路地裏にて
楽しく読んでいただけたら嬉しいです。
薄暗い夜の裏路地を少女が一人スキップをしている。
スキップに合わせ少女の栗色のショートボブが跳ねる。
後ろ姿なので表情は窺えないが、きっと可愛らしい娘だろう。
暫く観察しようと思う。
少女はピンクを基調とした沢山の白いフリルがあしらわれたワンピースを着ている。
少女がスキップをする度に大きなピンクのリボンが付いた白い厚底のブーツとアスファルトがぶつかりコツンコツンと小気味の良い音がする。
スキップをする度に少女の体がふわりと浮く、それに合わせてワンピースもふわりと浮く、だが体の方が先に地面に着いてしまうためワンピースが元の位置に戻ってくるまで少しだけタイムラグが生じる。
つまりパンツがちらちら見えているということだ。
服に合わせたのか、それは白とピンクのボーダーだった。
少女は急にスキップをやめ、肩から提げたピンクのポーチに手を入れ何かを探し始めた。
少女のパンツが見えなくなり非情に残念であることは言うまでもない。
少女はポーチから、その小さな手に収まるぐらいのスマートフォンを取り出した。
少女の真後ろにいるため上からなにをしているか覗くことができる。
何処かに電話をかけるようだ。
画面に映る番号は110、警察に何の用があるというのか。
「あ、もしもしお巡りさん?」
とても幼く可愛らしい声だった。
「真宿駅近くの裏路地に変質者が一人伸びてるから拾いに来てくれない?」
「へ?」
間の抜けた声をあげた時には、少女の拳が既に私の鳩尾にめり込んでいた。
激痛に前屈みになってしまう。
がら空きになっていた後頭部に激痛がはしり、そこで私の意識は途絶えた。
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