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すみれ色の瞳  作者: mayan
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街の散策1

 


「アリス様」


「どうしたの? フィー」


 私はいつものようにフィーと共に朝食をとっていた。


「アリス様、少し前に街を見学したいと仰っておりましたよね?」


 数日前のお茶の時間、ぼそっと言った気がする。



「え……ええ。言ったわ」


「念のため本邸の方に確認に行ったところ、自由に街に出て良いそうです」


「本当っ!?」


「はい。ですので街見学しませんか?」


「行くっ! 行くわ!!」


「分かりました。キャサリン様の治療が終わったら出かけましょうね」


「ええ!!」



 ……私の独り言も聞いて叶えてくれるなんて! 優秀すぎるわ、フィー。





 キャサリン様に街に出かける事を言えば……


「楽しんでいらっしゃい!」


 と快く送りだしてくださった。




「今日の設定は姉妹よ!」


「姉妹……ですか」


「そう。フィーは今日、私のお姉さん。だから妹の私のことはアリスと呼び捨てで」


「ええっ、それは……」


「お嬢様やアリス様なんてダメよ。私たちは平民なのだから、不自然で目立つわ」


「……畏まりました」



 心をまっさらにするのよ……とブツブツ呟きながらフィーは目を閉じていた。

 何をしているのか不思議だったけど、元に戻るまで何も言わず待つ。

 しばらくすると、フィーはパッと目を開けた。


「大丈夫?」


「ええ、大丈夫よ」



 ……いつもと違う……!!


 フィーは完全にお姉様モードに入っていた。


「では行きましょうか、アリス?」


「はい! お姉様!!」


 フィーのことをお姉様と呼べば、フィーは優しく微笑む。


 ……姉の顔だ……。


 私はフィーの演技力と切り替え能力に感服した。





「わぁぁ! お姉様、私あそこのお店に行きたいわ」


「ええ、いいわよ」


 私はフィーと一緒に明るい雰囲気の店内に入る。


「いらっしゃいませ!」


 店員のお姉さんは笑顔で私たちを迎えてくれる。

 店内には水晶を使ったアクセサリーや髪飾り、栞なんかもある。

 透き通った美しい石に可愛らしいデザイン、私もフィーもテンションが上がっていた。


「お姉様! これとっても可愛らしいと思わない?」


「ええ、素敵な髪飾りね!」


「この石の透明度が素晴らしいわ……」


「このネックレス、アリスの瞳の色と似ているわ。ほら 」


「まぁ、本当だわ!」


 お互いに気に入った商品を指で指しながら2人で談笑する。


 ……楽しいわ!! 姉妹最高!!


「とっても仲のよろしいご姉妹ですね」


 店員のお姉さんに、にこやかに話しかけられる。


「はい!」


 私が返事をすると、フィーは嬉しそうに笑った。


「こちらは水晶のお店ですよね?」


 フィーが聞くと、店員さんは頷いた。


「はい。こちらは水晶を使った商品を扱った店です。女の子はキラキラした可愛らしいものが好きだと思うのですが、宝石は高価で手に入らないということで、水晶を使ったのです」


 なるほど……。確かに宝石はどんなに小さくてもかなりの値段がするわ。街の女の子たちには厳しいわね。


「では……例えばこの指輪のお値段はいくらですか?」


 というフィーの質問に帰ってきたのは、平民の1週間の食費ほどだった。


「水晶も宝石に比べれば安いですが、それでもまだまだ簡単に手に入るものではありません。ですから、ここでは女の子たちがご褒美として買えるくらいの値段にしてあります」



「ねえ、お姉様」


「ん、どうしたの? アリス」


「何かお揃いのものを買っていきましょう!」


 少し迷ったようなフィーだったが、姉としての意識をすぐさま取り戻し、


「ええ、良いわよ」


 にっこりと微笑んだ。



 これが普段のフィーなら……


「お嬢様とお揃いなどいけません」


 と拒否されそうなところだ。


 ……姉妹であるうちにやっておかないと!


 私とフィーは店内を端から端までゆっくり見て回った。




「アリス、どれが良かった?」


「……お姉様、いっせいのーせ! で指差してください。いきますよ……」


 私がこれ、と言ってしまえばフィーは私に合わせるだろう。


 ……せっかくのお揃いなのだから、2人で選ばなきゃ意味がないわ。


 その解決策の、いっせいのーせ! である。


「いっせいのーせ!」


 私はフィーが後出しをする可能性を考慮して、ギリギリ後出しにならないくらいにゆっくりと指差した。隣のフィーの指先は……。



「同じ物を指差すとは……本当に仲のよろしいことで」


 店員さんが微笑ましく私たちを見る。


「アリスもこれ?」


「ええ! だって、このブレスレットのピンク色の水晶、お姉様の瞳のようだったから」


「私も、これはアリスの色だと思ったから……」


 ……そう、私たちが指差したのはピンクと紫2種類の玉でできたブレスレットだった。



 私たちはそれを購入しその場でつけた。


「お姉様とお揃いだわ!」


「私も嬉しいわ、アリス」


 ……フィー、このまま私のお姉さんになってくれないかしら。




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