その三
雨はまだ降り続いている。
コンコンとまたノックの音がした。今度はあのメイドだ。
「新一郎様からです。『暇だろうから茶に付き合え』だそうです」
私はその誘いに乗ることにした。階段を降りて一階の応接室に通された。
そこには新一郎の他にも数名の男女がいた。
「へえ、あんたが図々しくこの館に雨宿りに来た奴か。この館が結城家のものだって分かって来たのかね?」
年齢は十代半ばといったところか。肩までの金髪に耳にはいくつものピアス。いかにもガラの悪そうな男が私を見て言った。
「こら竜平!やめないか!済まない。気を悪くしないでくれ」
隣にいた男が私に謝罪する。歳は四十代くらいだろう。黒縁の眼鏡に立派な髭を生やしている。恐らく、竜平と呼ばれた男の父親だろう。
「私は石津龍太。こっちは息子の竜平、こっちが妻の桜だ。桜は新一郎くんの姉にあたる」
桜と呼ばれた女性は、年齢は三十代くらいだろうか。ボブヘアにした茶髪に桜のペンダントを首から下げている。彼女はニコニコと不自然な程に笑っていた。
「そちらにいるのが椿さん。新一郎くんと桜の姉だ。そしてそちらにいるのが撫子さん。椿さんの娘さんだよ」
椿と呼ばれた女性は、年齢は四十代くらいだろう。黒髪をボックスボブにし、派手な化粧をしている。
撫子と呼ばれた女性は、年齢は竜平よりもいくつか下くらいだろう。肩まで伸ばした黒髪に整った顔立ちの美少女だ。
「今この館にいるのはこれで全員だ。ああ、あとメイドの初もいたか」
新一郎が煙草の火を灰皿に押し付け、芝居がかった口調で言う。
「さあ、お茶会を始めようか」




