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景気のいいケーキは良いケーキ?

作者: 影華

SCPを布教するため、サラリと読める短編を用意しました

ある日、いくつかの発展途上国にケーキが送られた。

「貧しき人々に幸せを」と書かれたメッセージ付きで。

そして、カップケーキからウエディングケーキまで様々なケーキが民に配られた。

飢えた人々は心から神に感謝し、幸せの詰まったケーキを貪った。


それは先進国のニュースにもなった。

心優しいプレゼントに人々は感動し、その正体を推測しようとする。

大富豪の一足早いクリスマスプレゼントだろうか?

それとも慈善団体が注目を集めようとしたのだろうか、と。


しかし、暫くするとケーキは神の慈悲だという説が主流になった。

そのケーキが増殖するという事が判明したからだ。

勿論、それは現代技術では実現できない。

だからこそ、これは神からの贈り物なのだと、神は実在したのだと人々は謳った。


心優しい人々や宗教家達は積極的にソレを増やそうとする。

飢えを無くす事が出来るなら、神の意思に従わないなどあり得ないからだ。

そして、貧しい人々もケーキを増やす事に賛同した。

一日食べないだけで二個に増えるのだから、今すぐ食べなくても良いと。


そうして、この世界で餓死という言葉は死語になった。

無限に増える栄養源があるのだから、飢えに苦しめられる事はもうない。

勿論貧しさのあまりケーキしか口に出来ない者はいた。

それらの人々の栄養の偏りなどは心配されたが、飢死するよりはマシである。


世界は歓喜の声で溢れかえっていた。



しかし……やがて人類は絶望に沈む事となる。

今まで喜んでいた事の負の側面に気付いてしまったのだ。


増殖するケーキに際限などない。

コントロールする事も不可能。

そして、ソレの総量を減らす事も出来ない。


調べれば調べるほど恐ろしい事実が人々の背に重くのしかかる。

確かにこれからは飢える者は現れないだろう。

けれどケーキが世界を覆いつくしてしまったら意味がない。


これに対抗するのは食べる事のみ。

総量を減らす事は出来ないが、維持する事だけなら何とか出来る。

人類の心は今、一つになった。


さぁ、甘い絶望に抗おう。

SCP-871 【景気のいいケーキ】

著者 Seibai様

http://ja.scp-wiki.net/scp-871

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[気になる点] 配ったのってマナによる慈善財団か?
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