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いせてん!チースタ!  作者: 遊路
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第十三話 チート魔法



 メモ帳とペンを購入しようと思ったのだが、魔法で代用できないだろうか?と日雇いギルドを出ようとしてふと思う。物は試しでやってみるか・・・


 掲示板の前に戻り、魔法を唱えてみる。ええっと、たぶんこうじゃないかな?


「神の御名において、彼の情報を知識として我に与えたまえ!」


 対象の選択を間違えてしまったようだ。掲示板に書かれていた情報をすべて記憶してしまった。魔法って凄いな。暗記する必要が一切ないということは、筆記試験楽勝じゃん!この魔法。日本で学生をしているときに欲しかったな・・・


「あ、あの・・・ご主人様?」


「ん?リナス?どうしたの?そんなに驚いた顔をして。」


「今の魔法。なんですか?初めてみたんですけど・・・」


「えっとね。対象の情報を脳に直接記憶させる魔法ですね。珍しかった?」


「私も魔法は詳しくはないですけれど。そんな便利な魔法があるんですね。初めて聞きました。」


 もしかして、一般的じゃないのかな?それとも、特殊スキルで作ってしまったのかな?う~ん。一般常識の本を魔法で記憶しとかないとな。


「それじゃあ。これから薬草の採取に行こうと思います。場所は帝都南にある森ね。」


「ゴブリンの森ですか。浅い場所ならモンスターが出ないので、初心者が行く場所として聞いたことがありますね。」


「へえ。帝都のことってリナスの村にも届いていたの?」


「はい。時々来る行商人が話をしてくれる帝都の話が村のみんなの楽しみのひとつでしたから。」


「そうなんだぁ・・・村と言えば。リナスのお母さん。病気治ったかな?連絡ってしている?」


「いえ。去年身売りしてから連絡は取れていません。薬で治る病気なので、大丈夫だと思いますが・・・」


「一年かぁ。心配だね。ちょっと行ってみる?」


「はい?」


「いや。だから、村に様子を見に行ってみる?帝都の外に出るついでにさ。」


「あの。私の村は帝都から一ヶ月はかかるところにあるので・・・」


「一ヶ月かぁ。空を飛んでいけば半日かな?」


「はい?」


「いや。だからさ。魔法で空を飛べば直線で行けるだろうから、半日くらいじゃないかな?」


「・・・」


「帝国の簡易地図って売っているのかな?とりあえず商人ギルドに行って尋ねてみようか。」


 なぜか黙ってしまったリナスを連れて、日雇いギルドから商人ギルドに移動する。ギルドはまとまって建てられているようで、歩いてすぐのところに商人ギルドはあった。日雇いギルドと違って、そんなに人は多くない。商人たちの朝は早そうだから、この時間だと空いているのかも知れない。とりあえず、相談窓口というのがあったので、そこで地図を売っているか聞いてみる。


「あの、すみません。帝国の地図は売っていますか?」


「はい。簡易地図であれば10万エルクで販売しております。」


 高いな。まあ、買っておけば一生物だろうし・・・ん?待てよ。さっきの魔法を使ったら、ただで済みそうだな・・・


「貸し出しはやっています?」


「貸し出しですか?それなら、隣の帝国図書館で閲覧ならやっていますよ。持ち出しはできませんので、どうしてもという場合はうちでご購入して頂くしかありません。」


「図書館なら、見ることは出来ると・・・では、そちらに行ってみます。ありがとうございました。」


「いいえ。またのご利用をお待ちしております。」


 商人ギルドに登録したら、行商も出来るのかな?資金は多少あるし、リナスの村に何か売る物を持って行っても良いかも知れないな。今日一日で、薬草採集から、リナスの村に行くとなると・・・ちょっと無理かな。とりあえず、今日は図書館で地図を脳にコピーして、薬草採取だけにしておこうかな。リナスも一泊くらいはさせてあげたほうが良いだろうし。明日の午前中に行商の準備を整えて、正午くらいには出発したいかな。荷物は魔法で何とかなるかな?図書館で魔法関係の本もついでに脳にコピーしておくか。


 外で待っていたリナスと合流して、隣の帝国図書館に行ってみる。奴隷はまた入れないそうだ。少し時間がかかりそうなので、リナスにお金を渡して屋台で何か買って、食べながら待つように指示を出して、図書館に入った。日雇いギルドの登録証と1万エルク支払った。出る時に7000エルク返してくれるそうな。本を汚したり、損壊したりした場合の保険のようなものらしい。まあ、損壊の場合はもっとかかるみたいだが・・・


 帝国の簡易地図以外にも隣国の位置関係を描いた図などもあったので、ついでにそれもコピーしたりしつつ、興味を持ったものや、必要になりそうな知識が書かれていそうなものを片っ端に魔法で脳にコピーする。もしかしたら、違反行為かも知れないので、ばれないように小声で魔法を唱えたのだが、ばれてないよな?


 ちょっとだけドキドキしながら、作業を終わらせて図書館を出ると夕方になろうという時間帯だった。色々と良さそうな本がいっぱいあったので思ったよりも時間がかかってしまったようだ。リナスは・・・家に帰ったのかな?


 近くに居ないようだったので、魔法で探してみる。


「風よ。リナスの居場所を教えておくれ!」


 さっそく魔法の本から得た知識が役に立ったな。いやぁ。脳にコピー魔法はチートだな。ただ、スキルを覚えなかったので、特殊な魔法な可能性が高い。あんまり人前で使わないほうが良いのかも知れない。魔法の本に載ってなかったからな・・・結構コピーしたのだが。


 リナスは家では無くて、近くの公園というか、噴水がある広場で待っていたようだ。結構待たせたからなぁ。トイレ大丈夫かな?小走りで近づいて声をかけたら、びっくりされた。ちびってないよね?聞くのもアレだが、見た感じトイレに行きたそうではあったので、急いで家に帰ることにした。夕食は家にリナスを送り届けてから買いに行くことにしよう。




某アニメの暗記が出来る食パンが欲しいと思った時期もありました。ただ、主人公が使った魔法は一時的に記憶するのではなくて、半永久的に残るようです。

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