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傀儡王終幕D


〔とにかくわかった〕

〔大丈夫です〕


「そうかな?」


根拠もないのに私は何を言っているのかしら。


〔黙ってる〕

〔ゼルスタール〕


勘だけれど、多分優しいほうが王様よね。


〔どちらでもいい〕


私が王様を選ぶだなんてことできるはずはないもの。なんて思っていると、後ろにだれかがいた。


「アネッタ、これを」

「はい?」


陛下が苦しそうに剣を私に持たせる。見た目は白銀だが、意外と重くはない。


「余は王を辞めることにしたぞ!」

「ええええ!?」


彼が私の手を引いて、窓から一緒に飛び降りる。必死にしがみつきながら、足で剣を抱えた。


「どうして私を?」

「そこにいたからだ」


おそらくゲルンガァが彼の逃亡理由だろうけれど、この剣を持たされた意味がわからない。

問いかけようとしていると、意識が優しいほうに切り替わった。


「陛下、この武器は身を守るのに必要ですよね。どうぞ、お受け取りください」

「私は金属が体に合わないんだ。誰にも、特に宰相人形使い盗られないようにお願いできないかな?」


だから渡す前に苦しがっていたのね。そういうことなら、代わりにもつことにする。

これは王家の宝のようなものみたいだし、捨てることはできないだろう。


「ええ、問題ありません」

「重くはないかな?」

「大丈夫です」


問題はこの剣を奪おうとする者に対処できそうにないことだ。


「あの、私は戦闘には向いていないのですが、この剣を任せるにはもっと強い人がいいのでは?」

「私はこれでも一応、強いんだ。そして私を殺せるのはその剣だけだから、君のような剣を使えないお嬢さんにお願いしたのさ」


ただ優しいだけだと思っていた彼は妖艶な笑みを浮かべている。

ドクりと心臓がおかしな反応をして、私は落ち着くために息を吐いて胸を押さえた。


「私は陛下をもとに戻せなくて、申し訳ありません」

「もういいんだ。私は足りない勇気をもう一人で補えているのだから」


本人がそういうなら、私は何もいうことはない。


「この街を出よう」

「行きたいのは山々なのですが、私は探している人がいます」


それならその人を見つけてから一緒に旅にでようと城下を巡ることになった。


「お急ぎだったのでは?」

「弱点となる剣はこちらにあるのでん、心配は無用だ。____さあ、共に行こう」


私は陛下に差し出された手をとった。


【共存】

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