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――ふわふわする。
頭が朦朧としている、という意味もあるけれど、もっと直接的な、肌触りがいい、という意味合いの方が強い。毛布、こんなに触り心地よかったっけ?
それとも、現実じゃないのだろうか。風邪をひいてうなされているときって、普段以上にわけの分からない夢を見て、そしてそれが現実だと思い込んでしまうものだ。
でも、すごく触ってて気持ちいいなあ。夢なら撫でててもいいかな。
まぶたを閉じたまま、きゅっとそれを握って――あれ、毛布握ったときって、こんな感じだったっけ。
「ラ、ララ……?」
「――……」
シオンハイトの声がした気がして、頑張って目を開けると、シオンハイトがベッドに腰かけているのが分かった。ゆるゆると頭が覚醒してくる。これ現実だ。夢じゃない。
いつのまにか、シオンハイトがわたしの様子を見に来たんだろう。風邪、うつすと良くないから、来ないほうがいいのに。わたしの風邪がうつって、シオンハイトも風邪をひいても、わたしは何もできないし、責任もとれない。
「あの、ララ。手を、離してもらえると……」
わたしはゆっくり視線を手元にうつす。わたしの手には、白と黒のしましました模様の、ふわふわした長いものが――これ、シオンハイトのしっぽだ。わたしが寝ている間に、わたしの様子を見に来たシオンハイトがベッドに腰かけ、そのときに寝ぼけたままわたしがしっぽを握ったというところだろうか。……わたし、さっき、ふわふわする何かを、撫でたり、頬ずりしたり、してなかっ、た、っけ……?
「――っ!」
わたしはパッとシオンハイトのしっぽを手放すと、布団の中に勢いよくもぐりこむ。撫でただとか、頬ずりしただとか、どこまでが夢だったのかは分からない。全部夢であってほしいけど、シオンハイトのしっぽを握っていたのは事実だ。なんてことをしてしまったんだろう。
「――げほ、ん、んんっ、ごほごほッ」
寝起きで急に動いたからか、思い切り咳き込んでしまう。
「だ、大丈夫!? 僕、気にしてないから、布団に潜るのやめた方がいいんじゃない? ほら、顔出して、そこじゃ苦しいでしょ」
気にしてない。ということは、したんだ! 夢じゃないんだ! シオンハイトのしっぽを握って撫でて、頬ずりしちゃったんだ!
「う、う~~、ごほ! げほ、ゲホゲホッ」
そんなことを言われては、余計に顔を出しずらい。掛け布団の外から、シオンハイトが声をかけてくるけれど、しばらくわたしは布団の中にこもることしかできなかった。




