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3話

興味を持ってくださりありがとうございます!

もし、人気があれば他作品よりも優先順位を上げて書いていきたいと思います!

 二人はそれから街外れの洞窟へと向かった。 道中、ミストレアは逃さないと言わんばかりにリゼルの手をずっと握っていた。


 気恥ずかしくなりリゼルは外そうとしたが、逆に指を絡ませ握り直された。


 ミストレアはどこまで自分のことを知っているのだろうか? とその間リゼルは考えていた。 意図的に何者かなのかを隠しているようにも見えた。 人との距離感を知らないリゼルは踏み込んでいいものなのか、それともこの距離感が普通なのか、グルグルと思考を巡らせていた。


 結果、彼女と共に行動していればおのずとそれも分かるだろう、と答えを先延ばしすることにした。


 二人は青い水晶が隆起し、鮮やかな景色を作り出す洞窟の中へと入った。


「すごい綺麗なところですね!」

「世界中にこのような場所が点在しているよ」

「そうなんですか!?」

「ああ、冒険者の多くはこのような魔力を源泉に形成される場所──迷宮を探索し、中で発見される金銀財宝を売って生計を立てている。 リゼルも冒険者になったのなら、これから多くの迷宮を探索するだろう」


 森の中でしか生活してこなかったリゼルにとって、眼前に広がる景色はとても珍しく、それでいて煌びやかに感じられた。


 洞窟の奥から肌を撫でるように冷たい風が吹いていた。


 その風に乗って聞こえるなにかの呻き声。 ただ、人間の声ではないことだけはハッキリと分かる不気味さもあった。


「この水晶は魔力で出来てるんですね」


 青い水晶に顔を近づけると、内側で七色の微細な粒子が互いに衝突し合い、僅かな光を生み出していた。


「あまり顔を近づけない方がいいよ」

「──え?」


 その瞬間水晶が動き出し、岩壁に擬態していた魔物が無数の牙を剥き出しにしてリゼルに襲いかかってきた。


「ガァッ!」

「──うわっ!!」


 ミストレアはリゼルの服を掴み自分の方へと抱き寄せ、何処からともなく出現させた大剣で魔物の頭部を串刺しにした。


 大剣に貫かれた魔物は力なく倒れ、動かなくなった。


「──大丈夫かい?」

「あ、ありがとうございます」

「言い忘れていたが、迷宮は魔物の棲家でもある。 あまりはしゃぎ過ぎちゃいけないよ」

「はい、気をつけます」


 すると、音を聞きつけたのか先ほどと同じ魔物──鱗に青い水晶を隆起させた爬虫類型の魔物が二人の前後を取り囲むようにして現れた。


 魔物はリゼルたちを視認すると、威嚇するように咆哮した。


「ガァァァァ!!」


 ゴツゴツと角張った青い鱗、岩を容易に砕きそうな鋭利な牙、四足には鉤爪を備えており、細長い尻尾で地面を叩いている。


「ロックドラゴンか。 物理耐性がある少し厄介な魔物だね。 良い機会だ。 リゼル、村での君の役割は魔物を狩ることだったね。 少しその実力を見せてくれないか?」

「もちろんです! 任せてください!」


 初めて自分がやってきた仕事を認識してもらえた気がした。 それだけで、不思議とやる気が湧いてくる。


 前方に2匹、後方に1匹。


 後方にいたロックドラゴンが、口を大きく開き突進してくる。


 リゼルは背中の剣の柄を持ち、洞窟の壁へ跳躍する。


 壁に張り付くと今度は天井へと跳躍し、勢いよく垂直に降下した。


「──はぁぁっ!!」


 回転しながら剣を抜き、ロックドラゴンの首を切り落とした。


 ボトッと落ちた首が転がり、胴体は力なく横に倒れた。


「ほう……やるね」


 ミストレアはリゼルの戦闘ぶりに感心の声を漏らした。


 リゼルの様子から危険視したのか、前方にいたロックドラゴンが一斉に向かってきた。


 リゼルも同時にロックドラゴンへと駆け出した。


 右翼のロックドラゴンがその強靭な顎で噛み付くと、洞窟内に硬質な音が反響した。


 しかし、リゼルはそれを跳躍しながら回避し、ロックドラゴンの背後へと着地した。


 地面に足がついた瞬間、尻尾の先端から横薙ぎに斬りつける。


 さらに1匹が倒れると、残ったロックドラゴンは開口と同時に、魔力を溜めた光線をリゼルへと放った。


 向かってくる光線を左右に躱しながらロックドラゴンへと近づき、目にも留まらぬ一閃で斬り伏せた。


 ふぅ〜と張り詰めていた力を抜き、剣を納める。


「良い動きだね。 私が教えるまでもなかったかな?」

「ありがとうございます! 昔からなぜか剣だけは得意で」

「そうか……じゃあ次はもう少し強い魔物と戦ってみようか」


 ミストレアはそう言って、リゼルを迷宮の奥へと連れて行った。


「あの……ミアさんここって?」

「ん? ここはこの迷宮の最奥、迷宮の主──クリスタルドラゴンのエリアだよ」


 目の前には七色に輝く鱗、青色に輝くクリスタルのような瞳でリゼルたちを見下ろす巨大なドラゴンがいた。


 頭部から尻尾の先にかけて無数のクリスタルが隆起し、それはまるで、脊骨が表に出てきたかのような造形だった。


 見上げるほど大きい巨大なドラゴンに圧倒されていると、クリスタルドラゴンは殺意を剥き出しにした咆哮を上げた。


「ギィィガァァァァァ!!」

「うん、威勢がいいね」

「あれを倒すんですか!?」

「クリスタルドラゴンは数百年前から生きているとされ、今までに多くの人がやられてきた。 気をつけてね、あのドラゴンのブレスは生物を結晶化する効果があって、一度結晶化したら二度と動けなくなるから」

「え! その情報はもっと早く言ってくださいよ!」


 その瞬間、七色に輝くブレスがリゼルたちへと放たれた。

お読み頂き、ありがとうございます。

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