。
「私は貴方を愛してた」
●
ある小さな街に住む女性が、銀髪の少年と暮らしていた。
あるとき彼女は少年が家の前で泣いているのを拾って、女手一つで少年を育てている。
彼女は街の子供たちを集めて毎日人形劇を開く。
「ねえ、お師匠さま」
「どうしたの?」
「僕はお師匠さまの師匠に似てるってみんなが言うんです」
「そうね、髪や雰囲気が似ていると思うわ」
女性は少年の頭を撫で、たった一枚だけになった彼の写真を見せるのだった。
【サッドend..繰り返される事象】