レトロゲーム編
「おつかれー 今日は早いんだ……」
「……っだぁぁぁぁああ!」
「……なにをやってんだい?」
「いやぁ、おさがわせしました……」
「それを言うなら、『おさわがせした』ね……まさか、あれから20分も放心状態になるとは思わなかったよ……」
「本当に申し訳ないです……」
「で、なにをやっていたんだい……ってまぁ、ゲームをやってたんだね?」
「はい。オンライン会員なら昔の作品が色々できるやつで、これをやってたんです。」
「おぉ、これはまた懐かしい作品を……まぁ『懐かしい』とは言っても、だいぶ前にバーコンでいくつか買ってもらって遊んだって話なんだけどね……」
「『バーコン』?」
「あれ、知らない?ほら、昔のゲームが最近のゲーム機でもできるってやつさ。」
「……知らないですね。」
「マジか……というかだ。ゲーム機を学校に持ってきちゃダメでしょ。」
「バレなきゃ大丈夫かなぁ と。」
「……まぁ、諸々の事は知らなかった事にするよ。」
「それよりも、私気づいちゃったんですけど……」
「……それよりも?」
「これ、昔のゲームってテストプレイしてるんですかね?いくらなんでも難しすぎるんですけど……」
「おぉ、いいところに気がついたね。確かにおおよそテストプレイはしていないよ。」
「えぇ……」
「まぁ やっていていたとしても、せいぜい産みの親たる開発者が、テストプレイヤーだからね。そりゃどんどん難しくなるし、消費者側プレイヤーは、いきなりプロフェッショナルモードでやらされるようなもんだね。」
「なるほど……通りで難しい訳ですね……」
「近年はテストプレイを、自社で入念にやり込んだり 外部業者に委託したりしてるから、比較的消費者に合わせた難易度を抑えられてるようだね。」
「へぇ……そうだったんですね……」
「……もしかして、家庭用ゲームはあまりやった事ない感じか?」
「えぇ、バイト代で買ったんですけど、このゲーム機本体が 初めての家庭用ゲームなんですよねぇ。」
「まさか 人生で?」
「はい、人生でです!」
「……楽しいかい?」
「楽しいといえば楽しいんですけど……このゲーム、難しすぎるんですよねぇ……」
「お、そのゲームならやったことがあるな。また、一緒に攻略するか?」
「おぉぉ!それはありがたいです!」
「よし、決まりだな。あと、このゲームなら 通信対戦もできるぞ。」
「それはなんと!ぜひやりましょう、やりましょう!」
「うん、もちろんだ。家庭用ゲームの楽しさは こんなもんじゃないからな。どんどん教えてやる……!」
「はい、是非どんどん教えてください 神様!」