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第3話 それって「チート」ってことだよね?

 「まずは、真眼について解説しよう。」


 ノイルとサリシアは、近くにあったオアシスにやってきた。

いよいよ、サリシアによる修行が始まるのだ。


 「ノイル君。魔眼がどういうものか、説明できるかい?」


 魔眼に関しても、ノイルはしっかり勉強していた。

無論、使えないのだが。


 「魔眼には、補助具的な役割があります。攻撃職アタッカーの攻撃力向上や防御職ディフェンダーの防御力向上、治癒士ヒーラーの治癒力向上などの効果があり、魔眼が開眼している者の魔法としていない者の魔法では、大きな違いがあります。」


 要は、魔眼は人の魔力を高める魔法具のようなものなのだ。

ノイルの答えに満足気に頷くと、サリシアは言った。


 「簡潔にまとめられているな。素晴らしい。では、真眼について何か知っていることはあるか?」


 ノイルは首を横に振る。

真眼に関しては、どんな書物にも乗っていなかった。

「そうだろうな」と呟き、サリシアは説明を始めた。


 「真眼も、魔眼と同じ目に関わる能力だ。だが、真眼と魔眼ではその効果は大きく異なる。全くの別物と言っていい。」

「別物…。」

「そうだ。魔眼は魔力が無ければ開眼しないが、真眼は魔力0でも開眼させることが出来る。というより、魔力0でなければ開眼させられないのだ。」


 つまり、ノイルだからこそ手に入れられる能力という訳だ。

俄然、ノイルの胸がワクワクしてきた。


 「真眼の主な効果は、魔力の波長が目に見えること。魔力の波長については、知っているかい?」

「はい。5つの属性ごとに、魔力の波長には大きな違いがあり、また個人によっても細かな違いがあるとか。でも、それはまだ証明されてませんでしたよね?」


 魔力の波長については、詳しい研究がなされているもののはっきりしたことは分かっていない。勇者学院でも、その研究はなされていたはずだ。


 「ああ、証明されてはいないな。しかし、君も真眼を開眼すれば分かることだが、魔力の波長は確かに存在する。5つの属性ごとに大きく異なり、個人によっても細かな違いがあるというのは本当だ。」


 サリシアはあっさりと言ったが、魔力の波長の存在を実証出来れば世紀の大発見になる。

恐らく、国からたんまりお金が貰えることだろう。


 「あの、なんでそんなすごいことを国に言わないんですか?魔力の波長の存在証明なんて、国を上げて行われているプロジェクトじゃないですか。」


 すると、サリシアは分かってないねという風に手を振った。


 「いいかい?私は無能ノーンなんだよ?無能ノーンの言うことを、国のお偉いさんたちが相手にしてくれると思うかい?」

「それは…確かに。」


 相手にされないだろう。

それほどまでに、無能ノーンは社会から軽蔑されているのだ。

サリシアは、さらに付け加えた。


 「それに、魔力の波長は魔力0でなければ見られないんだよ。例えば、魔力1000の奴が見ようとしても、自分の魔力が邪魔をしてしっかり見極められないんだ。魔力0なら、自分自身の魔力がないから周りの魔力を正確に見極められるんだけどね。」


 なかなかイメージが湧かない。

ノイルは、いまいち理解出来ていなかった。

その様子を見て、サリシアがより分かりやすく解説する。


 「難しかったかな。そもそも、魔力っていうのは源となる人を中心として円状に広がっている。魔力が強ければ強いほど、この円が大きくなるということだね。そして魔力は、その人に近づくにつれて濃くなっていく。つまり当人の魔力が強ければ強いほど、周りにある自分の魔力が濃すぎて他の魔力が見えなくなるんだ。」

「魔力0なら、そもそもその円がないから周りの魔力がしっかり見える。そういうことですか?」


 ノイルの言葉に、サリシアが頷く。


 「分かったようだね。だから、魔力0の無能ノーンの君には素質があるってことなんだ。」


 どうやら、魔力0の無能ノーンというのも悪いことばかりではなかったようだ。


 「それで、その真眼を開眼させるためには何をすればいいんですか?」

「うん。では、逆に聞こう。魔眼を開眼させるためには何をするかな?」


 魔眼を開眼させるためにやることなど無い。

魔眼は自然と開眼するもので、人によっては子供の時に開眼するし、一生開眼しない人もいる。

何か訓練をしたからといって、手に入るものではないのだ。


 「やることはないです。…って、まさか!?」

「そのまさかだね。真眼も特にやるべきことは無い。」


 ノイルは大きな脱力感を感じた。

いや、実際膝から崩れ落ちた。


-やるべきことがないだって…?

 努力のしようもないじゃないか…。


 完全に落ち込んだノイルを見て、サリシアは慌ててフォローするように言った。


 「いや、そこまで落ち込むことではない。魔力0の人間は何人も見てきたが、君の目はやや特殊だ。これまでに、真眼を開眼させてきた人間の目に似ている。恐らく、修行していく過程で開眼するだろう。」

「本当ですか?気休めじゃないですか?」

「もちろんだ。」


 ノイルは何とか立ち上がった。

そしてふと浮かんだ疑問を、サリシアにぶつける。


 「真眼が開眼して、魔力の波長を見極められるようになるとどんないいことがあるんですか?」


 するとサリシアは、よく聞いてくれたというように親指を立てた。


 「いい質問だね。魔力の波長を見極めることが出来れば、その濃淡から相手の居場所を探知できる。さらに戦闘時には、相手がどんな属性のどんな魔法を使ってくるかが分かり、真眼の精度を上げれば魔法が発動するタイミングなんかも分かるようになる。」

「それって…もはやチートじゃないですか!?」

「それだけじゃないぞ。魔力の波長の乱れから、相手の心理状態や大まかな思考も分かる。確かに、ここまでくるとチートと言われても仕方ないな。」


-真眼さえあればもはや無敵なんじゃ…。

 もはや、相手の手札を見ながらババ抜きをしているようなものだ。

 負けるはずがない。


 舞い上がったノイルに釘を刺すように、サリシアは言った。


 「ま、いくら相手の手札が分かったところで、こちらが攻撃や防御を出来なければ意味が無いのだがな。」


-そうだった…。

 俺には攻撃出来る手段が何も無い…。


 ノイルは今度は一気に落ち込み、顔を落とした。


 「全く、テンションの上下が激しい奴だな。その精神も、しっかり鍛えねばならないか。」


 サリシアが呆れ気味に言う。

そして、人差し指でノイルの顎を上げると目を見て言った。


 「よいか。君も今理解した通り、真眼だけでは不十分なのだ。矛、盾となる物が無ければならない。だからこそ、君に六剣シックス・ソードを習得して貰うのだ。」

六剣シックス・ソード…。」

「そうだ。六剣シックス・ソードは6つの技からなる剣術で、君には1つずつ習得してもらう。6つ全てマスター出来れば、矛にも盾にもなるぞ。」


 -盾にもなる剣術とは、どんな技なんだろう。


 ノイルの不思議そうな顔の前に、サリシアは「まず1つ」と人差し指を立てた。


 「六剣シックス・ソードのその3。空滅剣ナンバースリーだ。」

空滅剣ナンバースリー…!」

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