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『束縛勇者 〜死んでも逃げられない彼女の執着〜』  作者: 3eki.


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1/2

~ プロローグ ~

放課後の帰り道。

 街灯の下で、俺――**縁守結人えにもりゆうと**は、スマホを握りしめながら深く息を吐いていた。


(今日こそちゃんと別れるって言おう……)


 震える手でメッセージを打とうとして、また消す。

 優柔不断なのは自分でもわかっている。

 でも、あの子を傷つけたくないと思うほど、逃げ道は消えていった。


 そのとき――背後から、聞き覚えのある声がした。


「……ゆうとくん。今日は帰ってくるの、遅かったね?」


 心臓が跳ねる。


 振り返ると、彼女の 唐樹依夢(からきいむ)が静かに立っていた。

 笑っているのに、その瞳は一切笑っていない。


「ご、ごめん、依夢。実は最近、ちょっと距離を置きたいっていうか――」


「ねぇ、どうして? 私のこと……嫌いになった?」


 にじり寄る気配に、喉が詰まる。

 別れ話を切り出す勇気なんて、もうどこにもない。


「違うよ。ただ俺……」


「じゃあ、なんで逃げるの?」


 気づけば数センチの距離。

 依夢の手が、俺の腕を強く掴む。


「他の女がいるんでしょ……? ねぇ、誰? 誰なの?」


「いないよ! 本当に! 俺はただ――」


「じゃあ、ずっと私のそばにいてよ」


 次の瞬間。

 胸の奥が、熱いのか冷たいのか分からない感覚に包まれた。


 視界が揺れる。

 見下ろすと、依夢の手の中に小さなナイフがあった。


「大丈夫。痛いのは最初だけだから……私がずっと支えてあげるからね?」


「……ごめん……」


 それしか言えなかった。


 意識が遠のく中、依夢の声だけが耳に焼き付いた。


「――ねぇ、また生まれ変わっても、私だけを見てね?」


 呪いの言葉のように、深く深く染み込んでいく。


 そして――世界が暗転した。

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