吹き抜け
ジェニーは船から降りると、体が浮きながら楽しんでいるようだ。はじめてくるケレス第一中継基地のあちこちを見に行きたいと、全身で訴えている。だが、鰆はこの広いところで一人きりにする心配があったので、一人でどこかに行かないように、手をつなぐことにした。
「このケレス第一中継基地は、ケレス植民時代からある、由緒正しい基地なんだ」
鰆は、繋留手続きを済ませると一歩中へ入りながら、ジェニーに説明をした。だが、その説明をジェニーは聞いていないようだ。初めて見るケレス第一中継基地の中の光景を楽しんでいるように見える。
税関手続きと繋留手続きのスペースを抜けると、最上階から最下階までが吹き抜けとなっている空間へと出る。それぞれのフロアを円状に切り取った吹き抜け部分は、あたかもエレベーターのように誰もが上下へと動いていた。手すりの代わりに、上下の端から端まで続いているパイプがあり、それを使っているのだ。
「離れないように、ね」
そう言って鰆は、互いに腰紐をつける。ジェニーは、それを黙って受け入れていた。
「階数は120。5分の1はL・ホテルグループが使っていて、ホテルとなっているんだ。地球の傍、ラグランジュポイントにあるホテルで、正式にはラグランジュホテル ケレス店と呼んでいるんだ。ただ、長いからね。Lホテルと、普段は呼んでるよ」
鰆は何も見ずに説明をはじめた。そんな説明をしつつ、腰紐の長さをおおよそ3メートルほどに設定し、吹き抜けへと進む。




