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ゲルンガァ 終幕B 背に隠れる

→〔背に隠れる〕


私は咄嗟にゲルンガァの背に隠れた。


「ご、ごめんなさい……」

「お前は家族を殺されたら、殺した相手をどうする?」


→〔罪を償わせる〕


「警察に引き渡して罪を償ってもらいます」

「……そうか、至極まともな意見だな」


ゲルンガァはうなずく。


「覚悟しろ悪王!」

「はっ!」


王の元に現れた侵攻者たちはゲルンガァによって皆殺しにされた。


「フン……口程にも無い刺客だったなゲルンガァよ」


王は手を叩きながら、複数の遺体が散らばる場所まで歩いて嘲笑う。


「ええ、本当に……口も要らないほどだ―――」


ゲルンガァと、複数の遺体が全ての方向から剣で王を突き刺した。

その様は、上からみれば時計の文字盤のような造形だろう。


「ふーやれやれ、相変わらず仕事が早いな」


誰かが窓ガラスを割って入る。太陽光を浴びて王は灰となる。


「クルスニード師匠!?」


――なんでここにいるのかしら。


「なぜここにいるんだいアネッタ?」


彼がぽかりとした顔で、私を指差す。


「師匠が家出したのかと思って探しにきたの!」


王が死んだと思っていたら探していた師匠が現れて頭が混乱してきた。


「私の事はさておき……ゲルンガァ、彼女に説明を頼むよ」


師匠はゲルンガァと知り合いだったのね。


「酷な面を見せて悪かった……王はすでに巣食われていたんだ」

「え?」


ゼルスタール王の体は吸血蜘蛛のグリスに乗っ取られていたのだという。


「だから人がいなかったのね」


グリスの吸血によって民が殺されていたなんて――


「そして遺体のように見えたあれは、血糊を仕込んだ傀儡だ」


そういえばゲルンガァは戦闘用ドールを扱うのだった。


「王が死んだとあれば国が傾く」

「もしかして……」

「だから俺は宰相として基盤を固めていたんだ」


ゲルンガァは新しい王が見つかるまで王の死を隠蔽しジュグ領を纏めあげるつもりらしい。


「それで師匠がここに来た理由は?」

「ゲルンガァの協力だったんだが、玉座の間には対吸血鬼狩りの結界が張ってあってね……」


いや、それは絶対ありえない。


「師匠、方向音痴を誤魔化さないで!」


師匠的にはゲルンガァがグリスを倒す手助けに来たが、倒してからでないと城に入れなかったという事にしてほしいらしい。


「……というか、サラッと吸血鬼ハンターとか言ったけど初耳よ師匠!」

「やっぱりダメか、ノリでスルーされるかと思っていたよ」


――師匠は悪びれもしない。


「ちなみにゲルンガァも吸血鬼ハンターの血族なんだ」

「さっきの話が本当かどうかはわからないけど、ならどうしてゲルンガァは入れていたの?」


同じハンターなら彼も入れないはずだし、やはり師匠が言い訳をしただけだろう。


「いや、吸血鬼ハンターが中に入れないというよりも、私はある呪いを吸血蜘蛛から受けているせいだろうね」


師匠が受けている呪いとやらが何かわからないが、私達はようやく家に帰れる。


―――はずだった。


「ミス・アネッタ!」

「はいはい、次はなんですか?」

「東と西の領主が一ミリの領地の差で揉めています!」


――どうしたらいいのかしらと悩んでいると、ピエロドール改めシノープスが現れた。


「争いを止めないと領地を均等に取り上げると通達を!」


彼はちゃっかり城に残り、適格な指示を出している。


「予算が!」

「私腹を肥やす領地から巻き上げろ!」


金については右に出るものがいない旅の音楽家ジェントが一時的な経理になった。


「人形使いマリアネッタ」

「あ、ゲルンガァ宰相」


彼は吸血蜘蛛グリスの元で暗黒宰相をやっていた頃より、他エリア制圧等の公務で外出が増え、忙しそう。


「生き残りの民を保護し、この街の活気を戻さなければならない」

「国王はどうするんですか?」


王とはいわば領主であり国は領主がいないと成り立たない。


「王族は耐えたが、幸い公爵の息子が生きていると報告が入った」

「それはよかったです」


ジュグが廃れれば、他のエリアも成り立たないので良い話だ。


「お前はこれからどうする?」

「暫くはジュグの復興にご協力させてください」


師匠もゲルンガァに協力しているし、私は暫く城の専属人形使いをする。


「では役職は何がいい?」

「……役職なんて、私はただ偽りの王が倒されるのを見ていただけです」


それに遠くない未来、新しい王が即位すれ必要なくなる仮初めの役職でもある。


「では、暫くは城専属の人形使いとして雇おう」

「……がんばります!」



【ノーマル:幽玄帝国の有限宰相】

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