神住まう太陽編
「……っゔ……っうぅ……。」
「……泣いてないで、手を動かす。」
「ゔぁい……!」
「……君ね なんで、補修の課題を……いや、今更言っても仕方ないか……」
「だって……だって……まだ時間があると思って……ゔぅ……」
「前も言ったでしょう……時間があるときに済ませなさいって……」
「今まさに身をもって感じているところです……今度から絶対に課題を後には回しばぜん……!」
「はいはい、ハンカチ貸してやるから、涙ふきな……」
「あ、ありがとうございます……!……ズビィー……」
「鼻をかんでもいいと、言った覚えはないんだが……」
「あ、すみません。つい、クセで……ご、ごめんなさいぃぃ……」
「あぁ泣くな泣くな……また今度、洗って返してくれればいいから……」
「……神様、私気づいてしまったんですけど……」
「うん、どうした?」
「もし太陽に神がいたとしたら、その神は人の全ての面を見られないと思うのです……」
「(あまりにもピンチすぎて、変な悟りを開きはじめたな……)……どうしてそう思うんだい?」
「仮にです。光が当たっている面が 表向きの面だとしたら、裏の面はその落ちる影に現れると思うのです。」
「なるほど……一方からしか見られないのなら、影はちょうど『表の面』に隠れるだろうね。」
「それだけで、色々査定されているのなら、それはあまりに不当だと思いませんか?」
「確かにね。『裏の面』まで確認した上で査定して欲しいね。」
「どうしたら、きちんと査定できるようになるのでしょう……?」
「そうだね……例えば、裏の面確認専門の別の神が居るんじゃないか?」
「……なるほど、分業制にするのですね!」
「そのとおりだね。そして、その神の居場所は……金星にいるんだ。」
「金星というと……水 金 地 火 木 ……」
「地球から隣の惑星だね。」
「つまり……太陽よりより近い位置から、裏の面を確認しようということなのですね!」
「そうそう。」
「でも、だとすれば、どこかで裏表の情報を統合する必要がありますね……ならは水星にいるであろう神に、まとめてもらいましょうか?」
「おぉ、確かに水星は 太陽と金星の間の星!ちょうど良いと思うね。」
「あ、でもまとめたところで、査定するとなると、どうすれば良いでしょうか?流石に水星だけでは処理できないと思うのです……。」
「では 処理関係は、土星に任せよう。」
「おぉ!あの輪っかがいい仕事をしてくれそうですね!」
「あとは、金星と同じような役割で、植物の査定を木星、ヒトを除いた動物の査定を天王星、海洋生物の査定を海王星に担ってもらうのはどうだ?」火
「おぉぉぉ、さすが神様!人以外の査定のことを忘れていました!なるほど、それなら全生物に対し査定結果を、送ることができますね!」
「(なんか、自分でもなに言ってるか分からなくなってきたな……)であとは火星だが……?」
「火星は……その査定結果が適切か審査する役割がいいのではないですか?」
「おお、それは良い。火星は大きさが地球に近いし、いいんじゃないか?」
「なるほど……こうして地球にいる生物はこうして管理されていたのですね……」
「……なんか、ディストピア感のある構成になってしまったな。」
「ハハハ!確かにそうですね!」
「で、どうだい、いい休憩になったかい?」
「………………ッハ!そういえば……!」
「まだ課題は、結構残ってるぞ?」
「うぅぅ……」
「いつまでに終わらせるんだった?」
「明日提出締め切りなので……今日中です。」
「うんそうだな。なら、とっとと終わらせような。」
「うぅぅ……分からないよぉ……」
「安心しな、僕が色々教えてあげるからさ。最後までやり遂げような。」
「くぅぅぅ……神様なんて、さっきのシステムの下に、厳しい査定を受けてしまえばいいんだぁ……!」
「問題ないさ。九割は『君への優しさ』でできているからね。」
「……残りの一割は?」
「そんなの決まってる。『自分の野望実現のため』だよ。」
「……そういえば、以前そんなことも言ってましたっけ……?」
「さぁ、どうだったかな?さ、そんなことより、手を動かす!」
「いぃぃ……!この問題が分かんないんですけどぉ……!」
「最悪答えを見ながらでもいいから、どんどん進めろ!なんたって君は、『気づけば』あとは早いんだからな!」