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異世界転生、失敗  作者: わをんわをーん
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 ゾカさんが監禁され、ハロさんとヨオキさんは調理に戻っていく。


「では私は伍長の埋葬の続きをしてくる。イマノリさんに手伝ってもらうか」


 断事もできず、僕はアンさんと外に出る。


「倉庫から薪を持ってきてくれ、こっちは私がやる」


「はい」


 建物横で、テヲ・ライ伍長の下に炭を引き、薪して遺体を燃やしていた。


 僕はずっと薪を何度にも分けて運ぶ。


 ついでに今日使う分も持ってくるようにとのことだった。


「あとは、火が消えない様に見張ってるだけで良い」


「はい」


 やっと終わった。


「もう手伝う事なんてない」


 アンさんがそう言ったので、


「じゃあ、私は――」


「――いや、待ってくれ」


「えっ?」


「聞きたいことがある」


 アンさんがこっちに振り向きながら言ってきた。


「ここに来た日の事だ、風呂上りに食堂で会ったのを覚えているな?」


「……」


 ……たしかに……会ったような気がする……。


「はい……なんとなくですが……」


「覚えていなくても良い、私が覚えている」


 アンさんは早口に、


「あの時、あの時間は伍長の入浴時間だった。なぜイマノリさんが入浴していたんだ?」


 そう詰問してきた。


 ……あの時、テヲ・ライ伍長と一緒に入ったんだ。


 ……本当のことは言えない。


 完全に疑われる。


「順番を譲ってもらったんです」


 思い出すふりをしながら言った。


「あの時、私が決まりを知らず入ってしまって、テヲ・ライ伍長は、私は後で良いゆっくり入れと、私に言って……」


 アンさんが僕を見据えている。


 どこかおかしいところあったかな……。


 誤魔化されてない……のか……。


 疑われているのか……?


「そうか……」


 アンさんは僕から炎に目を移した。


 僕はそっと息を吐く。


「……まだ、私達を疑っているんですか?」


「そうだ、ヨオキさんにも後で尋ねたい。どうも一緒に風呂に入ったようなんだ」


 えっヨオキさんが?


「あなた方は2人で見つかり、ジャムに襲われてたからジャムではないと判断して、油断して一緒に入ったなんて、伍長の事だ、あり得る」


「全くその通りで……私達はジャムではありません」


「どうかな、見落としがあるのかも……」


「いえ、そんな事……」


 疑いすぎだよ……。


「……私は、伍長に憧れていた……」


「ん?」


 アンさんは静かに話し出した。


「仲間がみんな死んで、私だけ生き残った。当時私は基地で昇進試験を受けていたんだ、それで地下の部屋に隔離されていた……。皆応援してくれた……」


 空を見上げる目に、涙がたまっている。


「部屋から出れなくなった……ジャムが入り込んでいて……でも……仲間は閉じられた扉越しに、集まってくれた。私の……試験結果を知りたいと尋ねてきた……結果を聞くと、喜んで、くれたんだ……食べ物も持ってきてくれて、後日、私だけ救助された……」


 アンさんは必死に涙を堪えていた。


 そして、、何もしゃべらなくなった。


 目から涙がぽつりぽつりと落ちるのを、アンさんは必死で拭う。


 しかし次から次にあふれ出る涙には何の効果もなかった。


 沈黙が僕らを包む。


「……なんて言えば良いのか、その……」


 僕はしどろもどろで口を開く。


「えっと……、……」


 しかし、何も言えない。


「……すまない……話が、脱線してしまった」


 アンさんは頭を振って切り替えようとしていた。


「その時だ、伍長に会ったのは。精神的にさいなまれ、味も感じなくなっていた私に、伍長は生きる力をくれた。私もこうなろうと、いつもあの人を見ていた、だから――」


 語気強くそう言いながら、


「必ず、見つけ出す。伍長の仇は必ず打つ」


 と、僕を見て言い放った。


 これは宣言などではない。


 僕に向け放たれた言葉だった。


「……私がジャムだとおもっているんですか?」


「そうだ、ゾカの方はハロの今後を見れば判明するからほっといて良い、感染していたらどちらかが゛シャムだ。生き残った方を殺せば良い。問題はあなた方2人だ」


――ザッ。


 土を踏みしめる音なのはすぐわかった。


 地面を蹴る音だ。


 アンさんが突進して、なすすべなく組み伏せられる。


 顔がわしづかみにされ、


「これで私が死ねば、誰がジャムかはっきりするな」


 微笑んで言った。


 アンさんは手袋をしていなかった。

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