ギュール 終幕D 聞く
〔食い下がる〕、〔聞く〕
「条件って?」
ギュールはクルスニード師匠がいないか周囲を確認している。
「君がハグしてくれたら話すかもね」
ギュールの出す条件は私から彼を抱き締めることだった。
「ええっ!?」
◆どうしたらいいかしら?
〔固まる〕
→〔抱き締める〕
「一瞬だから!」
「うわっ!?」
彼はまさか本気でやると思わなかった。といいたげな反応をしている。
「……これがバレたらオレはきっと主に殺されてしまうな」
主とは一体だれのことだろう。そんな疑問はすぐに解決することになる。
「今のはどういう経緯でああなったんだい?」
「師匠、さっきはどこに行っていたの?」
師匠ったら見つけたと思ったらすぐいなくなるんだから。
「そこの店でアネッタが好きそうなリボンを見つけてね」
師匠がリボンを私にくれる。
「まあ……ドールにピッタリ!ありがとう師匠」
■■
「はあ……」
永くを生きる人間と人間ですらなくなった男。
勝ち目など初めからなかったとため息をつく。
「もう限界か……」
ギュールは切れ込みの入った指の間接を眺めて意識を手放す。
「ギュールはどこ?」
「さあ、気になるなら明日またマジックを観にこよう」
――彼はただ静かにクルスニードからのプレゼントを嬉しそうにするアネッタを無機質な眼差しで見つめていた。
【月光の呪い】




