68
ピンクブロンドに発色のいいエメラルドグリーンの瞳。きりっとした少々キツイ印象な母親の女王様より、おっとりとした柔らかい雰囲気の父親である王配様に似ている王女様。間違いない、本人である。
ついさっき、お茶会に出席していた王女様――レギーナ様。
しかも、彼女の背後には、わたしに割り当てられたメイドそっくりのメイドがいた。流石にこれだけ似ていれば、双子かどうかはともかく、血縁関係があると思うしかない。顔を誤魔化す『異能』の類を持っているか、整形を受けていなければ、の話だが。
しかし、状況を見れば、さっきメイドの言っていたことは正しいのだろう。王女様自ら行動させてしまった。
わたしは内心で冷や汗をかく。
しかし、レギーナ様は気にしていないのか、「これで信じたか?」と、随分と勇ましい口調でわたしに問いかけてきた。
「流石にこの場では、会話をすることはできない。私の部屋に来てほしいのだが、構わないか?」
腕組をするレギーナ様。見た目は父親似でも、中身は母親似らしい。
――他国に嫁いでしまった身ではあるが、王女様にここまでしてもらって、首を横に振れるわけがない。
「心配なら、ラペルラティアの夫を連れてきて構わない――と言いたいところだが、私はまだ未婚の身でね。親族以外の男を自室に入れるわけにはいかない。……だが、人の目がある場所で簡単に話せる内容でもないのだ」
明らかに人の目を気にしている王女様。長い廊下には、わたしたちしかいないものの、いつ第三者が来るか分からない。今すぐにでも、王女様は場所を移したいのが、態度で分かる。
「……かしこまりました。ついていきましょう」
わたしがうなずくと、レギーナ様はあからさまにホッとした表情を見せた。
「危害を加えるつもりはない。ただ、少し話がしたいだけだ。オアセマーレ第一王女、レギーナ・パシドル・オアセリアの名に欠けて誓おう。……もっとも、貴女がそれを信じるか分からないが」
第一王女様とは、オアセマーレにいた頃、そこまで交流があるほうではなかった。微妙に年代が違うのである。まるっと学園時代がずれている。レギーナ様が学園を卒業される年にわたしは入学したのだ。
そうなると、いくら侯爵令嬢とはいえ、母親か、彼女と同年代の姉から紹介してもらうくらいしか知り合う伝手はない。しかし、わたしに姉はいないし、母親はあの態度。知り合いようがない。
それでも、わたしの人を過剰に疑う悪癖は知られているのだな、と思うと、少し居心地が悪い。さきほどの、お茶会でのスノーティアとのやりとりを見られていたのかもしれないが。
「……いいえ、信じましょう」
出身国の第一王女。彼女は、まっすぐな性格で、よく言えば真面目で正義感が強く、悪く言えば愚直である、その性格は国内に知れ渡っている。平民でも知っていることだ。
シオンハイト以外に、初めて信用する相手を選ぶのであれば、悪くない人物だと思って、信じると、口にした。
手が震え、喉が乾く。
わたしが信じる、と言ったことに驚き目を丸くしていた彼女だったが、「君の期待に答えられるよう、全力を尽くそう」と言ってくれた。




