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クリスマスEEC

長いので単品

Ver1

 石を蹴る。コロカラカンカン。無力な石ころが転がっていく坂道。人生もかくあるものかなぁ。

「なんてエセポエムってる場合じゃねぇや」

 吐息とともに吐き出した呟きが、水蒸気で白く染まる。

 石ころは道半ばで止まった。

 蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。止まる。

 再び蹴ろうと後ろに引いた足が、アスファルトを突いて止まる。再び白く息を吐く。

「クリぼっちはやだなぁ」

 吐息とともに吐き出した呟きは、やけに湿っぽかった。

 人生なんてクソだ。なぜイエスはクリスマスなんてイベントを作ったのか。持つ者と持たざる者が明確にわかたれるこの日に、殺意を覚える者は少なくないと思う。神の子ならもっと人間に配慮して生まれろよ。

 蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。止まる。

 どうせ今年もぼっちなのさ、友達なんていねぇし。一人がお似合いだって神も嘲笑ってるんだろうよ。

 蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。当たる。

「あ……ごめんなさい」

「え? あ…………ぁー、うん。よし。ふぅ………あの、えと、三嶋さん」

「あ、はい」

 気まずい。

「あ、あの…………………クリスマスって、なんか、予定あったりします?」

 こ、この人……!


 さては私がぼっちなの知ってからかいに来たな。けっ。

「ごめんなさい、その日は、人と、お出かけするんです」

「あ………………………デスヨネ。ごめんなさい、お時間取らせてしまって」

 肩を落として去っていく後ろ姿を眺める。私をからかおうなんざ、100年早いんだよ。

 蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。当たる。

 はぁ。クリぼっちはやだなぁ……。





Ver2

 石を蹴る。コロカラカンカン。無力な石ころが転がっていく坂道。人生もかくあるものかなぁ。

「なんてエセポエムってる場合じゃねぇや」

 吐息とともに吐き出した呟きが、水蒸気で白く染まる。

 石ころは道半ばで止まった。

 蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。止まる。

 再び蹴ろうと後ろに引いた足が、アスファルトを突いて止まる。再び白く息を吐く。

「クリぼっちはやだなぁ」

 白い息の中に、湿っぽい呟きが混じって、乾いた空気に溶けていった。

 人生なんてクソだ。なぜイエスはクリスマスなんてイベントを作ったのか。持つ者と持たざる者が明確にわかたれるこの日に、殺意を覚える者は少なくないと思う。神の子ならもっと人間に配慮して生まれろよ。

 蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。止まる。

 どうせ今年もぼっちなのさ、友達なんていねぇし。一人がお似合いだって神も嘲笑ってるんだろうよ。

 蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。止まる。蹴る。転がる。止まる。

 去り行く背中は、どこか雪よりも冷たい哀愁を帯びていた。

私はVer2が好き

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