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リモート授業編

「神様、気づいちゃいました。」

「何だい唐突に。」

「私、通学時いつも30分かかるのですが、その間何をしていると思いますか?」

「さぁ?いつもギリギリで出発してるみたいだし、朝ごはんでも食べてるのかい?」

「神様、私は自転車通学ですよ。ながら運転は非常に危険です。」

「おや、そうだったか。じゃあ、自転車通学の君は30分何をやってるんだい?」

「正解は『音楽を流している』です。」

「おいおい、それこそ危ないじゃないか。下手すりゃ警察のご厄介になるぞ。」

「いえいえ、何もイヤホンをつけて聞くわけじゃありません。脳内で音楽を再生させながらいくのですよ。」

「なるほど、それは安心した。で、それがどうしたんだい?」

「それが、先ほど気づいちゃったんです。」

「うん、それは聞いたね。」

「この音楽を脳内で流すという行為は、結局のところ私のご機嫌取りのための行為だったんです!」

「それになんの問題が?」

「気づかないですか?私はこの国で行われている、総学生平均能力化戦略の被害者の一人です。」

「角が立ちすぎた言い方してるけど、君、学校いかなきゃ人並みの生活出来ないほど、馬鹿じゃないか。」

「えぇそうです。普通科教科は軒並み平均点ギリギリ、赤点ギリギリの生活を強いられています。ですが!こと今回ような『気づき』に気付ける能力に置いては、人並み以上の能力があると自負しています!」

「それはそうだが、人並み以上程度で、人並みの生活を営むのは難しいよ?」

「神様!そのような考え方は、ンナンセンスです!」

「ほう、その心は?」

「私はこの『気づき』に気付ける能力を伸ばし続ければ、将来的に人類、いや全生物の救世主になれると自負しています!」

「これまた大きく出たねぇ。つまり何かい。君のその能力は、伸ばし続けられれば、人並み以上の殻を破り、前人未踏の境地へと上り詰められるだけのポテンシャルがあると言いたいのかい?」

「その通りです!ですが、現状の環境下ではせっかくの力が腐るばかりです!」

「確かにそれは勿体無い。では、どう解決すべきと考えている?」

「まず手始めに、音楽を聞いて私の機嫌を取ることしか出来ない『通学時間』を無くすべきだと考えます。」

「なるほど。でも授業は受けるつもりなのかい?」

「えぇ、もちろん受けます。何しろ馬鹿なので。」

「さっき、平均化されることに被害意識を持っていたようだけど?」

「もちろん、やりたくもない勉強を強要されるのは嫌です。ですが、授業を受けないと気付ける事も気づけないと思うのです。」

「なるほど、それもそうだ。だが、授業自体はどうやって受けるつもりだい?」

「それが良いのがあるんですよ!」

「おっと。元気なのは良い事だが、いきなりスマホを突き出すのはやめたまえよ。顔に当たりそうだったじゃないか。」

「あ…失礼しました……」

「いや、分かってくれれば良いんだよ。……で、なになに……ほう、リモート授業か。」

「そうです!家にいながら授業が受けられるという、今の私の需要を十二分に満たしてくれる画期的なシステムです!」

「確かにこれなら、片道30分、計1時間が能力開発に費やす事が出来るわけだね。」

「それだけじゃありませんよ!家に勉強道具は揃っているので、明日の授業の準備はしなくていいですし、弁当も用意しなくて良いのです。その分も合わせると1時間半はかたいですよ!」

「確かに1日の内から、それだけの時間の捻出されるのは大きな。だが、リモート授業だと実技系の授業が受けられないんじゃないか?」

「そうなんです。現地にいないと効果的に受けられる授業があったり、通信環境の整備など問題が山積してるんです。」

「まさに一長一短だな。それに……」

「?」

「もしリモート授業になったとして、その結果生身で君に会えなくなるのは寂しいものだよ。」

「大丈夫ですよ。それまでに神様は直接触れ合っているような、ガジェットを作れば良いじゃないですか。」

「っふふ、確かに。それが良い。さ、下校時間だ。帰るとしよう。」

「あ、待ってください神様!まだその問題の答えを写し終わってないです!」

「君ねぇ、たまには……いや、まてよ。」

「え、見せてくれるんですか!」

「いや、ここは一つリモート勉強会でもしようじゃないか。」

「あ、ごめんなさい。現状だと、私寝ちゃうと思います。」

「……とりあえず、写すか?」

「はい!写します!」

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