宇宙船
鰆が宇宙船を買ったのは、イヴァン・スカルが捕まったというニュースが世界中を駆け巡った2497年のこと。鰆が15歳の時だった。当時は、1人で運転を続けて言うことを考えていた。誰も一緒に飛ぼうということを考えていなかったからだ。
鰆が生まれたのは、2482年。小惑星帯エリアのケレスだ。13歳の時、第2種宇宙船免許を取得。副船長になることができるが、当時、船は持っていなかった。だが、15歳になり第1種宇宙船免許を取得。この時、親から誕生日プレゼントとして鉱石をもらった。これが全ての始まりだ。当時、宇宙船免許取得のために通っていた宇宙船学校で同級生だったイライゴ・アケルナルから古くなった宇宙船を15年ローンで譲ってもらった。この船は、今も鰆が使っている船だ。徐々に自分好みにカスタマイズはしているが、大枠はあまり変わっていない。ちなみに、アケルナルは、ジェニーの父親であり、イライゴ・エリダンの息子である。発掘会社「イライゴ=フラムス株式会社」の経営者兼発掘主任であるため、ほとんど家にはいない。鰆に船を譲った時には、すでに22歳で、イライゴ株式会社を立ち上げて数年が経っていた。時だ。
さて、鰆が持っている宇宙船は、正式にはヒギエア社製5人乗り宇宙船「キュベレー」という。最小乗員1名、最大乗員5名。但し、緊急酸素と言われるボンベを放出した際には、5時間以内で8名まで載せることができる。最大積載量は100トン標準質量。15の隔壁があり、16の部屋に分かれている。1部屋ずつに1種類の鉱石を載せるのが基本である。他の種類と混ざらないようにするためだが、その際、隔壁閉鎖をし、混ざらないようにすることが多い。燃料は標準混合燃料と呼ばれる種類を積むことになり、最大20トン標準質量搭載可能だ。さらに、エンジンはヒギエア社製混合燃料利用真空エンジンで逆推力装置がついている。経済速度であれば、1週間ほど飛び続けることができる量だ。小惑星を掴むためのロボットアームは3本、ドリルタイプが1本、ハンドタイプが2本だ。ドリルは大きな物を砕いたり、貫くために。ハンドは掴むためにある。また、ハンドタイプのうち1つは、網を出すことができ、おおよそ3cm以上の物であれば取り込むことができる。これらの取りこんだ小惑星を資源とするための選別機も、当然搭載されている。ヒギエア社製小惑星資源選別機「スーパーセレクター・アルファ」と呼ばれるもので、試料1つに対して、あらかじめ登録されている20種類の鉱物と照らし合わせて選別することができる。さらに3m以内の大きさであればどのような内部構造をしているのかを調べることもできる。ちなみに、鰆がオプションとして鉱物の売却値段の推定値を算出できるようにしている。その他、平衡感覚を保つためのバランサー、5人用緊急脱出用カプセル、緊急離脱エンジン、さらに太陽帆が搭載されている。もっとも、これらのうち、バランサー以外はほぼ使うことはない。




