成り上がれ‼︎
第一章歩の歩み
風が吹き荒れて、冷気が服の中にはいってくる。
いまは冬、僕は今成歩。16歳普通。
色々なことを誤魔化したりできず、
真っ直ぐいき過ぎてしまう性格だ。
そして、今俺の隣がうるさい、調子のり
曲がった人格の三拍子そろった逸材だ。
因みに名前は曽根崎桂馬。
人を追い越すのが大好き。
そして、角亮太こいつも一緒に行っているのたが、とにかくグロいことが大好きだ。
朝飯の話をしても、「人間の目玉焼きってどんな味かな?」とか言い出す。
変わり者だ。まあいわゆる斜めの人っていう感じだと思う。
「ああ寒いや」そう言って桂馬は俺の首に手を当てる。
『つめてぇ』
と言いながら
相変わらず嫌な奴だなと思っていると、
亮太は
『その寒さで皮膚が焼けただれたらな〜』
とか言い出す
内心普通のやつはいねぇのかよと
思いながら歩いていた
教室に行くと
『お〜っす〜』と何故か声をかけられた
そいつは、春日玉木と言うんだがクラスのリーダー的存在なのだ。
何故俺?
俺はあまりこいつの話したことがないんだが...
あっさりと流して
何と無くこうつぶやいてみた
この冬乗り越えたら春かぁ〜...
第2章「恋の香」
いつもの朝、超普通人である俺は、
今日も普通に登校している。
そして、授業も普通、提出物も普通に出した。
そしてついに、幸せの時間昼休みになり
カバンを探る。
「うおー」と一声。
あるべきものがそこにはなかった。
そう、「弁当」である。
しかし、「ふっふっふ今日の俺には500円という武器があーる」と、中2病のように思いながら食堂に行こうと席を立った。
と、「ちょっと来て‼︎」と言われた。
確かこいつは野崎香。
俺とは違い女子からは大人気だ。
真っ直ぐな性格で思ったことはすぐに言うやつだ。
そして、廊下に出され放課後屋上に来るように言われた。
その時は何も思っていなかった。
なぜなら彼女はクラス委員だからだ。
そうして、桂馬と亮太を適当な言い訳で
帰らせ、俺は屋上へ向かった。
そして、屋上には香が立っていた。
「どうしたんだ〜?」と聞いた瞬間、
「好きです。付き合ってください。」
ド直球だった。
俺が「考えさせてくれ」と言うのを完全に先回りされた。
「今、決めて」の返球。
俺は「えっ!?え〜っと!?」を繰り返すしかなかった。
そして、俺は言った。
「すぐには無理だが、もしそれでも今というのなら、すみません」と。
香は泣いていた。
俺は悪くないと知りながらも自分を責めながら家へと帰った。
翌日俺にはとても変わったように見えた
暗く落ち込んだブラックではなく、
何もかも吹っ切れたその顔は、まさしく
「金」のようであった。
そして、俺は自然と笑顔になっていた。
第3章「桂馬の輝き」
今日も登校だ。もちろん普通に、なんでも無い世間話をしながら。
すると、桂馬が喋りだした。
「なぁー聞いてや!昨日さぁ体育で、逆転シュート打ったんやぞー」と、バスケの話。
「はいはい、良かったですねー」と、俺
「ボールが原爆やったらなー」と、亮太
「ちょ、マジ俺イケメンじゃね⁉︎」これには、二人一致の「鏡見てこい」だった。
すると、「ちぇっ」と一言。
その程度の会話をいつも通り繰り返していた。
翌日、桂馬は試合だった。
亮太は来れなくなったが、俺はもうそこにいた。
「頑張ってこいよ!」と言い放つと、
頼りがいのある「おう」が返ってくる。
桂馬は、高1ながら試合のメンバーであり
かなり上手い。
まあ、桂馬がどんだけ努力してんのかを
知ってるのは、俺たちだけだが。
そして、県大会
一回戦………圧勝
二回戦………圧勝
ベスト16………勝ち
ベスト8これにはいれば全国だ。
しかし、相手は一位候補だ。
俺は必死に桂馬を応援した。
今は、相手があと、1pt取れば負け。
だが、桂馬はここからが強い
まず、1pt目をすぐに取り、
2pt目は飛びつきながらなんとか取った。
後1pt、たまたま桂馬が芯を外し、
相手の思わぬところへ行った。
そして、相手は打ち上げた。
と、スマッシュを打った。
「パァン」という高い男。
決まった…はずだった。
ボールはネットを残虐に叩いている。
おかしい。確かに、タイミングはぴったりだったはすだ。
なにが起こったのか、ふと見てみると、
桂馬のラケットのガットが無惨に、また
残酷に切れていた。
俺はすぐに桂馬の所へ向かった。
もちろん桂馬は泣いていた。
「お、俺は越すんじゃ…なかったのかよ…人を…」そう呟いた桂馬に、
「お疲れさん、帰ろうぜ。」と、声を掛けてやった。
すると、「ありがとよ!歩。おまえは、最高の友達だぜ‼︎」と言った。
桂馬は負けても、自分が「金」であると
確信していた。
第4章「祐助に助けなどいらぬ」
今はもちろん登校中。
今日は、昨日みたテレビの話をしていた。
「そういやー昨日メッチャおもろいテレビあったで〜」と、桂馬。
「俺はいつもテレビなど見ない。普段は画像集めをしている。」と、亮太。
ちなみに俺は、色々チャンネルをいじっていると、飛田祐助が映っていた。
一応ウチの学校なのだが、たまにしか学校に来ない。と、桂馬が「いいなーあいつ。モテるやん!」と愚痴を吐く。
「俺はどうせ、普通ですよ。」と、吐いた。
そして、2時限目、突如後ろのドアが開いた。それは、祐助だった。
しかし、割と皆はちらっと見るだけだった。
そして、待ちに待った昼休み。
桂馬のところに行こうとすると、今度は祐助に「放課後話さないか?」と、言われ「俺⁉︎」と言い、内心「サインとかもらえるかな?」とか思いながら「まあ…いいぜ
」と、答えた。
そして放課後、また適当な言い訳をつけて、祐助を待った。
そして、祐助が入ってくるなりこう言った。
「なあ、なんでお前って普通なの?」
俺は「喧嘩売っとんか?」と、思いながら、「知らねぇよ‼︎ってか、話って何だよ⁉︎
嫌味を言いに来たのかよ⁉︎」と、返す。
すると、祐助の目の色が変わった。
テレビで見る祐助とは違い、とても弱々しい。
そして、口を開いた。
「どうやったら、お前みたいに、普通に仲良い友達ができるんだ?」と、「俺は普通になりたい」と。
「俺はな、男からはキモいとか言われ、
女からは、イキってるわー きも〜とか言われてんだよ‼︎」最後は感情的だった。
俺は普通代表として、とっても普通なことを言ってやった。
「自分から喋ってみろよ!そうしなきゃ、なんも始まんねぇぞ‼︎」と。
一週間後、祐助はスターとしても、一般人としても、なじんでいた。
その姿は、普通とは違う、「金」を帯びていた。
第5章「友達」と「親友」
朝が来た。
俺は、いつものように、動きにくい体をフル稼働させ、パンをくわえて家を出る。
少し歩くと、亮太がいた。
「ちぃーす」と、俺。
「よお」と、亮太。
空には少し雲が、かかりはじめた。
「昨日、なんのテレビ見た?」と、
「だから、俺はいつもテレビなんて見ねぇって」そう返された。
だから、「お前ってテレビ見ないって変だな」冗談混じりに俺が笑いながら言った。
すると、「変ってなんだよ!お前が普通すぎるんじゃないのか?」と、笑われた。
そして、「やっぱり変だな。」と言うと、「調子に乗んな超普通人が‼︎」と言われた。「何だ?この野郎‼︎」と言い捨て、先に行った。
そして、一日たって今日になった。
いつもの場所に亮太はいなかった。
雲はまだ、晴れていない。
すると、桂馬に放課後屋上に来いと、言われた。
断る理由もなく、放課後、俺は屋上に向かった。
そこには、桂馬だけでなく、亮太もいた。
亮太は、桂馬に言った。
「なんでこんな、友達でもない奴が来てんだ?」と。
俺は本心で答えてやった。
「ああ、確かに俺たちは“友達”じゃねぇ」
「“親友”だ」と。
亮太は一瞬動揺したが、負けじと言った。
「親友ってなんだよ⁉︎親友と友達とどこが違うんだよ⁉︎」と。
俺はきっぱりと言った。
「“友達”は自分を偽って仲良くなるもんだ。」
「“親友”は腹割って本心で話せる奴だ。」
「つまり、お前は俺に本心をぶつけてんだから、親友だな!」と、それだけで十分だった。
雲はいつの間にか快晴に変わっていた。
次の日、亮太は平然と登校してきた。
他の人には、亮太は変わっていないように見えていた。
しかし、俺と亮太と桂馬は、亮太が「金」を帯びたことを、もちろん知っている。
第6章「ある兄弟達の昔話」
今日も登校…とはいかず、日曜日である。
寒さも本格的になってきた。
暖房さんが一生懸命働いている。
しかし、今日は母方の祖父である金次郎の所へ行かなければならない。
家は割と地元。
車でブゥーンと30分。
到着、挨拶をロボットの様に淡々とこなす。
ちょっとばかし面倒である。
と、祖父が今日は話したい事があるというので、コタツと共に話を聞くことにした。
すると、何かを持ってきた。
どうやらアルバムらしい。
そして、話し始めた。
「俺には今52歳の弟がいるんだ。あやつの名前は銀次郎。今から、35年ほど、前の話をしよう」と、語り続ける。
「あいつは、昔から俺の真似をしてきた。学校も同じ所へ進学し、似た生活を送ろうとした。無論、現実はそう甘くなかったがな…」話は続く。
「成績はいつも俺のほうが上で、運動はあいつ、音楽も俺、美術も俺だった。
それでもあいつは並ぼうとした。」
ある時、友達に言われたそうだ。
「お前って特徴ないよなー」と、
あいつは落ち込んで、俺に相談してきた。
「なぁ…アニキ、俺の特徴って何やと思う?」と、
すると、俺は言ってやった。
「俺に聞くのか?自分で考えるもんじゃないのか?」と、
「すると、いつの間にやらあいつは変わっていた。
いきなり、勉強を始め、俺とは違う学校に進学し、話術を伸ばし、今ではとても優秀なセールスマンだ。」と。
俺は何が言いたいのか分からなかった。
すると、それを察して説明してくれた。
「つまり、高校生は大きく成り上がれる年齢なんだ」と、
「あの時のあいつの様に、金に輝けよ」と、一言だった。
最終章「歩の歩む道」
登校中。今日は、特別な筈だったのだ。
終業式なのだから。
しかし…朝の会話は変わらず、しょうもない。
学校についた。よく見れば、一年の最後なので、変わる…なんてことはない。
いつも通り俺の様に普通なくつばこ。
そして、中に入ってゆく。
ここは、廊下だ。
ふと、ここを通ってきた日々を思い出し、趣きがあるなんて思い、少しにやけてしまう。
教室に入る。教室には、いつものうるささがあった。
そして、祐助もいた。
そして、祐助と教室で話したことを思い出した。
「俺って成長したのかなぁ?」そう、思いながら席にすわる。と、桂馬が話しかけてくる、いつもの光景だ。
そして、悩みの種であるお偉いさん話を聞き流し、ついに、通知簿が帰ってくる。
ドキドキ……しない。
いつも通りの成績だ。
国語…4
数学…2
理科…2
社会…4
体育…4
芸術…2
音楽…3
笑ってしまった。
なぜかといえば、平均が“3”だったからだ。
そして、帰り道に、屋上のことを思い出した。
「ああ…俺も成長しないとな…」そう呟き、家へ帰った。
そして、なんの変哲もないどころか、
なんのなんもない程の生活。
テレビを見て、宿題をこなすのみ。
しかし、ある事だけは、ずっと考えていた。
そして、いよいよ始業式、俺は約束の場所へ向かった。
そして、その場所に……香が来た。
「気が変わったので、少しお話しを…」
香の方が強気である。と、言い切れるほど弱気に言った。
案の定「どういうこと⁉︎」「説明してよ⁉︎」と返ってくる。
「ここで決めなければ!」そう、思った。
皆が成長していく中、自分はここで変われることを確信していた。
「好きです!付き合って下さい。」俺はもう金色に輝いていた。もう、それだけで十分だった。
「はい。」
春の風が暖かく、2人を包みこむのであった。