表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/32

友達の友達と意外な繋がり

 早足で移動した沙原さんに何とか追い付き、僕達は一緒に教室に入った。

 二人で入ったらクラスの人にジロジロ見られるかな、と思ったけど……


「あ、沙原さん、黒木君おはよー」


「二人とも相変わらず仲良しだねぇ」


「おはようございます。はい、今日も仲良しですよ」


「お、おはよう……」


 普通にクラスの女子達に挨拶されてしまった。男子の方もチラッと見てみたけど羨ましそうにこっちを見ているだけだった。

 ……僕と沙原さんが一緒にいるのはこの数日で当たり前になってしまったんだね


「黒木君? 早く席に行きましょうよ」


「あ、うん」


 沙原さんと二人で自分の席に向かうと古宮君が手を振って待っていた


「よっ、おはよう。今日は遅かったな」


「うん、まぁ色々あってね」


 いつものように古宮君と話していると


「すみません、今日は私が遅れてしまったんです……」


 沙原さんが話しかけてきた。古宮君と喋っている時に入ってきたのは初めてだ


「へぇ、沙原さんが……っと、俺と話すの初めてだよな? 古宮秋斗だ、よろしくな」


「沙原朱凛です。すみません、いきなり話に割り込んでしまって。黒木君が話しやすい人って言ってたので気になってしまいまして」


「ほう黒木がそう言ってくれたのか? そりゃ嬉しいな」


 うっ、本人の前で聞かれると恥ずかしいな……。そんな僕の方を見ながら古宮君は笑う。楽しそうだなこいつめ


「古宮君も席が近いですからね。仲良くできたら嬉しいです」


「はは、ありがとな。俺も仲良くしたいけど……黒木と沙原さんの二人の空間を邪魔したくはないって気持ちもあるんだけどな」


「ちょっと待って古宮君。二人の空間って何さ!?」


 僕はそんなの形成した覚えはないぞ!? 沙原さんとはただ席が隣だから話す機会が多いだけで……!


「おいおい、散々二人だけの空間で話してるじゃないか? もうすっかりクラスに受け入れられてるんだぜ?」


「二人だけの空間? 私達、いつの間にそんな空間を作って……。黒木君! 私達凄いですね!」


「本気で受け取らないで沙原さん! そんなの作ってないから!」


 何なんだ二人だけの空間って。僕達は恋人か何かか


「まぁとにかくだ。せっかくクラスの名物になってるんだし二人の空間ができたら俺は空気読んで見守ることにするよ」


「なるほど……分かりました。ではそれ以外の時はよろしくお願いしますね」


「えっ? 何で普通に話が進んでるの? っていうかクラスの名物って何? あれ? 僕がおかしいの?」


 結局、僕は置いてきぼりになったまま担任の先生が入ってきて、この話は終わった。うん、僕はおかしくない、このクラスがおかしいんだきっと







 そして、授業が始まり、昨日のように沙原さんの視線が飛んでくるかと思っていると


「…………すぅ……」


(ね、寝てる……)


 一時間目から沙原さんが居眠りを始めたおかげで授業に集中することができた。僕は助かるけど不真面目なのは変わりないけどね。

 そして、授業が終わり休み時間になると


「ふわぁ……あれ? 授業は?」


「君は号令中も寝てたのか」


 我慢できずにつっこんでしまった。そんな僕の方を見て


「おはよ~、黒木君……」


 にへら、と笑いながら言ってきた。くそ、悔しいけど可愛い。まだ覚醒しきってないからか口調も雰囲気も何だかほわほわしている


「おはよう。よく寝てたね」


「うん……まだ眠いですけど……ふわぁ……」


 あれだけ寝てたのに大きな欠伸をする沙原さん。全くこの娘は……


「ほら、早く目を覚まして。学校でそんな大きな欠伸したら駄目だよ」


「んぅ……そうでした。クラスの皆に見られたらみっともないですよね……」


「僕には見られちゃったけどね」


「ん……黒木君ならまぁ……。特別に見ても良いですよ……えへへ」


 ーーーうがああああっ!! だから僕の心をかき乱すのをやめてくれえええっ!!

 悶々とした気持ちを抱えながらも、何とかその後の授業を乗り越えた









 そして昼休み。沙原さんの友達に会う前に昨日と同じように古宮君とお昼を食べる


「はぁ……今日も疲れた」


「はは、お疲れさん。相変わらず仲良いよなお前ら」


「仲良しなのは良いんだけどね……あの娘は本当に急にこっちをドキドキさせてくるんだよ」


 またしても愚痴っぽくなってしまったが古宮君は苦笑しながらもちゃんと聞いてくれた。やっぱり話しやすいんだよなぁ


「あ、そろそろ教室戻らないと」


 気付くと、結構時間が経っていた。沙原さんが僕達の教室に例の友達を連れて待っているって言ってたからそろそろ戻らないと


「お、じゃあ黒木は先行ってて良いぜ。俺は便所行ってから戻るからよ」


「分かった。じゃあ先に行ってるね」


 トイレに向かった古宮君と別れて、僕は教室に戻った。

 自分の席に戻ると、隣の席に沙原さんと見たことのない女子がいた


「あ、おかえりなさい黒木君。ほら、彼ですよ」


「へぇ、彼が……」


 おお……綺麗な娘だな。沙原さんと並んでいると凄い絵になる。この娘が沙原さんの……


「はじめまして。貴方が朱凛さんが言っていた黒木君かしら?」


「あ、うん。黒木廉だよ」


桜良(さくら)雪実(ゆきみ)よ。よろしくね」


 真っ直ぐとこちらを見ながら彼女……桜良さんは挨拶してきた


「うん、よろしく桜良さん。それで、桜良さんが沙原さんが言ってた去年からの友達なんだよね?」


「ええ、そうよ。私達、出席番号が近かったから一番最初に出会ってね、そこから仲良くなったの」


 なるほど、沙原と桜良か。僕と古宮君が仲良くなった時と同じ感じだね


「黒木君は朱凛さんの隣の席なのよね? それで仲良くなったって聞いたけど」


「うん、そうだよ。沙原さんが話しやすいおかげでね」


「そんな。黒木君が話しやすいおかげですよ」


 沙原さんがそう言うと、桜良さんはフッと笑った


「ふふっ……隣が貴方のような男子で良かったわ。今まで隣になった男子は皆この娘と目があっただけで真っ赤になっちゃうような人ばっかりだったし……他に近付いてくる男子は朱凛さんの顔と身体目当ての奴らだったしね」


 ああ……やっぱりそうか。沙原さんを邪な目で見て近付いてきた男子は桜良さんが追い払ってたんだね。凄いしっかりしてる人だなぁ


「ね? 黒木君はとっても良い人でしょ? 雪実ちゃん」


「そうね。男子の友達が出来たって聞いてちょっと心配だったけど……安心したわ。とても穏やかそうな人で」


「はは、桜良さんのお眼鏡に叶ったなら良かったよ」


 僕が言うと、桜良さんは苦笑しながら謝ってきた


「ごめんなさいね、品定めするような事をしてしまって。朱凛さんは見ての通りこんな感じでしょう? 少し目を離したら変な男子が近付いてきそうで心配なのよ」


「ああ、うん。その気持ちは僕もよく分かるよ。沙原さん、男子との接し方もあんまり知らないみたいだしね」


「……その言い方だと、貴方も結構苦労してるみたいね? そうよね、この娘は仲良くなった相手との距離の詰め方がとんでもない早さだものね……」


 おお……! やっとこの苦労が分かる人が……! 桜良さんは僕の良い相談相手になってくれるかもしれないな。主に沙原さん関連で。

 と、静かに感動していると沙原さんが膨れっ面で話に入ってきた


「むぅ、二人だけでお話するなんてズルいです。私も入れてくださいよ」


「あはは、ごめんね。仲間はずれにするつもりはなかったんだけどね」


「ええ。ごめんなさいね、朱凛さん」


 僕達は出会ったばかりとは思えない連携で沙原さんをなだめる。

 そして、改めて三人で話そうと思った時だった


「ただいまーっと……ん?」


 トイレから戻ってきた古宮君がこっちに歩いてきた。そして、こっちを見て目を丸くする


「あら……? 古宮?」


「えっ? 桜良? 何でうちの教室に?」


 桜良さんも古宮君を見て驚いている。というかもしかしてこの反応って……


「二人とも、知り合いなんですか?」


 沙原さんも気になったようで二人に聞く。すると、古宮君は頭をかきながら答えた


「あー……まぁな。一応中学の時からの付き合いだからな」


「ええ、そこから高校も同じになってね。こうして今も付き合いが続いてるってわけよ」


「へぇ、そうだったんだ」


 これはまた意外な繋がりだ。沙原さんの友達の桜良さんが僕の友達である古宮君と繋がりがあったなんて


「っていうか桜良って沙原さんと仲良かったのか? 全然知らなかったんだけど」


「わざわざ言う必要がないと思ってね。まさか進級してから朱凛さんと古宮が同じクラスになっているとは思わなかったけど」


 二人が話しているのを聞いていると、沙原さんが隣にやってくる


「古宮君、雪実ちゃんと仲が良いんですね……」


「そうみたいだね。付き合いが長いって言ってたし」


「それに、雪実ちゃんが相手を呼び捨てで呼んでる所なんて初めて見ました」


「……そう言えば。古宮君、前に登校する時は毎回誰かと一緒って言ってたな」


「あっ! それ、雪実ちゃんも言ってましたよ。毎日一緒に登校する知り合いがいるって。それってもしかして……」


 そんな風にこっそりと話していると、二人がこっちを見た


「っと、悪い。桜良は黒木に用があったんだよな?」


「まぁね。でも自己紹介はもう終わったし、後は適当に三人で話でもしようと思っただけだから……貴方も仲間に入れてあげても良いわよ?」


「お、マジで? じゃあ俺も入れてもらおうかな。二人も良いか?」


「うん、もちろん。沙原さんも良いよね?」


「はい。せっかくですから古宮君の話も聞いてみたいです」


「そうね。とても面白い話をしてくれるに違いないわ。ねぇ古宮?」


「何でそんなにハードル上げんだよ!? っていうか面白い話するなんて言ってねえぞ!?」


「ま、まぁまぁ……」


 その後、四人で少し話をして昼休みが終わり、桜良さんは自分の教室に帰っていった。

 ーーうん、色々と驚くこともあったけど、新しい知り合いが出来たのは素直に嬉しい。これからも仲良くできると良いな。これから先、色々と相談することもありそうだしね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ