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ドーナツを求めて

 ショッピングモールに向かう僕達。今日の一番の目的は新しく出来たドーナツの専門店だ。

 ……とはいえ、昼食は別の店で食べて、その後にデザートとしてドーナツを食べに行った方が良いってさっき沙原さんと話したんだよね


「というわけでさ、先にレストランでお昼にしようかと思うんだけど。どうかな?」


「前に黒木君と二人で食べに行った事があるお店なんですけど、とっても美味しかったのでお二人も連れていきたいと思いまして」


 僕と沙原さんが二人に言う。すると二人も頷いてくれた


「ええ、良いわよ。二人がおすすめするレストランも気になるしね」


「俺もそれで良いぜ。まぁ……俺はやろうと思えば昼飯がドーナツでも困らないけどな!」


「えっ!? そ、そっか」


 昼ごはんがドーナツ……まぁドーナツもパンだし……いけなくもないのか……?


「もう古宮ったら。それで大丈夫なのは私達みたいなドーナツ好きだけよ」


「ははっ、まぁそうだよな。悪い悪い、俺もそのレストランは気になるから異論はねえよ」


 ……さらっと『私達』って言ったね桜良さん。ということは君もドーナツでお昼を済ませられるという事か。本当に二人ともドーナツが大好きなんだね


「じゃあ決まりですね! 皆であのレストランに行きましょうっ!」


 いつもよりテンションが高めな沙原さんがキラキラした笑顔で僕達に言った。

 よし、じゃあ早速向かうとしようか。







 施設に到着した僕達は、前回訪れたレストランに入店する。昼時だったけど、運が良いことにまだ席が空いていた。四人でいつもの……うん、最早慣れてきたいつもの定位置で席に着く。

 そして、早速メニューを開いて見てみる


「どれどれ……おお、確かに良さそうだな」


「種類も豊富ね。……どれにしようかしら?」


 目の前では古宮君と桜良さんが以前の僕達と同じように何を頼むか悩んでいる。その気持ちは凄く分かるよ、二人とも。どれも美味しそうに見えるもんね


「僕はどうしようかな……確か前はハンバーグにしたんだよな……」


「黒木君はオムライスかハンバーグにするかで迷っていましたよね」


「そうだったね。じゃあ……今回はオムライスにしようかな」


「カルボナーラは良いんですか?」


 沙原さんが聞いてきた。確かにこの店のカルボナーラも魅力的だ。だけど……


「うん。カルボナーラは沙原さんが美味しいのを作ってくれるからね」


「ふふっ、もう……黒木君ったら。また言ってくれればいつでも作ってあげますよ」


 嬉しそうにそう言ってくれる彼女に僕も笑顔を向ける


「ありがとう。その時はお願いするよ。ところで、沙原さんは決まった?」


「はい、私はハンバーグにします。前に黒木君が食べてるのを見て美味しそうだったので」


 うん、これで僕達は決まった。さて、前の二人は決まったかな……ってあれ? 何か二人ともこっち見てる?


「あー……二人の空間は終わったか? こっちはもう決まってたんだけどよ……」


「二人が仲良く話していたから邪魔しないように待っていたのよ。ふふ、いつの間にか朱凛さんの手料理を食べさせてもらえる関係になっていたのね?」


 さ、さっきの会話聞かれてたのか! しまった、油断してたな……


「こ、こっちも決まったよ! 店員さん呼ぶね! すみませーん!」


 これ以上からかわれない為に僕は店員さんを呼ぶ。くそ、にやにやしながらこっちを見るんじゃない前の二人……!


「はい、ご注文をどうぞ」


「俺はこのミートソースで。桜良は……」


「私はカルボナーラをお願いします」


「あっ、僕はオムライスで」


 店員さんが来て、皆が自分の注文をしていく。

 最後に沙原さんが……あっ


「私は……このハンバーグセットをお願いします」


 落ち着いた声で店員さんに告げる。前回は気にしていなかったけど、やっぱり店員さんと話す時は清楚な雰囲気の沙原さんになっているみたいだ。

 そんな沙原さんだったけど、店員さんが去っていくと


「ふふ、楽しみですね! 早く食べたいです!」


 いつものちょっと子供っぽい沙原さんに戻っていた。切り替えが早い


「はは……うん、そうだね」


 そんな彼女に驚きながらも、僕も平然と会話をする。

 いつか、あの大人っぽい沙原さんとも動揺せずに会話が出来るようになる為にも……こんな事で動揺なんてしていられないよね。








「いやぁ、美味かったなぁ! 二人のおすすめの店なだけあるぜ!」


「ええ。またこの施設に来たらこのお店に食べに行きたいわね」


 このレストランの料理を二人も気に入ってくれたみたいだ。満足してくれて良かった


「そう言ってくれて安心したよ。さて、じゃあデザートを食べに行こうか」


 僕が言うと古宮君が嬉しそうな声を上げた


「よっしゃぁ! 早く行こうぜ!」


「もう、子供っぽいわよ古宮」


 と、古宮君を(たしな)めつつも、桜良さんも早足で移動し始める


「何だよ、桜良だって楽しみだろ? 目がキラキラしてるぜ?」


「楽しみよ。でも、私は貴方みたいにはしゃいだりは……」


「んじゃ俺が一番乗りで店に着いてやるぜ! 先にドーナツ選んでるからなー!」


「なっ!? ズルいわよ古宮! 抜け駆けは許さないからねっ!」


 ……結局、僕達を置いて二人は早足で歩いていってしまった。残された僕達は、顔を見合わせて苦笑するしかない


「はは……僕達も急ごうか?」


「ふふっ、はい。早くしないと二人が待ちくたびれてしまいそうです」


 そうだね、と頷いてから僕達も二人を追って歩き始めた。








 少し歩いた所に、ドーナツのお店はあった。中で食べることも、持ち帰りも出来るみたいだ。まだ出来たばかりの日曜日ということもあって、なかなかに混んでいた。

 さて、早速僕達もドーナツを選ぶことになったわけだけど……


「おっ、こっちのチョコのやつも良いな。これも追加、と」


「古宮、こっちも見てみなさい。中にクリームが入っているんですって」


「おお、それも良さそう! おし、それも買うか」


 古宮君と桜良さんが仲良くドーナツを選んでいる。それは良いんだけどさ


「ねぇ二人とも? それ全部食べるの?」


 二人は既に四つのドーナツをトレイに乗せている。さっきお昼ご飯食べたばかりなのに、こんなに食べられるのかな? そう思ったから聞いてみたんだけど


「ああ、勿論。ドーナツは別腹だからいくらでも食えるぜ?」


「ええ、心配しなくても大丈夫よ」


「そ、そっか」


 二人がそう言うなら……これ以上心配しても仕方ないか。

 僕も自分の分を決めようと思って移動する


(……二つくらいなら食べられるかな)


 と、自分の胃袋と相談した結果、僕は二つのドーナツを選んで会計に向かった


「あっ、黒木君も決まったんですね」


 列に並んでいると、沙原さんが後ろに並んだ。見ると、トレイに三つドーナツが乗っていた。……僕が一番少食か、何だかちょっと悔しい


「うん、沙原さんも……あれ」


 沙原さんの選んだ三つのドーナツ。プレーン、チョコ、ストロベリー、なのだが……ストロベリー以外、僕の選んだ物と同じだった


「ん? ……あっ! 黒木君も同じのを選んでいたんですね」


「そうみたいだね。はは、凄い偶然だね?」


 僕がそう言うと、沙原さんは笑顔でこう返してきた


「ふふ……やっぱり私達、食べ物の好みが似ているんですね。私、黒木君とこれからも一緒に色々なお店で美味しい物を食べたいです。私が美味しいと思った物は、きっと黒木君も気に入ってくれますから」


 ……これからも一緒にか。そう言ってくれるのは本当に嬉しい。僕も、沙原さんと一緒に過ごしていきたいから


「うん。僕も沙原さんと沢山出掛けたいな」


「はい! いつでも気軽に誘ってくださいね」


 僕達が話していると、いつの間にか僕の会計の順番になっていた。

 本当に、この娘と話していると時間が進むのが早いよ。そう思いながら、僕は会計を済ませるのだった。

 ……ちなみに、古宮君と桜良さんは結局ドーナツを五つ持ってきていた。ドーナツは別腹っていうのは……本当なんだね


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