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ゲルンガァ 終幕D 復讐する
→〔復讐する〕
「目の前に敵がいて、報復できるならすると思います」
たとえ家族が還らなくても、悪人が裁きを受けずのうのうと生きているなんて許せない。
「お前にしては意外な答えだが、同感だ」
意外と言われても会ったばかりなのに、彼は私がどんな性格かわかっているのかしら?
「俺は今のジュグ王に両親を殺された」
「え……」
ゲルンガァの言葉に驚きはあれ、疑いはない。
あの王ならやりかねないと思ったからだ。
「フン……口程にも無い刺客だったな」
王の元に現れた侵攻者たちはグリスによって皆殺しにされた。
「そうですね」
ゲルンガァは王の後ろから返事をした。
「――グアアア!!」
王の首は飛び、断末魔と黒い飛沫が飛んだ。
「いやあ……ああ……!?」
――目の前で起きている事なのに理解できない。
王の体は蜘蛛の子が散ったように焦げ崩れていった。
「俺の命はこの日の為にあったのだろう……」
王を倒しゲルンガァは陶酔する。
蜘蛛の一匹がうごめいて、彼に登っていく。
「……貴様の復讐はこの程度だったのか?」
蔑むように呟いた男は既にゲルンガァではないだろう。
【復讐のハンター】




