表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された侯爵令嬢は、元敵国の人質になったかと思ったら、獣人騎士に溺愛されているようです  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/114

103

 誰かにバレてはいけない、という話をうさぎ耳のメイドに言ったわけではないけれど、昔のシオンハイトがお忍びとしてこの屋敷にきていたからか、今回もお忍びだと思ってくれたようで、彼女はひっそりと、客間に案内してくれた。

 誰にもばれないように案内された客間は、妙な懐かしさがあった。ずっと昔に来たことがあったっきり、もう何年も来ていなかったから、懐かしいような、初めて来る場所のように感じるような、不思議な感覚だ。


 メイドに案内されて、しばらく待っていると、一人の女性が現れた。

 ――実母だ。

 もう随分と会っていなかった彼女は、記憶にあった頃よりも、ずっと老けていた。わたしが成長し、大きくなったからか、それとも、彼女がそういう年齢になってしまったのか、昔よりもずっと小さくなっているように感じた。


「――……ラペル、ラティア……」


 わたしの顔を見て、一瞬でラペルラティアであると気が付いたのか、少し泣きそうな顔をしている。

 わたしの顔を見て、泣きそうな表情をして――シオンハイトと、わたしの髪色と瞳の色を見たのか、どこかさみしそうな顔に変わった。


「全部、思い出してしまったのね」


 わたしの『異能』が色を変えられるようになっていて、しかも隣にはシオンハイト。わたしの『異能』については、察するものがあったらしい。

 ――しかし、全部、かと言われると自信がない。シオンハイトと記憶の擦り合わせは済んでいるものの、シオンハイトのいなかったときのことは確認のしようがないし、なにより、わたしの記憶をいじった人のことは思い出せないでいる。


「ラペルラティア、貴女が再びここに戻ってくるとは思っていなかったわ」


 ……わたしだって、シオンハイトと再会することも、記憶を取り戻すことも、ましてや、こうして戦争の原因を突き止め、終戦に向けて危険を顧みず行動するとは、少し前のわたしからは想像もつかなかった。

 必死に探した婚約相手であるシディール様と結婚し、子供をもうけるものだと思っていたし、婚約破棄されてシオンハイトのところに来たばかりの頃は、もう、全て終わりだとばかり、思っていた。


「――マ……。……。――再会の思い出話は後にしましょう。今日は、……貴女に、頼みがあるんです」


 ママ、と呼びそうになって、わたしは一度、口をつぐんだ。いい歳してママは流石に恥ずかしいし、長年会ってこなかった相手をママと呼ぶのは、なんだか抵抗があった。

 実母も、それを察してくれたのか、曖昧に笑っている。


「……。レギーナ様に、取り次いで欲しいんです」


 わたしの言葉を分かっていたかのように、彼女は、二つ返事で了承してくれた。

 実母も、なんとなく、戦争の原因である『獣人奴隷』の真実に気がついていたのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ