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複合施設の本屋編

おおよそ前回の続きです。

「……ふぅ、やっと食べ切れた……」

「す……凄いですね。神様が意外と大食漢だったとは……」

「まぁ、普段ロクに運動してないから、間違いなく太るだろうな……」

「その時は運動でもしに行きます?」

「いい事を言うね。なら、県営の安いところが良いな。」

「それよりも、運動系の部活にでも入った方が良いんじゃないですか?」

「ダイエット目的で、転部する気はないぞ……?」


「さて、せっかくショッピングモールに来た事ですし、食べるだけで帰るのは、少し勿体無いですね……少し見て回っていきませんか?」

「それもそうだね……行きたいところはあるかい?」

「いえ、特には。神様はどうですか?」

「じゃあ、本屋に寄りたいね。今度部室で読む本でも探そうと思ってね。」

「分かりました。さっそく行きましょう!」




「おぉ、広いですねぇ。」

「あれ、来るの初めてだったのかい?」

「えぇ、普段町の本屋くらいしか行かないもので……」

「なるほど。ま、ここの場合、本以外にもノートとか手帳、鉛筆から万年筆まで売ってるからな……実質本だけに絞れば、あまり変わらないんじゃないかな?」

「いえいえ、それを差っ引いても、広いです!」

「どれだけ狭い店なんだ……?」


「へぇ、神様も案外ラノベコーナーを覗くんですね。」

「まぁね。ただ、一言にラノベと言っても通常の文学作品同様、言い回しや話の展開にいろんな形態があるから、比べて読んだりするのも面白いものだよ。」

「へぇ~……あ、神様気づいちゃいました!」

「なんだい、藪から棒に?」

「いやですね、なんで部室の本棚のラノベは、一巻目しか置いてないんだろうなぁって思っていたんです。あれ全て神様が買って比べ読みした痕跡だったんですね!?」

「あぁ……あれは全部、僕の先輩が置いていった物なんだよ。」

「そうなんですか?」

「まぁ、変わった人だったね。」

「確かに、あれだけ一巻しか買わない人は、変人ですよ……」

「その分、面白い人だったよ。この作者の書く文体は面白いだとか、この作品から書き方が変っただとか、それはもう色々な事を報告してきたよ。ヲタクはヲタクでも『文章ヲタク』とでもいうべき先輩だったね……」


――――――――――――

―――――――――――――


「そういえば先輩、ラノベは常々『文章が軽い』の『読解力が低下する』などと、一部から目の敵にされていますけど、そのあたりどう考えてます?」


「ふむ、正直私から言わせれば、『余計なお世話だ』と一蹴するな。」


「……というと?」


「貴様、常日頃から私直々に素晴らしさを伝えているにもかかわらず、理解できないというか?」


「えぇ、言いますとも……!ですから、踏むのはやめてください!?あと、見えてます!!」


「ふん、別に見られても減るもんでもない。むしろ貴様にとっては、褒美じゃないか?」


「そんなのインターネットで間に合ってます!」


「おや、そうかい……で、『ライトノベルの批判』についてもっと詳しくだったか?」


「はい、あらゆる文章に精通している先輩の意見も聞いてみたく……」


「だとしたら、私の意見は変わらん!『余計なお世話』だ!そこに面白い文章が転がってから、読んでるんだ。『読解力が下がる』ぅ?そんなことを言う奴は、ラノベを読んだことのない無知な野郎だと、決めつけるほかない。ラノベだろうと文学だろうと、読む時にゃ想像力が総じて必要だ。確かにラノベは、挿絵や表紙・文体に至るまで、想像力が弱くとも、楽しめるように作られている節がある。だが、それがなんだ。読むことが好きな奴は、どんどん読む量を増やすだけだ。読解力くらい勝手に身に付く。問題は、ラノベの簡単な表現すらも読み解けずにいる者がいることだ。下手すりゃ漫画すらも理解できん者がいると聞く。単純にそういう者が、今日のSNSの発達で可視化出来るようになっただけではないかと思うのだよ。そこでやり玉にあげられたのが『ライトノベル』だったのだろう。だとしたら、実に馬鹿馬鹿しい話だと思わないか?」


「……でもそれは、先輩の主観と想像ですよね?」


「あぁ、そうだとも。私の主観と想像と心情を基にした高説だよ。だが、『教育に悪い』と排除に動いている団体がいるのも事実!……確かに一部年齢層が受ける表現としては過激だと思える作品もある。だが私はね、それに触れる機会をを失わせるのは惜しいと思うのだよ。こんなにも万人に分かりやすく、伝わりやすい文章形態を『教育に悪いから排除』という脳死的行動によって、排除されるのはあまりにひどいと思うのだよ。そもそも『教育』とはなんだ。『教え育む』と書いて『教育』だぞ。『火の粉から子供を守る』だけが『教育』ではないはずだろ!だいたいだな……」


――――――――――――

―――――――――――――


「ま、ラノベは、『忙しい現代人』にとってのありがたい『手軽な文章コンテンツ』くらいに捉えるくらいでいいと僕は思うね。」

「そんなもんですか?」

「そんなもんでいいさ。」



「あ、今凄い人気の漫画のコーナーがありますよ!」

「これは……『コーナー』というより『ブース』だな。」

「いやぁ、すごい量ですね。一巻だけでも15冊くらいありません?」

「本屋側が、それだけ需要があるとみてるのが、また恐ろしいな。」

「いやぁ、実際面白いですし、あの盛り上がり様ですからねぇ。」

「おや、君も読んだことがあるのかい?」

「えぇ、アニメが流行っていたのは知っていたので、バイト代でまとめ買ってその日の内に読んじゃいました。神様はいつから読んでたんですか?」

「帯に『妹を助けてやってくれ』って趣旨の超大御所からのコメントがあった時期からだから……五、六巻辺りからだったかな……?」

「凄い前からですね!?……ちなみに、こんな感じのブースが作られる程になると思ってました?」

「いやぁ……面白いと思ってたけど、ここまでの人気が出るとは思わなかったね……にしても、こうも単行本を大量に用意されていると、アレを思い出すね。」

「アレと言うと?」

「ほら、歴史の授業とかで習わなかったかい?銀行に『裏が印刷されてないお札』を大量に用意したってやつさ。」

「え、てことはこれ全部、落丁本何ですか!?」

「い、いや、物の例えだよ……『大量に用意して消費者を安心させている感』があるなぁと思ったかさ……」

「……神様、多分今の解説は、しちゃいけないタイプの解説だと思うのですけど……」

「うん、僕も言い切ってから気付いたよ……」

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