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女同士のお茶会って、こんなにも疲れるものだっけ……と思いながら、わたしは用意された部屋へと戻ろうとしていた。言い方は悪いが、シオンハイトが用意してくれるお茶やお菓子を食べるときは気を使わないでいいから、楽なのだ。
それに比べて、今日のお茶会は気を使わないといけなくて大変だった。特に、スノーティアや王女様や夫人相手に気を使った。シオンハイトに気を許していることや、『異能』で失った記憶を取り戻したことを気が疲れないように話さないといけなかったから。
さっさと部屋に戻って一人になりたい、と思っていると――。
「ラペルラティア様」
声をかけられて、わたしは思わず足を止める。この城にいる間、わたしにつくメイドさんから声をかけられた。実家にいる頃から他人への疑いをこじらせていたわたしには、昔から一緒の専属侍女、というものがいない。
だから、リンゼガッドにいるときも、この城にいるときも、それぞれメイドが違う。信用できるメイドを作った方がいいというのは分かっているのだが、どうにもそれができないでいた。今更、新しく専属の侍女を求めるもの変な話だし。
「――レギーナ王女様がお呼びです」
わたしはぎくり、と体をこわばらせた。
このシチュエーション、つい最近、似たようなことを体験した気がするのだが。呼んだ相手は本当に王女様なのか――それとも、違うのか。そもそも誰かが呼んでいるのは事実なのか。以前呼ばれた先にはシオンハイトがおらず、別の男がいた。
わたしが何の返事もせず、疑いの目で見ているのに気が付いたらしい。メイドが、彼女自身の持つ『異能』について話始めた。
「私の『異能』は、双子の姉と意識を交信できるというものです。姉は王女様に仕えており、たった今、ラペルラティア様を呼ぶよう命じられたと、交信いたしました」
う、嘘くさい。
いや、事実として、そういう類の異能があるのはおかしくない。ただ、彼女の『異能』がそういうものなのか、そもそも彼女に双子の姉がいるのか、王女様がわたしを呼んでいるのか、疑うポイントが多すぎて、わたしは彼女を全く信じられないでいた。
わたしが黙っていると、彼女の視線が上に向く。つられてわたしも上を見たが、特に何もない。
――と。
「……王女様がこちらに直接来るそうです。ここでお待ちください」
メイドがそう言った。今の視線は、『異能』で交信をした、ということなのだろうか。本当に?
仮に王女様が呼び出しているのが本当だったら、わたしのところに来てもらう、というのはなかなかまずい状況だ。呼び出されたのなら、わたしが行かなければならない。
しかし、嘘かもしれないし、なんなら、先ほどの夫人のあの態度を見るに、拷問とかされて情報を持っていないか吐き出させられるかも……。
他人を疑う悪癖を治したい、と思いながらも、全く治る気配がない中、どうするべきか迷っていると――わたしが結論を出すより先に、王女様が近付いてくるのが見えた。




