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初恋?ショコラ。

作者: 地海月

ローソンのケーキの味の記憶がないので、味に言及せず書いてまして、明るくしあげてみたら、凄く、本人は紹介しにくい小説が出来上がったわけです。一応恋愛もののつもりです。

あいつは性質が悪い奴だ。

そして変な奴だと俺は思ってる。


初対面でいきなり、「長い付き合いになるじゃろう!名を名乗れ!」と俺を指差したのが付き合いの始まりだった時点で、察していただきたい。


ツッコミ所は多かったが、とりあえず眉間を揉みながら「あなた、誰です?」と返した。

「うむ。私が名乗るべきだったか、□□□□□という。」と返された。

「さあ、私が名乗ったのだから。名乗るがいい」と追い討ちが来た。

とりあえず、ツッコミは置いておいて名乗り返した。

目を輝かせながら「いい名だな!」とあいつは喜んだ。

その笑顔に顔が赤くなったのは一生の不覚だと今でも思う。


後々動機を聞いたら、「実際、長い付き合いになっとるじゃろ?」と胸を張って言われた。

いろいろ悲しくなったから、とりあえず泣いたら抱きしめられた。

お前のせいだと言いながら、俺より背の高いあいつの胸に、顔を埋めた俺は悪くないはずだ……多分。

温かくて、いい匂いがした。なんとなく悔しかった。


そして、あいつに振り回される日々が始まった。

思い出すだけで、疲れるから、思い出したくない。

ただ、楽しくもあったのは認める。それ以上に疲れたが。


出会ってから、一年目のバレンタインだったか。

コンビニで買ってきたケーキを、なぜか皿に盛って「さあ、喰らうがよい」とあいつが持ってきたのは。

俺は、「はいはい」と言いながら、とりあえず美味しくいただいた。ケーキに罪はないと思ったからだった。

食べ終わったあと、いい笑顔であいつが「次は来年だ」と笑ってた。何故か寒気がした。

それから7年、そのケーキを毎年俺は食べることとなる。

今思えば、外堀埋められてたんだろう。興味がないからと、テレビをあまり見ないのが祟った。

それを知ってて仕込むのだから、あいつはたちが悪いと思う。思うが侭に行動してるだけだから、さらにたちが悪い。


中学・高校6年間があいつと同じだったわけだが、6年間常に同じクラスだった。

優等生ながらも、思考が飛んでて理解しにくいあいつと、あいつに親しい俺を別のクラスにするのは、面倒くさかったのだろう。

心中察せたから、何も言わなかったが。あいつも喜んでたことだし。


二人して、同じ大学に合格して、流石に学部は違ったが相変わらずの関係が続いてた。

あいつは相変わらず俺を振り回したし、俺もそれに付き合っていた。

関係を変えようと、俺は思ってなかったが、あいつは違ったのだろう。

そのことに、今思い返せば、俺もなんとなく気づいてたような気もしなくもない。


7回目のバレンタイン。

そのときも、あいつはいつものケーキを持ってきた。至極珍しく、おしゃれをしてきてた。

その時点で、おかしいと思うべきだったのだが、俺は珍しいと思っただけだった。

そして、いつもどおりケーキを食べ終わったら、隣にあいつがいた。

「このケーキのキャッチコピーをしってるか?」とあいつが聞いた。

「しらん」と俺が答えた。あいつがクククと笑った。

なあとあいつがいった。なんか様子がおかしいぞと俺は思ったが、気のせいだと流した。

『ケーキと私のキス、どっちがすき?』というんだそうじゃとあいつが言った。俺は冷や汗が出始めた。

すっと、あいつが俺の腕に絡みついた。なあ、とあいつが再び言った。俺は隣が見れなかった。

○○はどっちなんだ?と俺の耳にささやきかけるように、あいつが言った。ぎこちなく俺はあいつの方を向いた。

振り向かなきゃよかったとその瞬間後悔した。見たこともない、いい笑顔だったからだ。

さて、7年経ったなとあいつが言った。あ…ああ。と俺は答えたと思う。

初恋の味はどうじゃったとあいつがいった。俺はもう返答すら出来なかった。

ククク、どうした?答えられんのか?とあいつがいった。答えられるはずがなかった。心臓があおってた。

固まってたら、あいつにいきなり唇を奪われた。頭がまっしろになった。

それから後は記憶が飛んでいる。気づいたら雀が鳴いていた。起きてすぐ、頭を抱えた。あいつのやりきった寝顔をみて、涙を流した俺は悪くないはずだ。


それからほどなくして、そのケーキが初恋ショコラというものだと知った。それと同時に、人生が決まったことを知った。ひざをついて涙流してたら、抱きしめられた。

涙流してる原因に慰められてることが、いつも以上に切なかった。


そして、今、俺の目の前には、いわくつきのケーキがある。

「初恋の味をかみ締めるがよい」とあいつが言ってる。

いろいろ納得いかないけれども、幸せなのだと無理やり納得する



『ケーキと私のキス、どっちがすき?』―――不本意ながら、キスの方だ




企画をみて、参加してみようかなと思って参加したら、こんな小説が出来上がりました。主人公は苦労人です。でも幸せです。彼女は、わざとやってることもありますが、あれが素です。多分天然(?)さんです。主人公相手だと変な口調ですが、普通に話すことも出来ます。

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