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異世界転生、失敗  作者: わをんわをーん
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「無理やり押し倒されて、素手で顔を掴まれたんです。この命を懸けてジャムを見つけ出し敵を討つ……狂気的な人ですが……ジャムがこんなことしないでしょう」


「……それが演技なんて事は……ないと考えて良いと思います」


 タラバさんが相槌を打つ。


「じゃあアンさんは違う、と」


 タラバさんが、僕の推理を聞いていた。


「あと、ゾカさんはドジな子なんです、背丈も小さいし、行動も子供っぽいというか、だからジャムではないんではないでしょうか?」


「確かジャムは進化中で、知能が低いと推測されています。それに前のジャムは子供だったわけでしょう、何の反論にもなりませんよ」


「……はぁ……ではゾカさんがハロさんを知っているという話も、信用できないか」


「そうなります、それから次は?」


「ヨオキさんも違うと思います」


「あの迎えに来たメイドですね……そうですね、顔見知りですから」


「はい」


「それから次は?」


「あとは、まったくわかりません」


「ええぇ……」


 タラバさんがあらかさまに、なんだそれって、顔になった。


「うーん、これはダメだぁ、2人しかなんてぇ」


「そんなこと言われましてもね、こっちは今日、ジャム被害が出たばかりなんですよっ」


 素人の僕にどうしろってんだ。


「それもそうですね……駆除部隊が田中さん達を駆除しに来るのも近いです、アンさんの言う死ぬのを待っての方法では遅すぎると思います」


「やはりそうですよね……」


「では田中さん、我々も手を尽くします、今日はここまでのようです」


「えっどうして?」


「長い時間のアクセスは禁じられて降ります、また明日。同じ時間に。失礼いたします」


 窓があっという間に消えた。


「あっちょっと!……」


 ベッドに寝転んだ。


 なんだなんだよ、もうっ。


 ……ああ……。


 ……何にも……。


 ……僕の体に異常がない事がすべての前提だ……。


 もし、僕が汚染されていたら……。


――やめよう!


 頭を振る。


 考えると怖くて仕方ない。


 僕は目を瞑る。


 ハロさんが死ねばゾカさんがジャム、逆ならハロさんがジャム、どちらも死ななかったら二人ともセーフ。


 僕が死ねばアンさんがジャム、死ななければ二人ともセーフ。


 そして全員セーフならサンロさんかヨオキさんがジャム……。


 ……アンさんの言う、この方法なら……結構絞れるのに……。


 時間が……ないとは……。


 本部の……駆除隊が……僕らを……駆除……。


 なんか……眠たく……なって……きた……。


 早く……見つけ……ないと……いけ……ない……のに……。


 ……。


 目が覚めると、隣のベッドにヨオキさんがいた。


 眠ってしまったらしい。


「イマノリさん、ぐっすりでしたね」


 起きたのに気づいて、ヨオキさんが笑って言ってきた。


「ああ、寝ちゃってた」


 ……副作用とか言ってたな。


「ご飯作って待ってましたのに、あまりに気持ちよく寝ているから、起こさずにしておきました」


「……お腹減りました……」


 さすがに1日食べてないと、こんな時でも食べたくてしょうがない。


「でもイマノリさんの入浴の時間ですから、先に入った方がよろしいと思います」


「そんなに寝てたんですか……」


 丁度良い、さっぱりしたいし、入るかな。


「ヨオキさん、テヲ・ライ伍長と一緒に風呂に入りました?」


 ちょっと聞いてみた。


 ヨオキさんが俯く。


「……はい、入りました……」


「ああ、やっぱり」


 やっぱ、僕だけじゃなかったか。


「……実は私も入ったんです」


「イマノリさんも!」


「それで感染してないのかって不安だったけど、大丈夫みたいです。もう7日目の夜です」


「もう……安心して良いんでしょうか?」


「誤差は10時間、僕らは大丈夫です」


 ヨオキさんが安心した顔になる。


「私、ずっと不安だったんです……私、この中にジャムなんていないと、気にすることなんてなかったので、料理の時なんて、いつも素手でしたし、そんなに接触も気にしてなかったんです。だからホントに驚いてしまって……」


「そうですね……私もそうでした……」


 部屋を出て風呂場に向かう。


 しかし、


 楽しげな声が風呂場から聞こえた。


 ……この声は……。


 ……ハロさんとゾカさん?


 脱衣所の入り口に立って中を覗く。


「誰!そこにいるのは!」


 ハロさんの声が響いた。


 剣を片手に持って切っ先を向けてくる。


 僕は咄嗟に両手を上げた。


「イマノリ?」


 バシャバシャと水音がして、ゾカさんが衝立越しに見える。


「私の番だから入りに来たんですが……」


「すいません、失念しておりましたわ」


 ハロさんが剣をしまう。


 僕の目はさっきから2つの巨峰にくぎ付けだ。


「ふ、2人で、はっ入っているんですか?」


 しどろもどろになって尋ねる。


「そうっす」


「もう気にすることはないですから」


 ハロさんは微笑んで冗談めかして言った。


「ヨオキのように、もっと早くから気にすることなかったっす」


 ゾカさんが突っ込むように言う。


「監禁の事は、黙っておいてくれませんか……?」


「へ、ああ、黙っときますよ」


「ありがとう、イマノリさん」


「今度はヨオキも連れて入るっす」


「そうですわね」


 ヨオキさんはダメだろ、接触しちゃ、まったくゾカさんは……。


 ……でも、良いなぁ。


 何でも良いけど、僕も一緒に入りたいなぁ。


「じゃあ私、出るまで待ってますね」


 そう言って踵を返そうとすると、


「いえ、もう出ますわ」


「もうそんなに経っていたとはっす」


「そうですか?」


 僕は交代で僕は風呂に入る。


 そして今日初めての食事を、もう何も考えず一気に平らげた。


 もう明日から考えよう。


 と、昼にも寝たってのに、夜も寝付けない事なく、ぐっすり眠ってしまった。


「イマノリさん!」


「……うん……?」


「イマノリさん!起きてください!」


 寝ていた僕をヨオキさんが起こしてくる。


「イマノリさん!ゾカさんが!」


「ゾカさん……?」


「死んでしまいました!ゾカさんが!ジャムに!」

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