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第7話 それって「魔力0の最強剣士」ってことだよね?

 「真眼を開眼しているって…?」

「そうだ。」


 サリシアの顔には、今までで1番の笑みが広がっている。


 「恐らくだが、火属性の魔物のそばでは赤色、水属性の魔物のそばでは青色が鮮やかに見えたのではないか?」

「その通りだ。地属性のそばでは茶色、光属性のそばでは黄色、闇属性のそばでは紫色が濃く見えた。」

「それが、魔力の波長だ。」

「これが!?」


 ノイルが興奮したように叫んだ。


 「そうだ。」

「確かに、魔物に近づけば近づくほど色は鮮やかになった…っ!」

「それが、魔力の円だな。私が言った通りだろう。」

「そうだ、言われてみればその通りだ…っ!」


 口調こそサリシアのものだが、ノイルは完全に冷静さを失っていた。


 「ノイルよ。気持ちは分かるが、もう少し落ち着け。」

「あ、ああ。すまない。」

「冷静さを保てれば良いのだ。無理に、口調や態度を真似なくて良いからな。」

「分かった。」


 ノイルは2回ほど深呼吸をした。


 「落ち着いたか?」

「ああ。」


 サリシアは、ノイルに座るよう促す。

巨木の陰に座り、2人は向かい合った。


 「真眼は、開眼してしまえばこちらのものだ。あとはとにかく、実戦を重ねて精度を上げていくのみ。そう遠くないうちに、相手の思考も読み取れるようになるだろう。」

「本当に…開眼出来たんだな…。」

「言っただろう?君には素質があると。」

「ああ、あの時は疑ってキレてしまった。すまなかった。」

「何、気にすることはない。」


 頭を下げるノイルに優しく声を掛けると、サリシアは巨木の枝の隙間から青い空を見上げた。

そして、感慨深そうに言う。


 「ノイル。君は素晴らしいよ。何回死んでも、努力をやめなかった。その結果が、真眼の開眼であり、六剣シックス・ソードの習得だ。いや、本当に素晴らしい。」

「俺だけの力ではないさ。サシリアのおかげだ。」

「そう言って貰えると、嬉しいな。」


 サリシアは照れくさそうに頭をかく。

そして、真面目な表情になると言った。


 「ノイル。私から君に教えることはもう無い。ここからは、それぞれの技や眼をどこまで君が伸ばせるかだ。」


 サリシアの言葉に、別れが近いことをノイルは感じ取った。


 「君は、約1年前に比べて随分強くなったな。今なら、勇者学院にも合格出来るだろう。」

「勇者学院…。」

「そうだ。確か、再受験では2通りの受験方法が選べたはずだったな。」


 サリシアの言う通り、レヴィアース勇者学院では、再受験に2通りの選考方法を設けている。

1つは、約1年前にノイルが受けた筆記・実践の総合的な受験方法。

もう1つは、学院の在校生と模擬戦を行い勝利することで入学出来るという受験方法だ。

再受験する子供の多くは、前者の受験方法を選ぶ。

後者を選んで合格した者は、これまで1人もいない。


 「恐らく、というか絶対に君は総合的な試験では受からない。だが、模擬戦で受験すれば必ず受かるだろう。」

「模擬戦で勝つのか…。何だか、やれる気がするな。」

「やれるさ。今の君は、とてつもなく強くなったからな。」

「よし。俺は、勇者学院を再受験するよ。必ず、合格してみせる。」


 ノイルは強く言いきった。


 「うむ。頑張ってくれ。」

「サリシアは、これからどうするんだ?」

「私は、旅の途中だったからな。また、旅に戻るよ。」


-「お別れ」だな。


 ノイルは寂しさを感じつつ、サリシアに感謝を告げた。


 「サリシア、今まで本当にありがとう。」

「ああ、私も楽しかったよ。よく、頑張ったな。」


 2人はがっちりと握手を交わす。


 「さぁ、勇者学院の入試は明日だ。絶対に合格するんだぞ。」

「うむ…って明日だと!?」

「そうだ。」


-何でそんなに大事なことをもっと早く言わない!?


 ノイルは猛烈に焦り始めた。


 「じゃあ、サリシア。本当にありがとうな。俺、行くよ。」


 ノイルが慌てて駆け出す。

その背中に向けて、サリシアが最後のエールを贈った。


 「ノイル!自信を持っていけ!」


 ノイルが走りながら片手を振って応える。

サリシアは心の底から声を出して言った。


 「今の君は魔力0の最強剣士だ!」


 駆け出したノイルの心にあるのは、妹のフィアだ。


-必ず、会いに行くぞ!


 ノイルは期待に胸を躍らせて、走り続けた。

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