第二話 大捕り物
「ソヴェンテ帝国青剣騎士団東地区隊副隊長ロイステッド・エルランである!異教徒ども大人しく投降しろ!素直に従えば命を取りはしない!」
どうしようかなと考えていると、唐突に正面にある扉が開かれて光が射し、逆光で顔が見えないが金属製の鎧で身を包んでいる【せいけんきしだん】という男が数百名の人間を後ろに控えて乗り込んできた。
「破壊神様はまだ完全に覚醒されていらっしゃらない!皆、命を捨ててでも破壊神様をお守りせよ!!」
祭壇の近くにいた男が立ち上がりそう命令すると、さっきまで平伏していた人々がわらわらと青剣騎士団に素手で向かっていく。いやいや、騎士団の人たちは剣を構えているんだけど。
「くっ!抵抗するか!?皆の者!相手は素手だ。平打ちで無力化するだけで良い!かかれ!!」
名乗りを上げた人の命令で騎士団の人たちは、剣の横の部分でわらわらと素手で群がる人々を叩きのめして行った。十分もしないうちに全員捕縛される。そりゃそうだな。
「むむっ!こうなっては仕方ない。破壊神様!どうかお力をお貸しください!」
「え?私?」
祭壇前で命令しといて自分はただ突っ立っていただけの男が他の人たちが捕まるのを見てこちらに顔を向けて跪きながらお願いしてきた。あ、てっぺん禿ているね。いやいや。そんなことより。どうしよう?相手は騎士団って言っていたし、そもそも目の前のこいつらって何者?先ほどの少女の様子からすると、あんまりいい感じの集団じゃないよなぁ・・・
「う~ん。良く分からないけど。草よ。彼の者を拘束しろ!」
なんとなく、目の前の男が悪者っぽいので魔法で拘束する。
「は、破壊神様!?」
「その破壊神様っての。よく判んないからさ、とりあえず捕まろうか?」
「ええー!」
てっぺん禿のおっさんが絶望する。良く分からんが騎士団が踏み込んでくれて良かった気がする。祭壇から降りて突っ立っていると先ほどの騎士団の人がこちらに数名の部下と近づいてきた。
「これは?そこの君。こいつを拘束したのは君なのか?」
「はい。そうですけど。あの~。ここどこですかね?良く分からないうちにここの祭壇の上に寝かされていたんですけど。」
「ふむ。となると、邪神教団の被害者かも知れないな・・・。すみませんが念のため拘束させてもらいます。詳しい事は帝都に戻り次第お聞きしますので。」
「はい。わかりました。」
とりあえず。両手を差し出して縄で縛られる。どうやらこのまま帝都とやらに連れて行かれるようだ。
「破壊神様ー!」
てっぺん禿のおっさんがこっちを見ながらじたばたと抵抗をしている。あ、騎士団の人にぼこられている。暴れるから・・・
「破壊神様?」
「なんなんですかね?」
たぶん私のことを言っているんだろうけど、知らんな。
「それじゃあ。連れていけ!」
そんなこんなで、捕まっちゃいました。
見た目とか、肩書って。何にも情報が無い時はそっちを優先しちゃいますよねぇ。