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2.褐色おっぱい、いいモノ





2.褐色おっぱい、いいモノ



 コンビニの裏手で煙草を吸う。

 なんか異次元ゲートが現れる。

 吸い込まれる。

 まではまぁ、なんとなく話したか。

 そこの詳しい描写は別に不要だ。そもそも俺の人生だ。楽しいワケがない。語らなくていいことは別に語らん。語りたいところだけを語っていこうと思う。ラキオウの外見については、語りたかったので語った。褐色おっぱい、イイネ。

「……ん、なんだ、ココ」

 異次元ゲートに吸われた俺は、何やら森の中に居た。

 しかも全裸だ。

 二十五歳男性イケメンではないの全裸など、一体どこの層に需要があるというのか。いや、どっかに需要があるのはぼんやり知識としてはあるが、今はそういうことではない。

 目の前……に、コレ、何……?

 体長は四メートルくらいあるだろうか。筋肉の大きさは明らかに人のソレではない。血管が走り、体中の血圧により身体が蒸気を発しているかのような肌。口からは牙、頭には角。指の本数は四本で爪が鋭くて――――俺に、襲い掛かってきた!

「え、ちょ……」

 死んだ。

 と、直感で思った。

 たぶんこれ、どうしようもないやつだ。

 走馬灯って見ないんだなとか、ぼんやりと思った記憶がある。

 けれど、死んでいなかった。

 あまりの速さに俺は、状況が飲み込めずにいた。

「――――は、……? ……!?」

 おっぱいが二つある。

 そう思った。

 目の前に褐色のおっぱいが二つ。巨大だ。しゅごい。鼻先三寸。もうこれに触れられるのではないかという距離。あとなんか良いにおいだ。……死にそうになった割には余裕あるな俺。

「って……ん? 死んで、ない……? つか、さっきのは、」

 ぱっと、掴まれていた身体を離される感覚。

 目の前には女性。動きが見えなかったが、俺のほうを向いていた身体が、いつの間にやら反転し、俺のほうに尻が向いている。おっぱいとか尻とか、本能の赴くままにしか事柄を捉えられてないな、俺。

 そして、時間差で血しぶき。

 見ると先ほどの大きな化物(?)の首から上がなくなっていて、そこから大量の血液が噴き出していた。

 その血を一身に浴びる謎の色黒女性と俺(全裸)。女性のほうも、なんだか露出が多めである。非常にその……、いいね。いいよキミぃ。

 なんだか謎のプロデューサーみたいな言葉を頭の中で言いながら、俺は立ち上がっていいものかどうか、考えていた。

 すると。

「ふぅ……、大丈夫か、お前」

 美しくも、どこか逞しい声で俺に話しかけてくる彼女。

 これが人間、春巻はるまき 蜥蜴とかげと、ダークエルフ、ラキオウ・シェルガとの出会いである。






 そんなこんなで命を救われた俺は、とりあえず服を調達すことにする。が、いかんせんそういった材料が無い。

 改めて周囲を見渡してみると、一見普通の森だ。森林浴とかできそうな、山の中にありそうな、森。――――うん、人の気配がしねえな。なんというか、ぼんやりとした感覚で、人が立ち入っている感じがしない。

 とりあえず俺は股間だけを隠し、立ち上がる。

「……ふむ、良かった。とりあえずは無事なようだな、人間」

「あ、はい」

 思い返してみてなんだが、「あ、はい」って俺の口癖なんだな。あとたぶん威光に弱い。強そうな人間に弱いな。

「何にせよ全裸は恐ろしいな。泌尿器のあたりから菌などが入ると危険だ。待っていろ……」

 そういうと彼女はただでさえ布面積の少ない上半身に纏っていた布をとり、びりびりとやぶきつつ俺の股間の前にしゃがみこんだ。

「え、ちょ――――なぁっ!?」

 何事ー!?

 っていうか、上半身裸の褐色美女が、俺の股間辺りでもそもそしてるっていう状況! 童貞の俺には刺激が強すぎるんですが! ですが!

「……動くな。このあたりを隠せないだろう。

 手を一度はな……せ……? おお……、おお、これはこれは……」

 とりあえずお恥ずかしい描写なので音声だけでお伝えいたします。


「こんな……? うん? 生命の危機を感じたから……か?

 ん……? ぬ、ちょ、ちょっと、……ええい、更に膨らむな! 布が巻きにくい!

 これをこう……、だめか。だったら先の方から……ん? 湿ってきてる……?」


「ストーップ!!」


 ちゅるんと引き抜く。

 ちゅるんと引き抜きました! はい、これでこの話は終わり!

 どういうものがどんな風になっていたかは割愛します!


「その、布を! その布を貸してください! 自分でやるんで! 大丈夫なんで! 自分やれる男なんで!」

 待ったのポーズで前かがみになる俺。うん、童貞には厳しいよ、コレ。童貞でなくても厳しいかもしれない。

 何だ、ハニートラップの類か!? でも見ての通り全裸なのでね! お金とかは持っていないですよ、ええ。

「とりあえず説明を! 説明をお願いしまーっす!!」

 うん。何だか。

 今日の俺はよく叫ぶ。





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