プロローグ
執筆初心者のyu-kaです。
誰かに見てもらうというよりかは、自分で書き上げたという記録を残したいという気持ちが大きく、投稿ペースは不定期になるかと思いますがよろしければ。
純白の平原が視界いっぱいに広がっている。まるで柔らかな細雪が大地を覆いつくしているような、もしくは春の到来と時を同じくして芽吹く白い花弁が巨大な花畑を生み出したかのような光景だ。そして、白く輝く燐光が地面からゆっくりと現れ、ふわふわと立ち上っていく。上空を見上げると、無数の光点が蒼穹に散りばめられ、そのどれもが遥か空の先を目指して進んでいた。
人工物が一切存在しない、純粋な自然と神秘に包まれたこの場所を青年は歩んでいる。身に着けている衣服は至る所が焦げ、切り刻まれていた。布地は青年の肌に残る凄惨な傷跡と癒着し、その周辺は血が滲み、固まっている。手にした一振りの大剣の刃は欠け、剣先が割れて無くなっている。ただ誰のものとも分からない鮮血が、刀身を紅く彩り、大地へ滴り落ちている。また背中から生えた、生まれたばかりの鳥のように産毛ばかりの骨ばった翼や頭上に浮かび明滅を繰り返す円環が青年の異質さを物語っていた。
満身創痍でありながら、青年は痛む傷口を抑えゆっくりと進んでいく。背後の翼の表面が蠢き、銀の羽が生まれ、抜け落ちていく。そしてその度に呼吸は乱れて苦悶の表情を浮かべる。しかし、着実に一歩一歩歩みを進めていく。
彼の目線は、進行方向に存在する、ある場所に向けられていた。青く澄み渡った晴天の中で地上から一筋の青白い光が天高くまで伸びている。それはこの広大な景色の中ではあまりにか細く、頼りなく見えるが、それでも今こうなってしまった世界の中では確かな命の証であった。
体の節々が痛み、視界は霞んでいく。そして、彼の体を侵食しようとする翼に抗いながら、青年の目には確かな意思の光が宿り、口元には笑みが浮かんでいた。
「待っていろ、セリア……、俺が必ず」
そこで青年は大剣を投げ捨て、走り出す。開いた傷から鮮血が迸り、少しでも気を抜けば倒れ込んでしまうような極限状態の中、目の前の光の束を目指して。そしてその中心に眠る少女を目指して。
また何か機会があれば(*'▽')