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わたしがプリンを食べるようになったからといって、シオンハイトがやってくる頻度は減らなかった。代わりに、必ずプリンやゼリーといった、毒や薬が混ぜにくそうなお菓子が出されるようにはなったが。
今のところ、腹を下したり、気分が悪くなったりするようなことはない。
でも、こんなにもほとんど毎日わたしのところに来て……仕事をしているんだろうか、シオンハイトは。
いつになったら諦めるんだろう、とはずっと思っていたけれど、最近になって、彼の就業スタイルが気になってきた。もちろん、一日中わたしと一緒にいるわけじゃないし、毎日お菓子を運んでくるわけじゃない。
でも、日中の、丁度おやつどきというのは、普通仕事の時間帯なんじゃないだろうか? まったく仕事をしていないわけじゃないだろうけれど、かといって、ちゃんと働いているのかも不安になる。
わたしが彼の仕事を心配したところで、どうにもならないのだが。
そして最近気になることがもう一つ。
暇だな、と思うようになる時間が増えた気がするのだ。
つい先日までは、ずっと気を張っていて、それも今はあまり変わらないのだが、誇張なしに、わたしは一日中部屋にこもっている。
わたしが、シオンハイトと共に使っているこの夫婦の部屋は、前世のテレビで見たような高級ホテルのスートルームみたいな部屋だから、圧迫感はないものの、同時に、水回り完備なため、室内で全て完結してしまう。こんな場所で、じっとしているのは気が滅入るのだ。だからといって、一人で王城を歩き回る度胸はないので、余計に質が悪い。
最近は再び、こちらに来たばかりの頃のように、帰りたい、という感情がぶり返していた。
やることがないから、こうやって考え込んでしまうのだろうけど――。
「ララ!」
勢いよく扉が開かれ、シオンハイトが入ってくる。
今日もシオンハイトが来る時間か、と思ったけれど、今日の彼はお菓子を持っていない。廊下に使用人が控えている様子もなかった。
不思議に思っていると、シオンハイトは、ソファに座っていたわたしの隣に座る。……やっぱり今日は手ぶららしい。
「ねえ、ララ。外に興味はない?」
シオンハイトが、わたしの顔を見ながら聞いてきた。
――外。
それはこの部屋の外、ということだろうか。それとも、もっと広い意味で城の外、とか?
わたしが返答に困っていると、いつものだんまりだと思ったらしいシオンハイトが、わたしに構わず話を続けた。
「ララたちが自由に外へ出られる許可が降りたんだよ」
そして、いつものように笑顔で、そんなことを言った。




