エピローグ
「10、9、8……!!」
秋季リーグの最終戦。
残り10秒になって、ベンチの選手たちが揃ってカウントダウンを始める。
清田主将たちとの、最後の試合。
S大BLACK CATSは怪我がすっかり完治した司先輩の活躍もあって、大差での勝利を目前にしていた。
観客席の一部もカウントダウンに加わり、みんなでその瞬間を待つ。
「3! 2! 1! ……ゼロ!!」
フィールドに歓声が沸き起こる。メンバー全員が笑顔で腕を突き上げた。
「胴上げしようぜ! 清田主将!!」
部員たちに引き寄せられ、少し照れた顔の主将が中央に送られる。
「「「せーのっ!!」」」
主将の巨体が、いかにも重そうに宙を舞う。
さすがのアメフト部員でも清田主将を持ち上げるのはやっぱり大変なんだな、なんて思い、つい笑ってしまった。
泰吉先輩、翼先輩、4年生の先輩たちと続いた後、清田主将がまだ誰かを探すようにあたりを見回している。
その視線が、ぴたりと私のところで止まった。
「次は――香奈、こっち来い!!」
「えっ! 何でっ!?」
「まーまーまー」
「いいから、いいから」
なぜかあっという間に部員たちに囲まれ、集団の真ん中へと連れ込まれる。
「いくぞ! 我らが最高のマネージャーに感謝を込めてっ!! そーれっ!」
清田主将の掛け声のあと、高々と空に向かって放り投げられた。
「ぎゃーっ! 怖いですっ!! 高いっ、高すぎだってばーっ!!」
「「「「「初彼ゲット、おめでとーう!!」」」」」
「いーやー!!」
「こいつ軽りぃーなぁ。どこまで飛ぶかやってみようぜ」
「「「「「オウッ!!」」」」」
「泰吉先輩のっ、バカー!!」
見渡す限りの、青い空。
みんなの笑い声と私の絶叫が爽やかな風にのり、運ばれていった。
【僕らアメフト同好会、第1部 片想い編 完】
これにて、「僕らアメフト同好会」第1部【片想い編】完結になります。
拙い作品にここまでお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました。
詳しくはブログの方に書いておりますが、このあと少し準備の時間をいただいてから、二人が恋人同士になってからのお話、第2部の【恋人編】を続けさせてもらいたいと思っています。
まだ読んでやってもいいよーというかた、お付き合いいただけると嬉しいです。
それでは、本当に沢山の方に読んでいただきまして、ありがとうございました。