ある栄えた国のお話
昔々ある所にとても栄えた国がありました
その国に住んでいる人たちは、毎日素晴らしい生活を送っていました。
あるとき頭の良い一人の学者が言いました。
わたしたちの国は停滞していて進歩がない。進歩がない国に未来はない。
国の王様はそれを聞いて頭の良い学者に問いました。
この国を進歩させるにはどうすればいいのか、と。
頭の良い学者は言いました。
この国が停滞している原因はこの国が国民に優しすぎるからよくないのだ。
もっと国民を卑下に扱えば停滞することはなくなるだろう。
王様はこれを聞いてとても悩みました。
国のことは大切だが、その国を守るために大切な国民を卑下に扱うなんて許されることだろうか。
王様はとても優しい人でした。ですが王様は国を治める長であることも事実でした。
あるとき王様は決断します。
これからどうするか。このことは私一人で決めることは出来ない。国民全員の投票で決めよう。
次の日から国民全員に国の方針の国民投票を行いました。
始めはみんな悩んでいた様子でしたが、二日三日と過ぎる内に殆どの人が国のためになるならと考えるようになりました。
そして開票の日、蓋を開けてみれば国民のほとんどが停滞から脱却することを望みました。
王様はこれを見て覚悟を決めました。
次の日、市場に出回る品物の数が減りました。
次の日、病気を治すために必要なお金が多くなりました。
次の日、老人に配られていたお金が少なくなりました。
次の日、市場に出回る品物が高くなりました。
次の日、犯罪が起きても捕まえる人が少なくなりました。
次の日、次の日、次の日.....
国中が住みづらくなったとき、科学者たちは世界的大発明をしました。
これがあればこの国は他の国によって滅ぼされることはないものです。
ですが国民たちはそれを聞いて、とても怒りました。
毎日パンを食べることが出来なくなった。
病気を治すことが出来なくなった。
モノを買うことが出来ない。
治安がとても悪くなった。
"そんなもの"のために私たちは苦しめられているのか、と。
次の日、国民は立ち上がりました。
王様が居る城へ国民が突撃していきます。
城で王様は考えました。私は何が間違っていたのか。
王様の居る部屋へ国民が入ってきます。
部屋で王様は考えました。いったいどこで間違ったのか。
王様の首へ剣が振り下ろされます。
王様は考えました。王様は考えました。王様は考えました---。
次の日、新しい王様が出来ました。
新しい王様は国民が素晴らしい生活が出来る国へと改革していきました。
こうして新しい王様によって素晴らしい国が出来上がりました。