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ちょっとした変化

 色々とあって、沙原さん……いや、朱凛ちゃんとまた更に仲良くなれた気がした一日が終わり、次の日。

 僕はいつも通り、朱凛ちゃんと登校する。今日は彼女の家に僕が向かう日だったので家を出て一人で歩いていた


(……朱凛ちゃん、か。少しずつ慣れていかないとね)


 まだ少し名前で呼ぶのは緊張するけれど、まぁすぐに慣れるはずだ。最初にあの娘と出会ってから緊張しなくなるまで案外すぐだった気もするし。

 と、考え事をしながら歩いていると彼女の家に着いていた。僕はインターホンを鳴らす


「はーい! すぐ出ます!」


 すぐに朱凛ちゃんが出てきた。人懐っこい笑みを浮かべながら小走りでこっちに向かってきた。うん、いつも通り可愛いなこの美少女は


「えへへ、おはよう、廉君っ」


「うん。おはよう、朱凛ちゃん」


 はは、朝から元気だ。この笑顔を見るだけで今日一日頑張れそうだよ


「じゃあ行きましょうか」


「うん」


二人で並んで歩き出す。思えば、昨日は大人モードになってもらったから朱凛ちゃんと穏やかに話すことも出来なかったんだよな。今日はゆっくりと話せそうだ


「えっと……廉君?」


「ん? 何?」


「ふふっ。呼んでみただけですよ」


(唐突に可愛いことしないでくれるかな!?)


 内心でドキッとしてしまった僕の事も知らず、朱凛ちゃんはにこにこしていた。この小悪魔め……


「廉君って呼ぶの、新鮮ですけど何だか嬉しいです。何だかまた距離が縮んだみたいで」


「はは……まだちょっと慣れないけどね」


「そうですか……。それなら慣れる為にもいっぱい私の名前を呼ばないとですね! さぁどうぞ?」


 うっ、改めて呼ぶとなると更に恥ずかしいけど……彼女の言うことも一理ある。早く慣れないとね


「じゃあ……朱凛ちゃん」


「……! え、えへへ……改まって言われると何だかちょっと……うぅ……」


「き、君が恥ずかしがってどうするのさ! 朱凛ちゃんが言わせたのに!」


「そ、そう言われましても……」


 顔を赤くしながらはにかむ朱凛ちゃん。

 朱凛ちゃんの方から言ってきたのに……そんな顔をされたら僕までドキドキしてきちゃうよ。

 と、落ち着かない気持ちでいると彼女は深呼吸を一つして


「ふぅー……では私も」


 僕の方を真っ直ぐ見つめながら言ってきた


「……廉君」


「うん」


「な、何でそんな平然としているんですか! 私はあんなに動揺したのに不公平ですよっ!」


「いや知らないよ!」


 まぁ実は結構ドキドキしてるんだけどね。朱凛ちゃんみたいな美少女に見つめられながら名前で呼ばれたらそりゃ動揺もする。それを精一杯表情に出さないようにしているだけだ


「むうぅ……! 大人モードならあるいは……?」


「そ、それは反則でしょ! 本当に良いの? 僕動揺しまくって学校までダッシュする事になるよ?」


「自分で言うんですかそれ。大人モードにも慣れるって言ってたのに」


「君の本気と向き合うには心の準備が必要なんだよ!」


 あれは簡単に使っていい代物じゃない。破壊力が本当に半端ないんだから。

 僕のそんな姿を見て、彼女はため息を吐いて


「はぁ……分かりましたよ。今日はいつも通りの私でいます」


「そうしてくれると助かるよ」


「はい、でも……」


 言葉を途中で止めて、彼女は僕に近付いてきて……


「……廉君をドキッとさせる時には遠慮なく使わせてもらいますからね? ふふっ」


「っ!?」


 そんな事を囁いてきた。動揺した僕に、朱凛ちゃんは妖艶な笑みを浮かべた。

 ……既にドキドキしまくってるんですけど!? これでもまだ本気じゃないんだよな……何て恐ろしい……!


「は、ははは……ドキッとさせるのは勘弁してくれないかな……?」


「駄目です♪︎ さぁ、行きましょうか」


「何でぇ!?」


 僕の抗議を受け流しながら、朱凛ちゃんはこっちを見て楽しそうに笑った。

 ……な、何だか前より小悪魔度が増したような……? これ以上僕の心を乱さないでくれると助かるんだけどなぁ……!

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