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神名シリーズ

彼は誰時を知らぬ城

作者: 左松直老

 他サイトにも重複投稿しています。


 誰かが知っている。何も知らない事を――

 深い、深い森の夜。日の光を知らず、遡及する影に在る。

 時を刻むのは針、水、そして乾き。

「どうぞ」

 そしてもう一つ、彼の存在も。

「ありがとう。今日はタルトなのね」

「ええ。マルレ曰く、昨今これ以上ないほどの出来だそうで」

 暗く深い城の中、時を伝えるモノは無い。人工的に時を刻まない限り、ここは追放された場所のように感じる。それが常であるならば恐らく気でも狂うのではないか。

 しかし、そこに住む者には狂気など遠縁だった。

 決まった時間に茶と菓子を運び城下の話をする執事、自由な発想とその腕で菓子や料理を創る料理人、料理の手伝いや洗濯、掃除等を担当する使用人、庭の木々や自家農園の手入れをする庭師。

 そしてこの城の主、ラダルセルク・シュトラヒデ。

 城主と言ってもそれほど大仰なモノではなく、単純に逝去した父の財産をその娘が継いだだけである。

 彼女のラダルセルクなどという仰々しい名前も代々続くしきたりに因るモノでしかない。彼女は自分の名前に好意を持ったことはない。本来この国ではその様な仰々しい名前は男性名であると決まっていて、家督を継ぐ者だからと父と祖父が無理に名付けたらしい。らしいと言うのはそれを訊き尋ねる者が既にこの世には居ないからであり、その真意を祖父や父の代から使えてくれている執事のブレイジルに訊くのは間違っていると彼女には思え、それを訊くことはなかった。

「いつもと違う香りね。どこの茶葉かしら」

 漂白された様に白いカップに目を落とす。そこには少し水色の薄い紅茶が、手の振動を受けて寂々と波打っていた。

「申し訳ございません。お嬢様――」

 立派な白い髭を蓄えた老爺が、小娘程の彼女に深々と頭を垂れる。

「あら、悪く言ったつもりでは無いのよ。変ったお茶だったから……」

 自分の瞳の色と同じ。薄紅色。

 父と同じ、薄紅の瞳。

 全く父には似なかった彼女が唯一、その血統として継いだのは瞳の色だけ。目鼻立ちも、顔の輪郭も、体格も、父に似ることは無かった。無論、女性である為に、男性である父に似ない部分が有るのは当然ではあるが、目鼻立ちも似なかったのはもの悲しいと言わざるを得ない。

 母は彼女を産み落とした折り、急逝した。写真で見ようとも彼女としてはその人は聞き及んだ限りの母親でしかないし、目鼻立ちや立ち姿が良く似ていると言われても、それは似た他人のような感覚でしかなかった。

 兄弟姉妹は居らず、両親、親戚一同も亡くなった。

 シュトラヒデの家名を持つのはただの唯一、彼女だけになってしまい彼女が嫁ぐなどと言うことにでもなればその家名は潰えてしまう。故に、彼女はもし伴侶を得るならばこの家名の元に迎えるしかないが、それらは難儀でもあった。

「商家の者がどうしても一つ買い上げてくれと言いますので使用人用に購入した安い茶葉なのですが…… マルレが何を考えたのかいつもの茶葉を差し置いて、このタルトに合わせたのでしょう……」

「マルレのセンスは信頼しているのよ。今日だって美味しいわ」

「しかし、その様な二束三文の――」

「ブレイジル。私だって勘定は出来るのよ」

「……」

 城の維持、管理には多大な資金が必要になる。現在、この城を支えるべき収入は殆ど存在しない。この星全ての土地を所有し領民に安く貸し与えている事で収入は得ているがそれ自体の収入はこの星に住む者の為に公共工事、公共施設の維持、管理にほぼ充てられている。当然それはそう言う国家体制の元に存在する国であるからその様に計らうのは領主としての勤めであるし、誇りに思うことでもある。

 しかし、その領主は自分達の食い扶持に元々困る事のない者が勤めを仰せつかるのであって、領内の者から不当に税収を徴収することは許されない。

 当然、それを定めた国王は稀代の賢王と国民から呼ばれ、元々重税を布いてきた領主達からは有る程度の反感を買っていたが、『権力のあり方』を指標されたからには表立って刃向かうことも出来なかった。

 しかし彼女はむしろその賢王の行いを好いているくらいだ。彼女よりも年下でありながら国民全てに絶対の信頼を築けるその手腕は見事と言うほか無い。

 その様な力が無いのは彼女が女性だからと言うことではなく、受け継ぐべき本来の家督を継げなかった事にある。

「勘定の中にお嬢様の苦渋をも含まれるのでしょうか」

「ええ、それも仕方の無い事だったのでしょうね」

「なりません。お嬢様のお気持ちに反してその様な――」

「気持ち一つで茶を啜る訳にはいかないのよ。わかるでしょう」

 彼女の、ラダルセルクの身の振り方一つで世界は動く。この城の、『榛夜城』と呼ばれる永劫闇の中にある城には計り知れない価値が存在する。

 かのシュトラヒデ。そう呼ばれていた時代があった。それは何千年も、何万年も昔。

 帝位拝命家、ベルトライト家から派生したシュトラヒデ。その初代が作り上げた史上最高の、魔法の城。『その城、闇夜に暗臨す』その言葉通り、夜の闇にのみ存在を許される城。

 日中、そこにあるはずの城はこの世の外に存在し、日没と共に淡い影から姿を現す。

 日中にはその城に訪れる事おろか、見ることも叶わない魔法の城。

 生物が主に活動する日中に顕現しない事は多少なり不便である。物流は夜の時間に限定され、城主への拝謁、使用人の帰宅などにも多大な制限を及ぼすからである。

 しかし、榛夜城の本来あるべき姿は『要塞』としての能力である。

 星々を連ねて統べる国家には民族間の争いや他国との領有問題はつきものであり、争う為の効率的な手段として戦争が存在し続ける。

 万年、それおろか億の年月を経てなお、その行為を続けるのだから戦争技術の進捗は凄まじく、星間での戦争において堅牢なる要塞の存在は必須だった。

 ラダルセルクの生きる現代でもなお難しい術式。当時、顕現を制限された暗黒の要塞を作り上げた功績は計り知れない。

 彼女の、シュトラヒデの家系はその全ての魔法を、術式を受け継いできた。その術式から派生される幾多の式がどれ程の価値を得られるのか。それは途方もなく、万単位の年月を経てもなおシュトラヒデの家名が残り続けている事で証明されてきた。

 しかし、ラダルセルクは継げなかった。その一切を。

「ブレイジル。どなたか良い縁談を――」

「なりません、お嬢様」

「ブレイジル」

「……」

 白い月が二つ昇るお茶の時間。老爺心と領民を憂う心が薄紅に波紋を作った。




 今まで彼女に縁談の類が無かった訳では無い。ただ、全て断り続けていた。理由としてはその全てが彼女に対する愛情や恋慕の類ではなく、術者として研究価値のある城の式や城自体の利用価値、領主の夫という地位を念頭に置いたものばかりだったからである。もちろん、ラダルセルクという見目麗しい女性まで付いてくるのだから有象無象が寄ることは仕様のない事ではある。

「……この方はその、縁遠いと言いますか」

「……ですな」

「らだるんにはワイルド系がイイと思うよ」

「ラダルセルク様と呼びなさい。フレッツェル」

「……わ、わいるど系――」

 城主ラダルセルクと執事のブレイジルが魔法の明かりが点いた庭にいくつかの写真を持ち出し、紅茶を嗜みながら相手を吟味していると竹箒を持った二つおさげの使用人の少女が横から茶々を入れだした。

「ちょ、ちょっと私にはその…… まだ早いと言いますか……」

 見合いの相手に早いも遅いも無いだろうが、流石に見合いの写真に上半身裸で上腕二頭筋を強調したマッスルポーズを使う男は選ばないだろう。しかし、これでも有名商家の次男だというのだから、世知辛いものであるとラダルセルクは感じざるを得ない。

 ラダルセルクの要望としてはやはりシュトラヒデの家名を継いで貰える事が重要である。そしてもう一つ大事なことがある。この城を、この榛夜城を二度と『要塞』として用いない方を伴侶にと。

 父や祖父は二年ほど前までは生きていた。祖父は既に城主としての任を父に譲って悠々自適の生活を送っていて、城主としての職務は全て父に任せていた。

 悠々自適と言っても祖父は道楽に明け暮れていた訳ではない。脈々と継がれてきた魔法の研究を続けていた。一日中、変色した古紙に囲まれて作業に没頭し、幼いラダルセルクが運んだお茶や菓子には目もくれず、一心不乱に、それはもう何かに取り憑かれているのではないかと思えるくらい、真新しい用紙に羅列を続けていた。

 父は当時の国王体制の元に東奔西走の忙しさであり、娘にかまける時間など殆ど存在しなかった。

 そして三年前、二年前のあの日に繋がる大事件が起き。隣国との戦争が勃発した。

 国の領域は彼女らの星、ラグフレールは国境に近く、堅牢な要塞である榛夜城はその能力を遺憾なく発揮した。当然、その陣頭指揮に当たるのは城主だった父、セルデルト・シュトラヒデ。その補佐として退いた祖父、ブレイセル・シュトラヒデがラグフレール防衛戦に参戦した。

 結論から言えば勝利した。ただそれだけだろう。

 星に棲まう、億単位の領民の命を犠牲に。

 その中に、セルデルト、ブレイセルの両名を含んだだけの話である。

「えぇ、らだるんはこのスケベそうなヤツがイイの?」

「す、すけ――」

「フレッツェルッ」

「きゃ~ん! じるじぃ、こわぁ~い。血圧上がっちゃうよ?」

「仕事をしなさい、仕事を」

「ふ~い」

 つまらなさそうに竹箒を振り回しながら去ってゆく少女。見た目は小さくて可愛らしいのだが、ラダルセルクとそれほど年齢が違うわけではないのであの喋り方は計画的なものだろう。

「申し訳ございません、お嬢様。ジルの不足にてこの様にお嬢様に不釣り合いな者ばかり――」

「ブレイジル。彼等に失礼ですよ、釣り合わないなどという事は有りません」

「……しかし」

「私が会いたいと思った方が居ないのは事実ですが、彼等は彼等なりに誠意を持って申し出て下さったのですか――」

「ぶぅぅ、ふぅぅぅ――」

「え、あ、え? ぶ、ブレイジル?」

 突然むせび泣き始めた白い髭を蓄えた老爺は、仕立ての良いスーツの袖で涙と鼻水を拭い、ラダルセルクに宣言した。

「しぇんしぇん代のブレイセしぇるしゃまに拾われてろくじゅーににぇん、ブレイセるしゃまのおにゃまえを畏れおおくも一部頂戴し、おちゅか、ぉえッ――ブーッ―― 失礼、お仕えしてきましたが、これまで仕えてきた甲斐が有ったというものです。お嬢様、ご立派に――」

 利き腕の左腕の袖を涙と鼻水で汚した老爺が、涙で前が見えない瞳を拭った後、そこに見たのは上腕二頭筋を強調したポーズを取る次男の写真だった。

「お嬢様ぁ、いずこぉーっ」

 最近、すっかり涙もろくなった執事を尻目に、一人退散したのは言うまでもない。




 日の光を彼女は知らない訳ではない。夜に城を出て日の光を浴びることは嫌いではないし、むしろ暗い夜ばかり見続けていた少女の頃の自分とは、今の自分が違うのだとよく解る。子供の頃から彼女は自由に生きてきたと思っている。外に出たいと言えば父は娘にブレイジルを従えさせて日の光の下に出る為に外泊を許してくれ、学校で学ぶ為に城を出て寮生活をしたこともある。

 けれども、あの城は、榛夜城は彼女にとって大切な家であり、一緒に過ごした思い出が薄くても、父や祖父と住んだ城である。それを彼女は戦いの為の城に帰すことが心底嫌であるが、彼女にはあの城を維持、管理するだけの能力がない。

 最も重要な一子相伝に近い魔法の技術を受け継ぐ暇がなかった。唐突に始まった戦争で祖父も、父も失い、母に至っては彼女自身の命と引き替えに失った。

 文献や父や祖父の書き残した手記にも魔法のことは有る程度書かれているものの、彼女にはそれを司る根幹の技術を教えずに二人とも逝ってしまい、結局中途半端な魔法使いが置き去りにされただけだった。

 帝位を持つ十大家はそれら全てが魔法や術式の権化であり、国を守る騎士である。

 その分家とは言え、領主として星を任され、国防の一端を握る者が一般の者より頭一つ抜きん出た程度の魔法使いでしかない。他の分家であれ、一般人より遙かに優れた魔法使い、術式者であるはずなのに。彼女にはそもそも戦争で戦う術はない。


 その日、ラダルセルクの姿はラグフレールの星に無く、暖かな陽光差す王都の城にあった。

「お初にお目に掛かります。陛下」

「見目麗しき月の姫君、此方こそお会いできて嬉しい限りです」

「有難う御座います、陛下」

 ラダルセルクはまず、その男を見て驚いた。年下であるとは聞いていたが、何故だろうか国王として認めざるを得ない、独特の力を感じる。高名な術者である別の星の領主がラグフレールの榛夜城を訪れた時に感じる感覚を、遙かに超える力をこの男から感じる。

 この国の防衛戦の末期にのみ現国王も参戦した。その時は当時の国王の嫡男であるらしいと聞き及んでいた程度であり、同じラグフレールの榛夜城に逗留していたらしいが、詳しくは知らない。

 それでも戦時功績における通り名はこの国では有名だった。六限の剣王と。

「大変申し訳ない。この身の上多忙でして、早速用件を伺いたいのですが」

「はい。ラグフレールの今後について助言を賜わりたく参じました。現在、シュトラヒデは優秀な術者を擁しておりません。どうか、陛下ご推薦の方を防衛の為に――」

「それはすぐに手配しましょう。しかし、シュトラヒデの術者は貴女が居ますが」

「それは…… 私は正確に継いだわけでは御座いません。戦争で術式文献の大半を失い、口伝にて継承される――」

 空気を支配される感覚。祖父や父よりも年若い、それおろかラダルセルクよりも年若いその男が、この場全てを支配する。

「国防の為に戦力を投入することはやぶさかでない。しかし、ラグフレールにシュトラヒデ在りと言わしめた幾多の先代を愚弄することは如何なものか、月の姫君」

「しかし、私には――」

「失えばそれで終わりではない。貴女は私の父を、先代国王をお恨みでしょう。かのラグフレールを主戦場と為したのは事実。そして早期に参戦していれば戦況を変えられたはずだと、どうして私に言わないのです。父君や、大老を失わずに――」

「おやめください…… おやめ、ください……」

「済んだと。今も生きているはずだと。何故、私に――」

「もう、おやめくださいっ! 幾ら陛下とは言え、心踏みにじるような言葉ばかり――」

 それは本当に、ラダルセルクに向けられた言葉なのかどうか。彼女はその時、思い至ることはなかった。




 ラダルセルクと共に随伴していたブレイジル、身の回りの世話の為に伴わせたフレッツェルが王都から帰着すると丁度夜半を過ぎた頃。ラグフレールの榛夜城前、城門前にはマルレと言い争う少年の姿があった。

「どうしたの、マルレ」

「はあ、この前買いました茶葉の件で――」

「この前じゃねーよ、今回も買い取ってくれよ。他のお茶より安いだろ」

「しかし、前々から懇意にしている問屋があるので買い取るわけには――」

「だったらそっちから仕入れるのを減らせば良いじゃないか。こっちの方が安いんだから文句ないだろ。悪い物じゃないんだから、定期購入してくれよ」

 なんともまあ、商魂たくましい少年ではある。

「どうしてそんなに買い取って欲しいのかしら」

「あ? んだ、オバサン?」

「オバ――」

 完全に慌てふためく執事のブレイジル。その様子を半笑いで眺めているのは使用人、フレッツェル。滅多に他人から罵詈雑言を並べられる事がないラダルセルクだが、年若い彼女を一瞥してオバサンと言わしめるのは幼い顔立ちが残る少年だった。

 その男の子は木箱を抱え、半眼でラダルセルクを値踏みするようにジロジロと見つめていた。

「どうしてなんて、アンタ何いってんだ。商売なんだから金稼ぐ為に決まってんだろ」

「これ、少年。こちらのお方はラグフレールの領主、ラダルセルク・シュトラヒデ様だぞ」

「は、マジで。オバサンが?」

 どうラダルセルクを見ようとも年若い美人にしか見えないのだが、どうしてもこの少年はラダルセルクを年増に見たいらしい。

「私は二十三です」

「はぁ? オレっちより十五も上ならオバサンでいいだろ」

「あー、イイ根性してますねー。ぼっちゃん」

 フレッツェルが流石にこの面白い状況を簡単に見逃すはずもなく、変な応援を入れ始める。そんなヤツが一番噛みつかれるのを失念して。

「ぼっちゃんとか言うんじゃねぇよ、ちっこいの」

「はー、ちっこい。ちっこいって言いましたか? コンチクショーが、タマ引っこ抜いてその糞みたいな口に突っ込んでやりましょうか。ねー、じるじぃ」

「……」

 無言でブレイジルは両手を振りながら拒否し始める。城内でシュトラヒデに仕える者を統括しているブレイジルは、確かに怒った時のフレッツェルは手のつけようがない程に粗暴だったのを知っているが、言動全てが荒れるとは知らなかった。

 放って置いたらフレッツェルが少年につかみかかりそうなので白い髭の老爺は慌ててフレッツェルをたしなめ、抑える。

 元々城下の町娘でしかないフレッツェルを雇ったのは他でもないブレイジルだが、雇い入れた時には『お城でお姫様に会いたい』などと夢見る乙女だった様な気がしないでもないが……

 そんな始終を殆ど無視して少年は声を張り上げて名乗りを上げる。

「オレっちは第四位ドルクレント家が分家、メディツォ家のアウランデが嫡男、ルークレイクォール・メディツォ! クォール様と呼べっ」

「は、はあ……」

 マルレが全く知らないとばかりに少年に押しつけられた木箱を抱えて所在なく声を漏らしただけなのだが、どうやら違う取られ方をされたらしい。

「そうだろう、そうだろう。驚くよな、おっさん」

 己の言いたいことは言い切ったとしみじみ自分の言葉に酔いしれる少年なのだが、生憎と目の前にいるのは……

「今の時勢に帝位家、分家には上下関係は有りませんよ、ええっと――」

「ラグフレールでは商家として名の通っていた、メディツォ家の嫡男。ルークレイクォール殿で御座います、お嬢様」

「る、ルークレイクォール殿」

 シュトラヒデはラグフレールの領主ではあるが、元々帝位五位の末端分家であり、古いしきたりのままに語らせると少年の、メディツォ家よりも下位になる。しかし、その帝位の序列制はとうの昔に廃れているし、古くさい頭に支配され続けて来た差別的発言や、絶対順位主義的発言は現国王が最も嫌う事でもある。

 この少年の教育がどのようなモノだったのか知らないが、ラダルセルクには許し難いものだった。ただ、少年にも譲れぬ事もある。

「あんたはのうのうと生きていれば良いんだろうさ。オレっちには家族も、使用人も居ない。あるのはオレっちの体と、無駄にでかい誰も居ない家だけだよ。自分で稼ぐしか無いんだよ、誰も助けてなんかくれないんだよ」

「それと、私たちを見下すことと、何が関係すると言うのです」

「あるよ、関係ある。役に立たなかったヤツが、戦争で何もかも守れなかったヤツが、オレっちの大切な人達を守れなかったあんた達が、オレっちより偉い訳ねぇっ!」

「――っ!」

 凝縮されるのは一瞬、そして眼前で爆ぜるのも一瞬だった。魔力の集約を関知した時には、既にラダルセルクにはどうしようもなかった。

 もし、目の前の少年と同じように彼女が男児として生まれていれば戦う為の魔法や剣技、体術を父から教わっていたことだろう。ただ、たった一人の愛娘に戦う術を父や祖父は教えず、周りの者も物腰穏やかに育つその少女を見て、誰が剣舞の才を叩き込めと父や祖父に具申するだろうか。そして今、結果として彼女は歳幾ばくも無い少年に、突如命を脅かされる事となった。

「おっと、失礼。お嬢さん」

「きゃっ」

 突然、男性の声が聞こえたかと思うと、腰辺りを誰かの腕が包み込み、そのままそちらへ引き寄せられた。ラダルセルクが引き寄せられた腕の主を見ると、そこには精悍な顔つきの――

「聞き及んだ通り。見目麗しく、抱き心地の良い――」

「むーっ!」

 軽薄そうな男が居た。

 そんな男に抱えられている事をラダルセルクは快く思えず、じたじたと逃れようとしたのだが……

「うぉ、あぶね。あぶねって」

 少年、ルークレイクォールと言い争いをしていたのは門前、掘り割りの橋の上で、彼女の眼下は暗黒の虚穴が広がっていた。

 彼女は、ラダルセルクは知っている。この城を囲む暗黒は城への侵入を阻むものであり、それに引き込まれたモノは帰ってくる事はない。城主であり、長年棲まう者として、当然の知識だった。

「浮いて、ます?」

「俺の心も浮いています」

「そう言うのは嫌いです」

 男に抱えられ、宙に浮いたまま門前の橋の方へゆっくりと飛んでいた。そして橋の上に辿り着くと彼女の眼前には同じようにもう一人、呆気にとられている者がいた。

「なんなんだよ……」

「さあ」

 両手をラダルセルクの方へ突き出し、魔法で作った炎の弾を撃ち出した体勢のまま、少年が誰へでも無く始終の事柄を問うと、さも知らない風に誰かが間髪入れずに答えた。

 答えた主は橋へ降り立ったにもかかわらず、今だラダルセルクを抱きかかえている男ではなく、フレッツェルとブレイジルの間にいつのまにか割って入っていた、笑顔を貼り付けた、両手に荷物の優男。

「ぬ、いつの間に」

「心臓に悪いよ、スマイリー」

「勝手に変なあだ名を付けないで下さい」

 橋に降り立ったラダルセルクは彼を見て記憶中に存在すると気が付いた。確かに、ここラグフレールに訪れた事のある青年。確か、二年前あの戦時に訪れ、参戦していた覚えがある。

「マレリデル様では……」

「お久しぶりです」

 落ち着いていて物腰穏やか、さらに人当たりも良い好青年だと彼女は記憶していたが、何一つその頃と変わりない。

「あれ、俺の事は……」

「ぞ、存じ上げません。それより放して下さい」

「助けたんだから、ここは濃厚なキスの一時間や二時間――」

 そう言いながら男は自らの方に彼女を引き寄せる。軽薄さを更に希釈した様な男の言動に、ラダルセルクは耐え難い。

 しかし、彼女が男から無理矢理離れる為に平手を振り上げ抵抗を示そうとした刹那、またも爆ぜる力を感じた。一瞬、覆い被さるように男がラダルセルクを抱きかかえ、

「無駄だって解るだろ」

「~~っ!」

 ラダルセルクは男の台詞が自分に向けられたものではない事に、しばしの間を持って気が付いた。同時にもう一つ気が付いた事がある、臭いがする。とても嫌な、知らない臭いが。

 広い草原の中、そこにある城は風の通り道。闇夜を撫でて抜ける風がむせ返るような煙を運び、鼻をくすぐる。

「客に火を向けて良いのは、煙草の火付けだけだ」

 ラダルセルクを抱えて放すことの無かった男は、いつの間にか火の点いた煙草を咥えており、ただ怠そうに今だ敵対心を絶やさない少年を一瞥した。

 少年と男の身長差は、少年が見上げなければならない程。

 そして、男はラダルセルクを開放すると少年の――

「うらぁ」

「いっ、てぇっ!」

 すねを、つま先で蹴った。

 突然痛みに襲われた少年はうずくまり、すねを押さえて丸くなる。いい大人が複数人いる中で、何かこう、言いようのない空気が流れた。

 暗い闇夜に白い月が二つ、月光だけがうずくまる少年を優しく包む。

「こ、子供相手になにをするのですっ」

「まあ、オシオキってヤツをだな……」

 口の端から紫煙を漏らしつつ、詰め寄るラダルセルクから顔を背ける男。自分の行いを悪びれもせず、煙草を美味そうに吸うだけで、特になにも行動を起こさない。

 そんな男に詰め寄ったところで何が進展するわけでも無いと、ラダルセルクは先を変える。

「マレリデル様は何故いらしたのでしょう。それに、この方は――」

「おかしいですね。シュトラヒデの姫からの要請と、陛下からお伺いして来たのですが」

 ラダルセルクが陛下への謁見を求め、それが叶ったのはほぼ即日。そして謁見を終えてからラグフレールに戻るのに半日。その短い時間にマレリデル・ロンジェルスをラグフレール防衛に宛がい、即日配備させる手腕には驚かざるを得ない。

「こんなにも早く来ていただけるとは思いも――」

「ああ、それなんですが。本来二、三日を目処に着任して欲しいとの命令だったのですが。まあ、そこのクロウセルが『美人のお願いなら飛んでいって叶えないといけない』って、ご都合も伺わず勝手に来てしまいました」

「それではその、こちらの方はマレリデル様のお付きの方で……」

「彼はクロウセル・ハルトベス。ハルトベス家本家、現当主です。ボクよりも戦闘のプロですよ」

「マレリ、余計な事はいい」

 ラダルセルクの後ろでずっと少年を監視し続けている男。あの軽薄そうな男が、帝位本家の当主だという事を、どうしてもラダルセルクは理解できなかった。

「ボク達はあくまでも一時的な防衛任務しか仰せつかっていませんので、後日改めて長期的な駐留者が赴任すると思います。それまではこちらでお世話になりますね」

「此方こそ、よろしく御願いいたします」

 深々とブレイジルが頭を垂れ、彼等の入城を歓迎する。

 そういう話をするならば城の中で良いのだろうが、マレリデルは無関係な少年の居る前でほぼ全てを話した。どういう思惑があるのか、ラダルセルクには理解しがたい。ラグフレール防衛上の話ならば機密に値するのだろうが……

「で、美人さん。このガキ、どーするよ」

「え……」

 根本のフィルター寸前まできっちりと吸いきった煙草の吸い殻を暗黒の堀に投げ捨て、クロウセルはラダルセルクに、つまらなさそうに言う。実際、クロウセルは退屈だった。

 国に、国王によって定められた憲法により、領主は司法能力を有する。正確には帝位家と星を任された領主には司法能力が存在し、刑事民事の裁量を下すことが出来る。個人の意思に極端に寄らぬよう、一案件に対して司法権限を有する複数の決定で最終判断が下りるが、簡易裁判程度の裁量を下すことは可能だった。

 クロウセルの言葉は、この少年の処置について領主としてどうするのかと、そう訊いていた。

「……」

 彼女はその能力を有するが、一個人で決断した事は無い。今までは常に警察機関と連携を密にしたし、司法機関出向の者と議論を尽くして来た。

「美人さんが決めないなら、ハルトベスの当主としてこのガキは俺が始末しても良いが――」

「あなたはなにを言うのですっ! そんな事はさせません」

 させないとは言ったものの、少年が帝位家の当主、クロウセルへ、ほぼ無意味だとは言え攻撃魔法を使用した事実は覆ることは無く、彼女がこの場で態度を誤れば、それがハルトベスへの敵対行為と取られても誰も文句を付けることは出来なかった。

 自分の決断が少年の未来と、彼女自身の未来を変える。

「彼の、ルークレイクォール・メディツォの身柄は私が預かります。後日、ラグフレール司法裁判所で刑の――」

「クロウ、意地悪いよ」

「いやぁ、アンタ達の所の美人さんは面白いなー。なあ」

「は、はぁ……」

 クロウセルは、紅茶の茶葉が入った木箱を持ったまま緊張のあまり直立不動だったマルレの肩に手を置いて同意を求めるが、マルレは全く事の真意を理解していない為、タチの悪い輩に絡まれた程度にしか思えなかった。

 同様にブレイジルも仕えるべきラダルセルクが窮地に立ち、どう助け船を出せば良いのか考え込んでいたが、マレリデルの言葉とそれを聞いた後のクロウセルの言葉で愕然とならざるを得なかった。

「既にクロウセルの刑執行は済んでいるんですよ。先ほど蹴ったじゃないですか」

「……」

 ルークレイクォールへの制裁は、先ほどの暴行だという。

 ふざけている。マレリデルも、このクロウセルという男も。二人ともが帝位本家の当主であり、分家当主で、星をいくつも領地として納める者である。その統治方法は分家に任せていたり、選任した者に委託していたり。そんな彼等は王都で暮らしている。

 ラダルセルクは実際にその目で見て、現状に見合った公務を行っているし、それを片手間にやることもない。彼女自身が資産について悩もうとも、領地に対する誠意は持ち合わせている。それを、彼等はなんとする。

「冗談とは言え、子供の命を軽んじた発言をするあなた方にラグフレールを守って貰おうとは思いません。お引き取りを願います」

「あぁ? それが陛下の命令を不履行にするって解っててもか」

 男が凄む。ラダルセルクはその行為を見てなお、気丈だった。

「ラグフレール領主、ラダルセルク・シュトラヒデの決定だと、陛下にお伝え下さい」

 クロウセルとラダルセルクは、互いに引くことなく、目を合わせたまま押し黙る。そんな空気に先に耐えきれなくなるのは、やはりクロウセルだった。

「お茶も出ないの?」

「出しません。城への入城も認めません。お引き取り下さいっ」

「仕方ない。美人さんがダメって言うんだぁ。帰るぞー、マレリ」

「このまま帰るとボクらが陛下に怒られるよ……」

「んな事でアイツは怒らねーよ」

 国王陛下の何を知っているのか、クロウセルは陛下をアイツなどと軽々しく言う。不遜極まりない輩は、ラダルセルクの最も嫌うモノでもある。

 彼等が城門から去りゆく姿を眺め、二度と来ないことを祈るばかりだった。

「あー、らだるん返しちゃって良いの? あのスケベぇ。ドサクサで揉んでたよ?」

「――っ!」

 城の前にはうずくまる少年と、自らの発言に満足する使用人、困惑するマルレ、紅茶の木箱を奪い取り、頭上に振りかざして追い返した客を襲おうとする城主、それを押さえる執事。

 そんな彼等の姿だけ残った。




 結局、少年の身柄はラグフレール司法機関の保護観察対象となり、これまで通りの生活に司法機関からの観察が行われるだけに留まった。

 本来は領主に対する攻撃行動ではあったものの、領主が子供の攻撃魔法程度に対応できなかった事実を公表しない為、単なる傷害未遂として処理された。国防を、領民の安全を担うべき領主が戦う為の、守る為の術を持ち合わせないという事はあり得てはならず、メディツォ家のルークレイクォールも領主への反逆罪を帳消しにする為、双方痛み分けとなった。

 最も、それらへの手回しをしたのは――

「どうも、美人さん」

「こんにちは、シュトラヒデ様」

「はぁ……」

 ルークレイクォールの観察者として、メディツォ家に駐留する事となったその二人。

 ラグフレール領内であっても、ラダルセルクが彼等を追い出せないのには理由がある。

 国王陛下が防衛の為の駐留者を変更しないと決めた事。マレリデル、クロウセル両名が事件の始終に関わっており重要参考人である事。帝位家の者である両名には法曹としての能力がある事。単純に国内であれば国民には所在の自由が存在する為、領内に『嫌いな者』が居ても個人の一存では追い出せないからである。

 ラダルセルクはたびたびメディツォ家へ足を運ぶようになった。はじめは被害者と加害者として示談の為に訪れていたのだが、たった一人で屋敷に住むルークレイクォールが心配でならなくなったのだ。

 フレッツェルとブレイジルを引き連れて訪れ、子供の一人住まいで荒れていた屋敷を保守してやっていた。

「なあ、アンタ結婚相手探してたのに、うちに良く来るよな。まさかオレっちにホレたのか?」

 綺麗な一枚岩から削りだした豪奢な床を四つん這いで水拭きしながら、少年は真顔で言い放った。

「探すのは止めましたから、そんな理由ではありません」

 同じように床を磨くラダルセルクは子供の戯言を軽くあしらう。

「あー、結婚相手探してたのか? 俺とか、どーよ」

 一人、立ったままの体勢で煙草を吸いながら、足で雑巾を踏みつけて適当にソウジする男が余計な事を言う。

「ですから、探すのは止めましたので。そもそも、誰があなたみたいな方――」

 そんな三人のやりとりを、掃除をサボってニヤニヤと眺めるのは三人。

「なんだか、仲の良い家族を見ているような気分になりますね」

「スマイリー外道からそんな言葉が飛び出すとは、思いも寄らないですよ」

「だから変なあだ名で呼ばないで下さい。あと、外道でもありません」

「私としましては、お嬢様には早く身を固めていただきたいのですが……」

「そこの三人、後でお話があります」

「ボクもですか?」

 とんだとばっちりだが、ラダルセルクが公務用の笑顔をマレリデルにも向けているのだから、問答は無用らしい。

 他人の家を保守するなどという事はその分だけ経費が掛かる。もちろん、メディツォ家としてルークレイクォールも拠出しているが子供の稼ぎなど大きな屋敷の管理、維持費に到底及ぶはずもない。

 だからこそラダルセルクはメディツォ家を彼女の家で管理、監督する事にした。もちろんそれはルークレイクォールが成人するまでだが。その間の諸経費を幾分負担する事もルークレイクォールと合意し、成人後はその費用をシュトラヒデに返還すると決めた。

 それらには元手が必要になる。それはシュトラヒデの家宝として存在してきた魔法の術式を売却して用意した。売却するにあたって尽力してくれたのは意外にもマレリデルではなく、クロウセルの方。そして売却した相手は国王の宰相と名高い、国内最高の術者、そしてシュトラヒデが買い戻すまで秘匿してくれるとも約束してくれた。

 その間、ラダルセルクは単なる一領主で、一般人よりも頭一つ飛び出た程度の魔法使いでしかない。シュトラヒデの名声は売約されたものと等しく、彼女には領主としての地位以外、何も残されなかった。

 それでも、領民や榛夜城を守る為に彼女は決断した。




「お嬢様、そろそろ休まれてはいかがですか」

「ん、もう少しだけ」

「左様で……」

 古紙の臭いだけが残る。何も入っていない本棚と、何も入っていない机に向かい、真新しい紙に筆跡を残す。

 彼女が選んだのは、受け継がないこと。

 ほぼ不眠で続けているのは先代達が残した術式とは違う、新しい魔術の作成。魔術の作成には数学、幾何学、言語学など、多岐にわたる知識を網羅しなければならない。幸いな事に彼女には一般の者よりはそれらの知識は多い。シュトラヒデに継がれてきた学術書や術式書に触れる機会があり、家督を継ぐ者として有る程度教育も受けてきた。

 その内容の殆どはシュトラヒデの術式系譜であったものの、それを手本に新しい系譜を作り出せばいい。彼女はそう考え、そして先代達と同じように身を立てる事にした。

 眠い目をこすり、新しい魔術を考える。戦争の為に作られた魔術は数え切れないほど存在する。だが、それよりももっと多く、人々の生活に密接した魔術も存在する。

 星と星の間ですら通話を可能にする魔術、一切エネルギーをロスしない動力機関。

 あらゆるモノに魔術が使われ、そして営みを作るのは使う人々。内側を守る魔術は先代達には及ばないどころか鼻にもかけては貰えないだろう。だから、外側を守る為の魔術を、彼女は作ることにした。

 継がせる為ではなく、より良い未来の為に。

 父や祖父が没頭したのは、同じ理由だったのかも知れない。

「それはそうとお嬢様。ご縁談のお話ですが、クロウセル様はいかがでしょ――」

「何を寝ぼけた様な事を言うの、ブレイジル。私がどうして――」

「シュトラヒデに相応しい名を冠する方でしたので、お似合いかとも――」

 ラダルセルク・シュトラヒデ。蒼き月のシュトラヒデ。

 魔術に使う古代言語を調べると、嫌でも目に付く。月に関する名前を代々付けられてきた当主に倣い、彼女もそう名付けられた。シュトラヒデの術式文献は夜や月、光の力を主に利用する為、あの男の名前も勝手に覚えてしまった。

 クロウセル・ハルトベス。ハルトベスの夜月。

「あり得ません。私のお相手はシュトラヒデの名を継いでいただける方と決まっています」

 術式作成の苦労に付き合ってくれているのかとも思っていたが、ブレイジルの目的はそれを言う為だったらしい。呆れて変に力が抜けてしまい、今日はこれで作業を終えることにした。

「むぅ、申し訳ございませぬ」

「はぁ……」

 父や祖父も眺めたであろう、書斎の机、正面にある窓。

 憂う薄紅の瞳に、今日は一つだけ月が映った。

 蒼い、夜の月。

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