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10:deo duce, non errabis.

(ラハイア……リター……。いや、発音はリッターだったか)


 カーネフェル人の少年。歳はアルドール様と変わらぬ彼だが、視線の凜々しさ……纏う空気に気高さ、覇気がある。彼は立派な指揮官であるようだ。集めた情報と見聞きした全てでランスはそう判断をする。


(ジャンヌ様の親友である聖十字兵。新兵としてセネトレアに配属されて僅か二年……若くして多くの偉業を成し遂げた出世頭)


 たった一人でこの腐りきった国を、多少なりとも建て直した英雄。刹那姫が嫁ぎさえしなければ、セネトレアはもっとまともな方向へ向かっていたはず。


(潜伏していた聖十字軍は、旅団程度の規模)


 もっとも、何処の国々でも人口低下で部隊単位は正常に機能していない。中隊以下は本来の人数の半分程度、それ以上ともなれば一桁ゼロが足りない状況。本来なら大隊レベルの規模で旅団だ。英雄ラハイアが従える兵も僅か三、四〇〇程度。兵力に力を入れている第五公の軍でも五〇〇〇、第一島が他島から兵をかき集めても出せる兵はたかだかその倍と推測している。刹那姫は奇策の天才だが、本来の戦術には疎い。戦は有能な側近に丸投げをする。セネトレアは略奪の知識はあっても、これまでまともな戦争経験が無い。尚かつ、味方が敵だ。戦争は稼げると、足の引っ張り合いが生じる。 そういった博打商人がラハイア達の支持者の内にも在るのだろう。


(第五島は何度も戦地にされてきた。戦慣れしているのは第五公の軍……王宮は卓上遊戯が関の山。後方より叩くというのは良い手だ)


 イグニス様の部下を置いてきたのは正解だ。本人にその気が無くとも、傀儡とされた人間がいる以上……俺の演技は功を奏した。さぞかし俺が感情で暴走したように映っただろう。

 ああでもしなければ、監視の目を逃れることは不可能。精霊による監視を行うプリオイビートは厄介な数術使い。その上、第四公のスパイにもされていた。完全に繋がりを絶てた保証もない。カーネフェルで共に戦ったルキフェルやシャルルス達には、俺も一定の信頼を置いている。だからアルドール様を預ける決意が出来たのだ。


 《この状況……あの聖十字。どう思う、母さん?》


 剣に宿した水の精霊……養母ヴィヴィアンに、胸の内で語りかける。すぐに返って来る声は、情報数術のように……剣に触れた指先から腕を伝わり頭へ響く。


 《すっごくいい男だと思う。クールさには欠けるけどあれはあれで》

 《個人の好みや感想ではなく》

 《嫌だわこの子ったら! 一番いい男はやっぱりランスよ》


 元は叔母……祖母の形見である触媒剣。思い付きで試したことだが、剣に保管数術で精霊を宿らせれば、言葉を使わず彼らとの会話も可能。情報を完全に秘匿出来るというのは大きなメリット。数術代償を支払わずに済むというのは大きい。今は少しでも消耗を避けたい時期だ。


 《……彼が本当に凄い英雄なのだとしても、違うわランス。人が一人きりで出来ることには限界があるものよ。貴方だってそう。貴方は多くの面で優れた人だけど……人間なのよ。もう思い出したでしょう?》

 《母さんの言う通りだ。……彼にも、気心の知れた友や仲間がいるんだろうな。……でも、おかしい。今の彼は、親友であるジャンヌ様がいるというのに……一人で戦っていた頃の俺みたいに見えるんです》

 《そりゃあ、男同士の親友と……男女の親友では事情が変わって来る物よ。あんたの大事な聖女様がそう思ってても、男の方はどうだか》


 散々褒めた後に母さんは掌を返した。基本的に精霊は人間嫌いを拗らせている。意識を持った元素の集合体……そんな仲間が数術使いに犠牲にされ続ければそうもなろう。しかしここから先は……俺の持つ、特定の精霊に好かれる体質も最大限に利用していかなければ。

 ……などと。伝えようと思わずに、頭で考えたこと。それも伝わってしまうのか? 企み事は剣から手を放して思う必要があるかもしれない。俺の思考を何処まで読み取ったのかは不明だが、母さんは笑っていた。


 《ランス……貴方は確かに人間よ。それでも私が貴方を育てた。それは紛れもない事実。貴方の身体は人間に過ぎないけれど……貴方は人間を理解できなかった位には、貴方の一部は精霊なのよ。それが貴方の呪いに変わっていたこと。謝らせて頂戴》


 否定しよう。そう思った。それでも言葉が出て来ない。あの頃の俺が母の後を追わずに生き存えたのは、紛れもなく目の前の……このちっぽけな精霊のお陰なのだ。貴女が居なければ、俺は…………多くの大切な人に出会うことも出来なかった。俺という人間を形作るための恩人なんだ、ヴィヴィアン母さんは。

 感謝している、伝えたいのに……。こんな葛藤も恐らく伝わってしまっている。だから剣に姿を映した母さんは、…………少し悲しそうに笑うんだ。


 《…………貴方が苦しんだ分、貴方は強くなった。だって貴方と同じ悩みを、普通の人間は考えることもないのよ。貴方は人の心と体を得た精霊。貴方は強いわ、誰よりも》

 《母さん……》

 《精霊と人間の違いを知っている? 当然貴方なら知っているわね》


 万物は数。人間の身体だって分解すれば複合元素の固まり。精霊は一属性の純粋な元素で、元素をこねくり回した血の通う肉体を持たない。それが違い? いいえ、それだけではないと母は言う。


 《貴方が気に病むことはないわ。精霊は願いのために作られた。消費されるための存在が、悲しくも浅ましくも……自我を意識を得てしまっただけ。大好きな人のために身体を燃やして、消えていくのよ。哀れまないで。それが存在する意味。私達にとって、幸せなことなの》


 意識を持たない元素は、消費される相手を選べない。自我の芽生えた元素……精霊は、自身を費やす相手を選ぶ。

 俺の罪悪感をも肯定し、迷いを捨てるよう教え導く。今俺に必要なことを感じ取り、その役目を自ら買って出てくれた。


 《貴方達のように、勝ちを譲れるカードは……精霊と同じ。誰かの願いのために、落ちて行く流れ星。唯燃え尽きるんじゃあんまりにも可哀想だから。どんなことでも貴方が本気で願うなら、私が絶対叶えてあげる》


 剣に宿った情報群。この場にいない俺の親友。その無念を掬い上げ、果たそうと彼女は誓ってくれる。何故俺は恩人に。大事な人達にそんなことばかりを言わせてしまうのか。何のためにカーネフェルという国を俺は愛した? 守ろうとした? 迷う時、大事な物の価値を見失う。


 《…………そんな風に思ってくれる人を、一番に出来たら良いのに》

 《悲しいことにそれは貴方がやっぱり人間だって証明よね。そう思って貰えるだけで、私やあの子は幸せなのよ》

 《母さんには、何が見えているんですか?》

 《ふふふ、それは教えてあげない。でも、教えなくても貴方が知っていることよ》


 父とは違う人間になるため。父を否定するため。暗い願いで出会った王に魅せられ、あの方の国を守りたいと思った。あの方を失い死に急いだ俺は、何故願わなかったのか。全てを殺めてあの方を生き返らせようと。

 あの方が俺のカーネフェルであったなら。忠誠を捧げた王だけを選べば良かった。その選択が出来なかったのは、あの方の民を……俺の友をこの手で殺せなかったから。国のために死ねとは言えるのに。カーネフェルも俺も、空っぽの棺であった。アルト様を失ってからずっと。そんな棺の中に、大事な友を葬ろうとしたんだ俺は。共にカーネフェルのために死んでくれと。

 そんな棺をこじ開けたのが、アルドール様とジャンヌ様。


 《ジャンヌ……様ね。あの小娘も、そんな流れ星だって自分で解ってる、可哀想な子。……うーっでも、なんであんたに惚れないのか腹立つわ。私の自慢の息子なのに!! 本気になれば即落ちよあんな元村娘! 本気で口説いてないでしょう!?》

 《そんなことをしたら、俺はカーネフェルの騎士ではなくなりますよ。俺はトリシュのようには生きられない》

 《王には話しちゃったのに?》

 《アルドール様は人の嘘に敏感です。俺自身、主に嘘を吐き続けるのは剣が鈍る原因になる。カーネフェルの剣として俺が強くあるために、必要なことでした》

 《…………言わないのね、あの子には》


 些細なことでも貴女に関わることが嬉しい。そう思う心が辛い。彼女の好意を躱す貴方が憎らしい。全てを知りながら知らぬ素振りで俺に押しつけようとする、彼の低すぎる自己評価……卑下の心も。俺の屈折した思いも知らず、近付こうとする無防備さ。二人からの、俺への無条件な信頼。その無垢さを好ましいと感じながら、芽生えた心に苦しめられた。

 でもそれが……人になると言うことで。二人に関わる事で、これまで知りもしなかった……いくつもの感情を知っていく。俺が人であったことを、彼らが思い出させてくれた。


 《ジャンヌ様もそこまで鈍くはありません。気付かれていますよ、とうの昔に。唯、認識すればその分ジャンヌ様が弱くなりましょう。あの方は、ご自身がどうすれば強さを保てるかご存知なのです》

 《私の前でまで強がらなくて良いのに。あのねランス、大事な王様と離れて辛いのは解るけど、…………いや、なんか嬉しいかも。あのあんたが……あんな王様のことを、そこまで思うようになったのね。ちょっと妬けるわ。あんな何の魅力も持って無さそうな子なのに。凄いわよ。ラハイア様とは違う意味で》


 タロックの天九騎士、双陸殿。彼は最期まで王に付き従った。例え王が道を違え、気が狂っても。それも一つの忠義の形だ。彼は国より王を取ったのだ。


 《はい。俺の仕えるアルドール様ですから》


 こんなどうしようもない俺のため。何の繋がりもない彼が、何度も涙してくれた。そんな彼が元に戻った時、俺は彼を悲しませたくない。ランス、よくやったと泣いても笑って貰えるような結果を残したい。その時俺が土の下でも、せめて貴方の隣にジャンヌ様は残したいんだ。


(大丈夫……まだ、大丈夫だ)


 根拠がない自信ではない。この触媒から伝わるのだ。あいつが残した祈り。何かに変貌しかけているあいつの幸福値。死にかけのお前から、まだ奪って行くのを許して欲しい。


(お前なら……それでも、許してくれるよな?)


 何度でも謝ろう。黄泉の酒でも酌み交わしながら。


 *


 愛する祖国カーネフェルのため、憎むべきセネトレアのため。進む道は違っても。共に正義を果たそうと誓った友、ラハイアとの再会。身体を休めて何時間が過ぎた頃? 合流した日の夜更けに、私達は起こされた。


 「すまないジャンヌ、こんな時間に」

 「いいえ、理に適っています。先を急ぎましょう」

 「先刻から気になっていたのだが、その片耳の飾りはどうした? あれは触媒だろう。紛失したなら代わりの物を用意させるが」


 私の横顔を見て、ラハイアが言う。かつて軍より与えられた耳飾りが欠けていると。


 「数術の才が無いものには気休めのお守りにしかならないが、無いより幾らかマシだろう。敵からの数術を軽減させる効果もある」

 「ああ、あれは……大事な方へ渡したのです。その方は数術使いだったのですが、触媒を無くされて。でも貴方と交換した方はちゃんと大事にしてますよ、ほら!」


 もう片耳を彼へと見せれば、そうかと彼は頷いた。


 「きっとこれが、貴方と私を再会させてくれたのです。ですから……私はあの人に、また会える」

 「カーネフェリアと離れたことが不安か? 君には申し訳ないことをした。陛下も断腸の思いで君を送り出したのだろう」

 「私のことは良いんです。貴方を心配する人も大勢いるでしょう? 早く戦いを終わらせて、貴方が正しく評価されると良いですね」

 「……そう、だな」


 歯切れの悪い彼の言葉。何か気がかりでもあるのか? 敵への警戒か? 彼の部隊をを見るに、ここには数術使いがいない。視覚数術で姿を隠すことも出来ない彼らは、昼間は森に身を潜め、夜間に進軍を行う。人数が少ないため、第五公の軍隊よりも進みは早い。物資も乏しいためか、彼らはとても身軽なのだ。予め行く先々に協力者を向かわせて、物資提供を頼んでいるのか?


 「貴方は数多くの奴隷を助けたと、そう聞きました。この先にはそういった貴方に恩がある、支援者が身を潜めているのですか?」

 「そうであれば良かったんだが。ジャンヌ、セネトレアの人間は感謝の心など持たない。金になるなら人の心も売りさばく、そういう連中だ。奴隷達はシャトランジアに亡命させた。ここに俺の協力者など、ほんの一握り」

 「ですが……目的地まで数日。多めに見積もって、一週間はかかるでしょう?」


 第一島はそう広くない。第五島からならば半日程度で王都ベストバウアーに辿り着く。どの程度の難易度かは不明だが山脈越えは回り道、険しい山々……どれだけ急いでも三日四日は消費する。その間第五公の軍隊は第一島で戦闘を開始するはずだ。兵が出払い都の守りが手薄となった所を背後から叩く。味方の犠牲を減らすためには、なるべく早く此方も都入りしたい。


 「数値異常について聞いたことはないか? 第二島と取り引きをして、馬の育成を行った。数値異常の餌を与えることで扱いは難しくなったが、並の馬の数倍の身体能力だ。明日には都まで着くはずだ」


 親友の口からもたらされた情報は、かつての彼らしかぬ物。私は彼の顔を凝視した。


 「そ、それは……凄いですが、でも十字法で数値異常物の摂取は禁止されているはずです。人にも、家畜にも。貴方ともあろう方が、法に背いたのですか?」

 「君にそれが言えるのか? 聖十字を抜けた君に。法に背いて罪を犯して……それでも救える相手がいるのなら。そうやって正義を貫いたのが君ではなかったか? 貴様と同じ事をした俺を咎めるか!? 自身の正義を否定するのかジャンヌ!」

 「わ、私は……私の正義は、確かにそうです。ですが貴方は! 貴方はそうではなかったでしょう!? 正しき正義は、正しきやり方で勝ち取るものだと」

 「……俺らしい、綺麗事だ。そんな物は、もう捨てた」

 「ラハイア……?」

 「罪を犯すことを躊躇い……己の正義ばかりを重んじて。大事な人を、仲間を犠牲にして得た勝利。それは正義と呼べるのか?」


 彼とこれまで、こんな風に口論したことはない。例え意見が違っても、私達の交わす言葉は眼差しには信頼があった。ラハイアはいつも熱い男で、その目に正義の火を燃やしていた。それが今の彼の冷ややかな瞳。死人の目。彼の生死その真偽はまだ見抜けずとも、私の知っている友は既にそこになかった。


 「……すまない。当たるつもりはなかった。そうだな、俺自身……良くないことをしている自覚はある。しかしこれは戦争だ。被害を最小限に抑えるため、使える物は何でも使う。大義があるのなら、正義は負けて滅びてはならないのだ」


 我に返った彼が頭を下げる。私には、素直な迷いを口にする……そんな姿はかつての友に重なるが。


 「……セネトレアが、貴方を変えたのですか?」

 「ジャンヌ、君も変わった。以前の君ならば、迷わず正しい道を選べたはずだ。正義のためなら君は、俺を見捨てることが出来たはず。何故、ここに来た? 俺は君に来て欲しいとは伝えていない」

 「あ、貴方が本物かどうか……親友の私にしか解らない! だから私がここへ来ました!」

 「では君の目から見て俺はどうだ? 俺は君の知る友か?」

 「お二人とも、今は争う時ではないでしょう。上が取り乱せば兵も不安になります」


 出発前にもめ始めた私と彼の間に入り、ランスが仲裁を量る。私の愚かな発言で、此方の目的を知られてしまった。これ以上の情報を明かすことは出来ない、彼はそう判断したのだ。


 「本当に貴方がジャンヌ様の友ならば、そんな言葉は不要でしょう。友を試すなど、果たして友と呼べますか? 貴方を信じ、同行しているジャンヌ様。それこそが答えでしょうに」


 私を試すことは自身が偽物だと告げたも同じ。そうでないのならこの場は収めろ。ランスの話術によって、ラハイアも引き下がる。


 「……カーネフェルの騎士殿、馬の扱いは得意か? カーネフェリアには荷が重い。其方に一頭預けよう」


 彼は根負けしたよう言い残し、馬を預け兵に声を掛けて回った。その間私達は、触媒剣を使い交信をする。


 《ジャンヌ様……差し出がましい真似をすみません》

 《いいえ、助かりました》

 《彼は……どうですか?》

 《まだ……決め手に欠けます。もっと私と彼しか知らない話が出来たら良いのですが……ゆっくり話が出来る状況でもありません。それに……仮に彼が偽物でも。セレトレア側の人間でなければ良い。削り合うことを望む道化師は、これ以上は仕掛けて来ないと思います》


 そうでなければおかしい。道化師の狙いはアルドールを苦しめて殺す事。今のアルドールはアルドールではない。アルドールが元に戻らなければ、道化師は目的を達せない。彼を元に戻したいのは、私達以上に道化師なのだ。


 《アルドールがマリウスである間、おそらく道化師からの直接攻撃はありません》


 ラハイアに言われて目が覚めた。私は彼に会いに来たのではない。彼が何者であろうと、私は彼を利用するためここへ来た。


 《彼が本物のカードなら。困難を跳ね返す幸運がある。仮に道化師側の人間でも、其方の幸福値を消費させられるなら……いつかカーネフェルのためになります》

 《ご立派です、ジャンヌ様》

 《それは違うわ。貴方のおかげですよランス》


 私の言葉にランスは戸惑う素振りを見せる。そんな彼に微笑みながら、私はカーネフェルでの短い日々を思い出すのだ。


 《これまで貴方は何度も傷付いて。セレスタイン卿とのことで辛い判断を下して来ました。私はずっとそれを見ていたんです》


 大切な友を犠牲にした貴方に。貴方の上に立つ私が、友を選ぶことがあってはならない。貴方の悲しいまでの強さが、私に役目を思い出させる。


 《貴方は誰よりカーネフェルの騎士でした。大事な友を犠牲に捧げても、貴方はそう在ろうとした》


 彼が本物のラハイアでも、道化師の配下でも最大限に利用する。手段を選ばずに戦わなければ、カーネフェルは勝利できない。


 《セネトレアで多くの悪意に出会うとあの女は言いました。私は出会いました、私の内に潜んだそれに。王妃の資格もない唯の私を。貴方はカーネフェリアと言い、着いて来てくれた。ですから私も私の役目を果たしたいのです》

 《ジャンヌ様……》

 《私は唯の小娘かもしれない。ありふれた愚かで性根の腐った人間かもしれない。それでも貴方の前では立派なカーネフェリアでいたい》

 《……我が君、カーネフェリア。私はすべて、ジャンヌ様の判断に従います。必ず貴女をお守り致します。何処までもお供しましょう、貴女が気高きカーネフェリアである限り!》


 視線を交わし微笑んだ、憑き物が落ちたよう澄み切った彼の青。私が差し出した手に、彼が応える。今の彼と私なら……剣の力を使わずとも、胸の内を分かり合える。


 「信じています、貴方を」

 「はい、ジャンヌ様」


 同じ人を愛し、同じ祖国を愛した私達だ。望む未来も同じはず。


 「私達の王に、良い知らせを届けましょう! 死んではなりませんよ、共に生き残るのです。目覚めた彼が泣かないように、強く生き抜くのです」

 「はい、必ずや! 貴女の願いを果たして見せます!」


 *


 そんな風に、決意新たに向かった旅は……順調とは言い難かった。


(身体が、重い……)


 何時間が過ぎただろう。私は何をするでもなく、ランスの背にしがみついているだけ。なのに腕に力が入らない。身体が軋む。内臓を、骨を肉を。内側から食い破られるような痛みだ。私は忘れていた。風土病に冒された身であることを。


(薬……持って来ていたかしら)


 少しは手持ちがあるはず。しかし本格的な治療薬の到着前に、私はあの場を飛び出した。薬が切れただけでこんなにも酷いとは。これが末期患者の症状。フロリアスという混血は、こんな痛みの中……アルドールのため、カーネフェルのために戦ってくれているのか。


(愚かだ……)


 何故拒んだりしたのだろう。私が混血になることを受け入れていれば。私はもっと、カーネフェルの役に立てたのに。


 「……少し、休めませんか?」

 「夜明けまでに山に入りたい。もう少しの辛抱だ。我慢してくれ」

 「良いのです、ランス。私は、大丈夫……」


 私の異変に気付いたランスは、すぐさまラハイアに休息を申し出る。


 「聖十字ということは、ここにも薬はあるのでしょう? 分けて頂けませんか?」

 「やめて、ランス……彼には」

 「怪我でもしていたのか? それは済まないことをした。すぐに手当を」


 風土病の主な感染原因が、彼の言葉を曖昧にする。正しく伝わらないために、ラハイアは勘違いを始めた。言えない。少なくとも彼の部下がいる前では。本物の彼ならば、私の言葉を信じてくれると信じられるが、そうでないのなら迂闊なことは出来ない。道化師の手の者であればすでに私の事情など筒抜けだろうけれども。


 「大丈夫、先を急ぎましょう。身を隠せそうな場所まで辿り着いてから……お願いします」


 私はランスを引き下がらせ、ラハイアを促した。その甲斐あって、夜の内に私達は目的地まで辿り着く。入り口の山に差し掛かり……水源を求めてしばらく登る。これから長い縦走が始まるかと思うと、少しでも身体を休めたい。それは馬達も変わらない。


 「一番近い水場は彼方ですね」

 「おお! 本当に沢があった! 数術使いの加勢は実に有り難いな! 感謝する!」


 水の元素を感じ取り、ランスが水分補給場所を伝えると、辺りから歓声が上がった。数値異常に冒された馬は、移動速度に優れる反面持久力がないようで……水の確保が重要だ。しかし多くの物資を持たせれば、移動速度も低下する。利点を失わないためには、必要最低限の物資での強行軍を強いられる。沢での小休止は私にも彼らにも必要なことだった。多少進んで解ったことだが、山中は足場も悪く夜の方が危険と判断し、出発は明け方と話がまとまる。何時間かは休めるだろう。ラハイアが人払いをしてくれて、水浴びをすることも出来た。離れた場所でランスが見張りもしてくれた。次は彼に水場を使うようにと勧めよう。


(気持ちいい……生き返るようだわ)


 沢の水で咽を潤すと、少し身体の辛さも軽くなる。顔や手足の汗を流して身体を冷やす。私が身体を休める間、

 ランスが探りを入れてくれたが……私の求める薬など、当然彼らは所持していなかった。


 「我々は第五島から来ましたが、彼方は酷い有様でした。いずれ第五島の兵と合流することもあるでしょうが、細心の注意を払って頂きたい。ラハイア殿、何か対策はお考えですか?」

 「さん付けの次は殿か。確かに……下に示しは付かないか。それではランス殿。風土病について……か。俺も出身は異なる、詳しいことは解らん。だが、あれが第五島の外に広まったという話は聞かない。おそらく島毎の環境の違いなのだろう。第五島と第一島は気温も湿度も異なるからな」


 配属先以外には疎いのか。人の悪意を見抜けない甘い発言。その善性は実に彼らしく、疑わしい。心身の不調がそのまま疑う心に変わり、私は私がどんどん嫌いになっていく。守ろうとした物は、もう私の手の中には残っていない。燃え尽きた灰の残滓を、砂の中から探しているだけ。


(私は……)


 私は何のために剣を握ったのだったか。顔も名も解らない、愛するカーネフェルの民のため。それが彼と出会って、彼の姿に変わった。私を殴り返さなかった不貞不貞しい少年が、傷つき脅えて泣く姿。出会った日には想像出来なかった。彼自身、もう思い出せないだろうあの笑顔。貴方が私の中の民の血肉となった。名を得て貴方が王となった。私のカーネフェル……アルドール。


(それでも……灰から甦る物もある)


 私の指に収まる指輪。彼の装飾剣が生まれ変わった姿。台座の宝石は何の石なのだろう? 私はこういったことに疎くて名前が分からない。色もそう。彼のように色がない。前に見た時は青色だったように思うのだが。嗚呼、青色だったら良かった。この瓶の中身も。


(大丈夫……この速さなら、手持ちだけで薬は保つわ)


 大事に使おう。私は小さな薬瓶を、祈るよう握りしめた。カランと鳴った音が、中身の隙間を告げて来る。宝石のような赤い石。これが薬とは、驚いた。舐めれば飴のように甘いのだ。一粒口に放り込み、味わう内に……身体の痛みが引いていく。夢現の狭間で、その刹那、私は……“声”を聞く。


 「……あれは、何の騒ぎでしょう?」


 半ば夢見心地の私の耳へ届いた、悲鳴? そう遠くからではない。麓の村だ。大勢の人が荷を背負い、逃げ惑う姿がそこにはあった。慌ただしい人々は、山へは逃げずに王都へ繋がる街道方面へと向かっている。村を捨てて逃げる? 敵に襲われたわけでもないのに何故?


 「村が焼けたわけでもないのに、どうしたのでしょうか」

 「丁度いい。様子を探りながら物資を探しに行くぞ。二小隊、俺に続け!」

 「ラハイア! そんな夜盗のような真似を」

 「綺麗事を言っている場合か。村を焼くより良いだろう?」


 彼の言っていることは正しい。村を襲わずに物資を得られるならこんな幸運なことはない。それでも腑に落ちないのは胸騒ぎの所為? 彼がこんなことを言うはずがないという不快さから? 自らの心が解らぬままに、私達も彼に同行をした。目の前の人が、何者であっても……信頼できない気持ちが強くなっていた。


 「……なるほど、撤退だ」


 村を見て回り、私達は真相を知る。合点がいったと頷くラハイアは、村に捨て置かれた人々を冷酷な視線で見下ろしていた。


 「助けて……苦しい、痛いよぉ」

 「おかーさん……おとーさん、どこ? どこにいるの?」


 寝込んだままの子供達。彼らは全員、重い病気のようだった。何の病だろうか。私の薬で効くだろうか? 何処が痛いか尋ねれば、私と同じ痛みを彼らは訴える。


 「感染者が出た。だから村を捨てたのだろう。これでは食料も当てにならんな」

 「ラハイア! そんな言い方はないでしょう!?」


 私の苦言を躱しつつ、彼は部下を下がらせる。その場を離れようとする彼に噛み付く私を、彼は面倒臭そうに見つめ返す。


 「セネトレア人にも愛情はあるようだ。身内に対する情け程度は、はた迷惑なことに。……そうだ、先程俺に解決策を聞いたな、ランス殿。簡単だ。村を焼くべきだったんだ」


 ラハイアが先に帰した兵は、何をした? 窓の外が昼間のように明るくなった。轟々と、火の手が上がるのが見える。


 「敵国の人間でも、まだ生きて居る……無力な民間人なのですよ!? 何と言うことをっ!」

 「教え聞いた対策だ。Disは極端な寒さと熱さに弱い。凍らせるか燃やすかで、病の進行は防げる。だが……その処置は人の死と同義。感染拡大は防げるが、感染者は絶対に助からない。このまま捨て置いてもいずれ死ぬ」


 「一人の命を投げ出して、一人救えれば立派なものだ。その者は聖人と名乗るが良いな。取るに足らない民草が、それだけのことをしたのだから妾は褒めてやって良い」

 「……貴方、その口調!? ま、まさか!?」

 「なるほど。試運転の肩慣らしだが、ふむ。悪くはない。ご挨拶をしようか、妾の国へようこそ」


  来るとしても、敵は道化師側だと思った。まさか女王自ら、罠を仕掛けている可能性……気付けなかった私の落ち度。怒りに打ち震える私を見、彼は……あの女は満足そうににたりと笑う。


 「女王……っ、刹那っ!!」

 「妾は心残りでのぅ。こんなにいい男を寝ずに殺してしまったことが。防腐処置をしてみたが、なかなかの物であろう? これなら那由多も泣いて喜ぶぞ!」

 「今すぐ彼から出て行きなさい! 罪無き彼を殺めたばかりか、死者を冒涜するとは!!」

 「妾ばかりだと思うか? これまで妾が何人殺したと思うておる? くくく、妾は数術の才能もあるようでのぅ。天は妾に何物を与えたことやら」


 怒りのままに剣を構えた私を諫め、ランスが私の前に出る。


 《ジャンヌ様、どうか冷静に。刹那姫は上位カード。俺以上に元素に愛されています……! 恐らくⅡ》

 《つまり、私が簡単に殺せる相手!》

 《ですが本体がありません。彼女は貴女に、ラハイア様を傷付けさせたいだけなのです!》

 「久しいな、カーネフェリアの騎士。其方の色男は、生きたまま契って見たいものじゃな。これは妾の身体ではないが、それも一興。どうせこの男、仕事ばかりで女と寝たこともないのだろう? 可哀想ではないか。嗚呼。其方はこの男を友などとほざいていたな。そんな男に組み敷かれるのも愉快じゃな」


 何を言えば私が怒るか、刹那は全てを知っていた。私の大事な友との思い出を、汚す言葉がどうしても許せない。泣きながら唇を噛み締める私を、あの女は腹を抱えて笑っていた。剣も構えていないのに、このまま斬りかかれば殺せる距離なのに、どうしてランスは止めるのか。


 《数百人単位の亡骸を生者のように操る他に、旅団全員の視覚数術をもこなしています。とても信じられません。純血が……脳死もせずにそんな事が出来るとは。俺がやったら数秒で死んでいると断言できます》

 《何故……! そんなことが有り得るのですか!? それがアーカーシャの言っていた、“言霊数術”の力なのですか!?》


 努力も才能も、笑って強運・悪意で踏みにじる。そんな相手に何をどうすれば勝てるのか。


 《ジャンヌ様、今は撤退するべきです。俺が空間転移を成功させます、どうか……貴女だけでも》

 「面白いことを教えてやろうぞ、妾は其方に水浴びを勧めただろう?」


 ランスが数式を展開させるまで、時間が必要。その間彼方から不快な時間稼ぎの申し出がある。聞くなとランスが私に訴えるが、私は耳を塞げなかった。この女から一度でも逃げたら、二度と勝てないような気がした。


 「空間転移など要りません! これ以上彼らの死を冒涜するというのなら、彼らの身体であっても私が……糸を断つ!」

 「ジャンヌ様っ!」


 振りかざした私の剣、刹那は軽く身体を捻って躱したが、そこからの二撃目は躱せない! 兵士として生きてきた私と、のうのうと暮らしてきたお姫様との違いを思い知れ! ラハイアの胸に……私の剣が深々と突き刺さる。


 「くくく、この男の方が掘られてしまったわ」

 「彼を愚弄するなっ!!」

 「まぁ良い。近う寄れ。妾は其方と話がしたかったのじゃ。秘密の、秘密の睦言をな。そちらの騎士には聞かせたくなかろう? しかし残念じゃ。其方は何度言っても人の話を聞かぬ。余程耳が遠いのだろう。妾は大きな声で言わねばなるまいな」


 痛みを感じていないのか? 亡骸は血も流さず無邪気に笑う。罪のない、とっておきの悪戯を暴露する子供のように。


 「あの沢は、この村に流れる川に通じておるのじゃ。意味が分かるか、汚れた聖女」

 「!?」

 「飲料水にも利用する、水を其方が汚染した。子供は身体が小さいからのぅ。簡単に感染したのだ。其方の末期症状の血やら汗やらで汚染された水によってな! 解るか聖女よ。とんだ偽善よのぅ……其方がこの童子共を死へと追いやったのだ」

 「そ、……そんな、馬鹿な話が……」

 「もう一つ愉快な話がある」


 両手が震え、もう剣を握ることも出来ない。腰を抜かし、その場に座りこんだ私を見下ろし女王は笑う。その顔が見たかったと上機嫌で。


 「西側には逃げた奴隷が暮らす事が多いと聞いたことは? シャトランジアを嫌い、英雄ラハイアに救われた者が隠れ住む場所があったとしたら?」

 「だ、騙されません! あんな身なりの良い者達が、全員元奴隷であったと?」

 「“視覚数術”……知らぬとは言わせぬぞ?」


 女王はしゃがみ、私に掌を突き付けて……Kの紋章をJへと変えた。


 「そ、それは……あの方のっ!」

 「この熱血色男には一杯食わされたわ。シャトランジアの美少年も、全く憎々しく実に愛らしいのぅ。じゃが、妾は学ぶのも早い。一度なら騙されてやるがの」


 この女は、善と正義の心以外の全てを持っていた。地位も美貌も、資産も運も……才能も。主よ……我が神よ。何故そんな優れた者に、貴方は正義を授けてくださらなかったのか! 初めて貴方を恨みます!!


(どうして……どうしてなの!?)

 「“カーネフェル軍が略奪に来る。現に毒を流した、見境無しだ。此方の事情も分からない。英雄ラハイアが来るまで持ちこたえろ? そんなことは無理だ。彼はもう死んだ、すぐに逃げなければ!” そういう煽動をさせれば其方が一気に悪者じゃ」


 全て捨てた。失った。それでも打ち負かせない悪がいる。私はこれ以上何を犠牲にすれば、この女を滅ぼせるのか、解らない。カードの差、幸運の差。本人と対峙したなら殺められるのに、戦地で相まみえることさえ叶わない。用意周到な女狐を、探し出す前に私の運が尽きていく。


 「臆病共が逃げた後に、ラハイアが生きて居る。村を助けに来た。そういう話も流してやった。山から降ってきたカーネフェル軍と、少ない兵で戦っている。恩人の危機だ! 加勢に行かなければ……! 愉快なことに馬鹿と熱血は伝染病のようでの、奴に恩義を感じる者は馬鹿になる。そういう魅力があったのだろうな、其方の親友殿には」


 刹那が演じさせる同士討ち。視覚数術でカーネフェル対正義の聖十字の構図。上層部は騙されなくとも、兵や民の心は解らない。最悪……シャトランジアとカーネフェルの間の不和、火種にされる? 煽動され村に戻った人々が、亡骸兵達を倒し……ラハイアを探す。そして彼らが目にするのは……私に刺し殺されたラハイアだ。部屋に村人が入った瞬間に、刹那はその場に倒れ込み……瀕死の姿を演出。


 「ジャンヌ……なぜ、きみ、……が」


 涙と血。どこまでが視覚数術なのだろう? 奴は役者だ。名女優。事切れた顔の痛々しさ。そんな表情で、憑依数術を刹那は解いた。


 「ラハイア様っ! しっかりしてくださいラハイア様っ!!」

 「女ぁっ! お前がやったのか!! セネトレアの英雄を!!」

 「ジャンヌ様っ! 俺の手を!!」


 必死に完成させたのだろう、ランスの空間転移。私が彼の手を掴む前に、私は兵士に殴りかかられ倒れ込む。


 「くそっ!」


 ランスは私ではなく兵に触れ、彼らを何処かへ飛ばして消してしまった。土壇場でそんな応用を利かせる彼は、優れた数術使いだが…………消耗が酷い。私が術への協力を拒み、幸運を差し出さなかったためだ。屋外にも大勢の住民……肩を貸さなければ歩けない、今にも意識を失いそうな程、衰弱しているランスに視覚数術を使うよう命令するのも酷。ラハイアを装いこの場を脱することも出来ない。


 「ジャンヌ……さ、ま?」


 私は自分とラハイアから十字架の耳飾りを外し、ランスの耳へと付ける。これで彼の身元は聖十字だと言い張れる。ラハイアの名を知っていても、顔については知らない者が多いはず。私は兜を装備。ラハイアとランスの装備を入れ替え、外へと飛び出した。


 「ラハイア様だ! まだご無事だ!! 手当てをしたい、誰か手を貸してくれ!!」


 まだ、大丈夫。まだ大丈夫。私が行う悪巧み。どうか成功して、どうか。


(ごめんなさい……)


 あの女の言葉に屈した、私を許して。許さないで、恨んで。全てを見ていた、末期患者の子供達。彼らを私がこの手で殺した。凶器を友の亡骸に握らせ、罪を押しつけて。


(私は、カーネフェリア。私は、カーネフェルのために……!)


 それこそが、私に残った…………最後の正義。

 

久々の8章。予想以上に、急展開になりました。裏本編との時系列まとめのせい。もっと長くリフル眠らせておくんだった。あと数日であそこまで進められるのか……。というかカーネフェルが進むの遅いんだわ。

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