スポットライト
僕は暗闇から抜け出すことが出来ないから
光の中の君を見て羨ましいと思ったんだ
暗闇の僕は光の君が見えるけど
光の君は暗闇の僕は見えないんだ
どうしようもないことだって分かっているけれど
やっぱり僕は悲しくて
君に気づいてもらおうと
必死で腕を振るんだよ
君の誰かに向ける笑顔が
滑らかに踊る指先が
幾度も僕を引き付けて
足にまとわりつく鎖でさえ気にならなくなった
戒めをちぎって右足を踏み出せば
光の中の仲間入り
憧れ続けたその場所はあまりにも美しくて
僕は目がくらんで暗闇を見ることが出来なくなった
僕を見る目が
差し伸べられる手が
掛けられる声が
全てが初めてのことで
僕は大事なことに気づくのに遅れてしまったんだ
ああ、君はどこに行ったのだろう。
いや、違う。
僕が君を暗闇に落としたんだ。
なんということだろう。
いくつもの声の中から君の声を探すけど
光の僕は暗闇の君が見えないんだ
どうしようもないことだって分かっているけれど
やっぱり僕は後悔して
君を探してみせようと
必死でこの目を凝らすんだ
僕の君に向けた声が
精一杯の叫び声が
君に届けと願うのさ
心臓に打たれた甘い釘がこれ程までに主張して
自由な光の中から飛び出せば
暗闇へと逆戻り
恋焦がれた君はやはりここには居なくて
僕は心の雨で前を見ることが出来なくなった
僕を見る目が
差し伸べられる手が
掛けられる声が
全て君からであればいいと
僕は心から願わずにはいられなかったんだ
ああ、どうすればいいのだろう。
いや、違う。
僕と君とは交わらない。
なんということだろう。
君は再び光の中。