共通:二週目追加 真相シナリオⅠ
―――むかしむかし、神様は人間に近い存在をつくりました。
それは言葉を話す機械や、姿を模した人形とは異なり、人間のような体と心を持つもの。
唯一異なったのは命に終わりという概念がないことです。
物語にも物にも終わりはありますが、神様のお作りになった“人象少女”は無であり続けました。
ある日のこと、どこかの屋敷の奥方が彼女を気に入ったので自分の娘にして育てました。
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時を遡り数年、とある村で吸血鬼狩り<クルスフィーク>をしていた青年が倒した吸血鬼から死ねない呪いをかけられます。
それまでただの人間だったはずの彼は若い姿のまま年をとらなくなりました。家族や友人をなくし、長くを生きることとなった彼は森を出て街へでます。
すると道端で悲しみにくれる少年をみつけました。血の一滴も残らぬ奇妙な亡骸を前にした少年。
吸血鬼狩りの親を持ち、この街に狩りへ来たところで街の人間や親がとある吸血鬼に皆殺しにされたと話します。
青年は同情し少年を彼の両親に代わって吸血鬼狩りに育てあげる決意をしました。
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時を戻り少女の住む屋敷近くでは人間が人形に変化する事件が多発していました。
そんなとき、ある人形使いが劇を披露します。
少女はそれをとても気に入り、人形使いもまた少女が喜ぶ姿を見られて嬉しかったのです。
役目を終えた人形使いが帰るとき、少女は自分の人形と番である少年人形をあげました。
放浪の人形使いはもう屋敷に来ることもないので受けとるのを躊躇します。
そんな人形使いに少女はまたいつか再開するまで持っていてほしいと約束をするのでした。
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ある男の両親は蜘蛛女と吸血鬼のハーフで、彼はただの人とは違う血のように赤い髪をしている。
人から蔑まれるけれど優しい心を持ったその男はけっして周りを憎んだりはしなかった。
ただ孤独に心を閉ざしていると彼に悪しき神はささやく。
神の声に正気をなくした男はその力で人間を操り血を吸うようになる。
男は死んだ兄の亡骸を操りながらある国の王を殺して成り代わる。
城に関わる臣下や使用人を全て消し民は誰が王かなど気にしない。
もはや男が神の触媒となって意思すらないように―――
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ある国で貧しく生まれた褐色の少年は、人を殺すことを仕事にする所謂暗殺者をしていた。
少年がやってきたのは西の国にある街で、次の獲物になる貴族を探すのだった。
単独で歩いていた褐色の少年はある屋敷の庭へまよいこんだ。
そんな彼に屋敷に住む少女が花をあげた。誰かに無償で花をもらうなど初めてだった少年はこの屋敷だけは狙うのをやめようと思った。
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手品師が人間の人形化が多発していると噂の街へいくと体が小さくなってしまう。
噂は本当だったと驚きつつ彼は身動きがとれない。そこに偶然現れた吸血鬼狩りの青年は人形になった手品師を拾う。
青年は吸血鬼狩りは弟子の彼に任せ、人形使いを始めることにした。
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街にひそんでいた盗賊の頭が決めた奪うターゲットの屋敷を見に行くと褐色の少年は蒼白した。
なぜならあの少女が住む屋敷だったからである。
しかし立場の弱い少年には異議を唱えることはできなかった。
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街に来た人形使いは乗る予定の格安の馬車が壊れ、まだ街を出立できないでいた。
怪しげな集団が屋敷の方へ向かうのを、彼は訝しみながら宿を探しに歩いた。
しばらくすると屋敷の近くを通りかかる。なんということか、屋敷は大炎上していた。
人形使いは少女の様子が気になって屋敷へ走った。
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屋敷が焼かれ少女だけが褐色の少年に助けられる。彼は瀕死になりつつ、傍にあった人形に魂を宿した。
焼けた屋敷は初めから無かったかのように姿を消していた。
目を覚ました少年は銀髪の男が全てをなくし、人形に魂をうつした彼女に声をかける姿を垣間見た。
『初めましてお嬢さん。私は人形使い』
―――そして物語りは始まる。
「こんなことになるのなら、もっと早くに始末しておけばよかった」
一人の男は焼け焦げてしまった屋敷の跡地を眺め、誰に聞かせるでもなく呟いた。