第十話 初めての奴隷商館
奴隷商館に着いた。思ったよりも、表通りに建っていて明るい感じのお店だった。さすがにショーウィンドウに奴隷がディスプレイされているわけではないので、店の奥に進むと地下へと案内される。青剣騎士団の団長がいるのでサクサクと話が進んでいくようだ。
広めの部屋に通されると小さい舞台があって、その前にソファーが置かれているだけの部屋だった。そのソファーに座るように促された後、奴隷商人が手を叩くと、奴隷たちが部屋に通されてきた。10人もいる。人族が9人で、1人だけ獣人族だ。猫っぽいので、恐らく猫人族なのだろう。毛深くて、もっと動物側の顔だと思っていたのだが、目が猫のような感じで耳が尖がっていて、尻尾があるくらいで他は人族と変わらない気がする。ああ、ちなみに全員全裸だった。大事な部分は手で隠しているのだが、恐らく客に見せるように言われたら、その手を外すんだろうなぁ・・・まあ、今回は私用じゃないのでそこまでこだわらないんですけどね。
「おい。なんで獣人族がいる?言ったはずだが?人族のみ見せてもらおうと。」
「はい。わかっておりますが・・・奴隷商人のルールとして、必ずひとりは別種族を見せなければならないのです。申し訳ありません。」
「そんなルールがあるのか。だが、他の客だったとしても、意図した種族以外の者を見せられても意味がないんじゃないのか?」
「いいえ。興味は示して頂けますよ。また、他の種族と見比べることで、目的に適した人材をご購入して頂けることが多いと言われていますので。」
「まあいい。それで、ユ・・・なんだったかな?」
「ユーロです。」
「ああ、そうだった。それで、お前の気に入った娘はいるか?」
「別に好みで選ぶ気はないですよ?そもそも、今回は監視役として購入するんですよね?なら、見た目じゃなくて1年か2年の雇用期間の奴隷で良いと思うんですけど。」
「そうか?まあ、確かに今回は監視役だったな。それじゃあ、この中に1年か2年の者はいるか?あと、監視に使えるスキル持ちを頼む。」
マーカス団長が奴隷商人にそう注文すると、舞台に立っていた10人の奴隷たちは引き上げさせられる。目の保養にはなったんだけどね。最初にもう少しちゃんと注文してから呼べばいいのにね。まあ、マーカス団長も奴隷商館なんて慣れてないのだろう。
奴隷商人が部屋を出てしばらくすると、ひとりの女性を連れて戻ってきた。
「短い期間ですと、売れ残りの者しかおりませんので、お安くなってはおりますが・・・スキル持ちとなるとひとりしかおりませんでした。」
舞台に立たされた女性は正直美人とは言えないし、歳も30代くらいだろうか?まあ、出るところは出ているし、なんかエロい体ではある。手を出さないのでチェックしても意味は無いのだが。
「ふむ。それで、どんなスキル持ちなんだ?」
「はい。Lv1の追跡とタカの目のスキルを持っております。もとは農村の狩人の娘だったそうで、幼い頃に父親に狩りに着いて行き、それらのスキルを身に付けたそうです。」
商人はそういうと、彼女の詳細が書かれた紙を渡してきた。
名前 リナス
年齢 34歳
性別 女
種族 人族
出身 ソヴェンテ帝国ムンタファ子爵領ソルベ村
職業 奴隷
結婚歴 なし
犯罪歴 なし
スキル 追跡Lv1 タカの目Lv1 料理Lv2 清掃Lv2
清掃ってなんだろうと思ったら、掃除や洗濯などの家事系のスキルのようだ。掃除や洗濯というスキルはないらしい。また、スキルレベルは最高でもLv5までだそうだ。一般人の平均最高レベルは3だそうなので、料理と家事は大丈夫そうだね。
「期間なのですが。申し訳ありません3年未満の者は取り扱っておりませんので、彼の者をご購入の際は3年の契約となります。」
「それは、こちらのほうで早めに切り上げて解放したい場合は問題ないのか?」
「はい。料金の払い戻しはありませんので、解放時期に関しましては3年以内であればいつでもかまいません。ただし、3年経過しても解放しない場合は追加料金または、懲罰がありますのでお気を付け下さい。」
「ユーロ。この娘で問題ないか?」
「はい。かまいませんよ。」
「じゃあ、この娘で頼む。」
「かしこまりました。それでは料金のお支払いと奴隷主の契約を行いますので別室へどうぞ。その間に商品の受け渡し準備を済ませますので。」
通路を少し戻った地下に入ってすぐの部屋に移り、支払いと契約書にサインをする。
あれ?そういや、言葉も文字も普通に使えているな。当たり前にできるので、いままで気が付かなかった。なんだろう?召喚魔法にでも言葉や文字の知識を付与する魔法でもセットになっていたのかな?それとも、天使の仕業?
・・・まあ、いっか。生活に困ら無さそうなのでラッキーと思っておこう。
サインを済ませて数分後、ちゃんとした服を着せてもらったリナスさんが連れて来られた。
「それでは、お手をお出しください。」
「どっちの手です?」
「どっちでも構いませんよ?別に手に何かするわけではなく。契約魔法は手を握ってするものですので。」
「なるほど。」
契約魔法ってどんなのですか?という質問はしないでおこう。恐らく、一般常識っぽいので後で調べておこう。とりあえず右手を差し出す。すると、リナスさんの右手も奴隷商人が握ると呪文を唱え始めた。
「神の御名において、ここに主従契約を結ばせたまえ!」
奴隷商人がそう唱えると私とリナスさんの体が少しだけ光った。1秒ないかな?これで終わりなのか。
「これでその娘の職業がユーロ様の奴隷と変更されているはずです。ご確認なさいますか?」
「いえ。いいです。これで終わりですか?」
「はい。すべての手続きは終了しましたので、このまま連れ帰っていただいても構いません。ご利用ありがとうございました。よろしければ、今度は私用の奴隷購入にお越しくださいませ。」
そういや、奴隷商人には私は何者に見えているのだろう?騎士団長を連れた貴族に見えるのかね?でも、服はさっき買ったばかりの平民用のだからなぁ。まあ、さすがに新品を買ったので、平民に変装したお忍びの貴族に思われているかも知れない。ちなみにリナスさんのお値段は3年契約で100万エルクだった。金貨で10枚である。通貨は10万エルク金貨・1万エルク大銀貨・1000エルク銀貨・100エルク大銅貨・1エルク銅貨の5種類で10万エルク金貨は平民の間では流通していないようだ。それを支払いの時に出したから、貴族と勘違いされているのかも知れない。まあ、細かく説明する必要な無いのでいいか。
マーカス団長とリナスさんを連れて、奴隷商館を出る。さっそく家に戻って、生活空間を整えてもらうことにした。自己紹介は落ち着いて話せる場所が出来てからだ。もちろん、マーカス団長は手伝わない。そこまでする義理はないですからねぇ。帰る途中で買った飲み物と串肉を家の外で食べていた。そして、掃除が終わってから、魔法を使えばよかったんじゃね?と気が付いたのだった・・・
リナスさん。熟女枠に入るんですかね?




