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シノープス 終幕C 安全地帯
〔貴方が変人だから〕〔師匠がきっかけ?〕
「もしかしてクルスニードに憧れて人形使いを目指したとか?」
物語ではよくある話なので、まさかと思いながらたずねた。
「さすがに違いますよ、私が人形使いを目指す前に彼は違う仕事をしていたようですから」
彼は人形を作る才能がなく人形を操るほうに転職したという。
〔賢い選択だと思う〕
――人形を作るのと使うのは似ていてもまったく違う。
それは料理を作るのと振る舞うのが別なようにだ。
作るには才能がいるが、運んだりするのは凡人でもできる。
「お金に困らない生活が出来ているならよかったんじゃないかしら?」
客観的に見て失敗しない無難な方を選択し、良い暮らしをできるなら賢い判断だったと思う。
「今日はありがとうシノープス」
「いえいえ」
私は彼に手をふって、帰ることにした。
―――彼にって一体誰と話していたのかしら。それに私は誰かを探していなかった?
もうなにがなんだかわからないわ。村へ帰ってしまおう。
【ノーマル:未完成品】




