その二
扉を開けて直ぐ、ホールに出た。正面には2階へと続く階段が見える。外観が赤だったのでてっきり中もそうかと思いきや、白を基調とし甲冑や絵画などの美術品が並べられていた。
「こちらへ」
メイドの言う通りに着いていくと、二階の部屋へと通された。
「お風呂がついていますのでご自由にお使い下さい。タオルと着替えはベッドの上に用意してあります」
それでは。とメイドは頭を下げて去っていった。私は有り難く風呂へと入り、着替えとして与えられた服を着た。私には少し大きいようで、袖が余っていた。
コンコンとノックの音が聞こえた。はい。と返事をしてドアを開けると、そこには男性の姿があった。
歳は私よりも少し上だろうか。オールバックの黒髪、切れ長の瞳。口には煙草を咥えていた。
「少し大きかったようだな」
服の事を言っているのだろう。男はふっと笑った。
「俺は結城新一郎。一応この館の主だ。お前は?」
私は自分の名前と学生であること。そしてお礼を新一郎に述べた。
「礼などいらん。ただの気紛れだからな。
雨が上がるまでゆっくりしていくと良い」
そう言うと新一郎は部屋を出て行った。
図々しい私は、彼の言葉に甘えることにしたのだった。




